トピックス -企業家倶楽部

2019年07月29日

日本再活に向けてなすべきこと/APIコンサルタンツ社長 松本洋

企業家倶楽部2019年8月号 敏腕コンサルタントが斬る! vol.15


松本 洋(まつもと・ひろし)

AP I コンサルタンツ代表取締役社長。1951年生まれ。東京大学法学部卒。日本鋼管(現JFE スチール)入社後、米国コロンビア大学MBA及びLLM(法学修士)取得。倒産寸前の子会社、米ナショナル・スチールに上席副社長(COO)として赴任し、経営再建に成功。KVHテレコムを始め4社の起業に成功。ベネッセコーポレーションを含む数社の社外取締役を歴任。



【1】空疎な平成時代

 平成は「失われた30年」だった。1989年(平成元年)、中国のGDPは、日本の17%であったが、今や日本の2.5倍になっている。GDPは平成の30年間で米国3.6倍、英国3.4倍、ドイツ2.8倍に成長したが、日本は1.3倍に終わった。

 株価指数では、過去30年間で米国ダウ平均が9倍、英国FTSE100が3倍になっているが、日経平均は50%下落している。

 名目賃金でも米国やEU圏では2倍以上になったが、日本は下がっている。

 世界の企業ランキングでも、1989年3月末では、上位10社中8社が日本企業であったが、平成30年では、10社中8社が米国企業で、2社は、中国企業(アリババ、テンセント)である。

 全ての経済指標で、先進国の中で日本の一人負けになっているのが現実であるが、人口減とデフレが主原因である。



【2】中央集権制度の失敗

 数兆円が無駄に使われた官制ファンドの失敗が明らかであるにも拘らず、自分達のポジション作りの為に、役人が税金を投入して未だに無駄遣いしている。企業の再建やベンチャー投資は、民間のファンドに任せるべきである。特定企業を支援することにより、弱い企業を延命させて産業全体を弱体化させてきている。

 平成時代の愚策は、政府歳出のキャップ制が放棄され、予算が歯止めなく拡大してしまったことである。小さな政府を作り、政治家や官僚の権限を拡大しての無駄遣いはやめるべきである。増税をすれば経済が悪化して税収は減り、国民の生活が苦しくなるのは自明である。政府には、産業の種まきや徹底的な規制緩和を推進し、民間企業では出来ない大きな構想の元に競争力のある産業を育成すべき大きな役割がある。

 私は安倍政権の規制改革委員会の委員として多くの提案をしたが、ほとんど全て官僚により骨抜きにされた苦い経験がある。



【3】令和時代になすべきこと

 憲法改正、徹底した規制緩和、中央集権体制の解体、道州制導入、メディア改革、官制ファンド全廃や相続税廃止、税制改革により外資企業と優秀な移民を日本に大量導入、自分の頭で考え抜ける人財を育成する為の教育の抜本的改革。

 市町村数は半分になったにも拘らず役人の数は減っていない。都道府県等の地方議員は不要であり、デジタル化を徹底すれば、役人も8割減に出来るはず。

 労働市場もより自由で柔軟なものに変えなければならない。テクノロジーの変化が激しい現代では、社会人は就労しては学び直すことが必要である。「リカレント教育」を充実させて社会人の為に安心して学び直す機会を与えるべきである。また、米国では、GAFAだけでなく成功しているベンチャー企業の創業者の大半が優秀な移民であるということからも日本は学ぶべきである。優秀な外国人が日本に移民したくなるような制度設計をするべきである。徴兵制があるイスラエルでは、成績の良い上位1%の人財を8200部隊と呼ばれるサイバー軍に入れる。そこで技術を習得した者が続々とIT企業を起業している。中国では、政府主導で深センを米国のシリコンバレーにすることに成功している。

 私はベンチャー企業への投資をしてきて、日本にも素晴らしい起業家がおり感銘を受けているが、そのベンチャー企業を育てる制度が脆弱である。徹底したデジタル化、AI化による「スーパーシティ構想」のような大胆な政策を首相が果敢に実行していけば、日本は昔の輝きを取り戻せる。 

 6月中旬での閣議決定により約20万基の信号機を5Gの基地局に使うことが決まった。これにより、世界競争の激しい5Gを低コストで普及させることが可能になった。



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