トピックス -企業家倶楽部

2019年10月04日

トップの想いを胸にその背中を追う/サインポストを支える仲間

企業家倶楽部2019年10月号 サインポスト特集第4部


今年5月に東証1部上場を果たし、サインポストはますます成長の一途を辿っている。社員は100名を超えたが、「孫の代まで日本を豊かにしたい」という蒲原の想いを社員全員が共有し、お客の課題解決に邁進する。思いやりを持って接する蒲原の下には、その背中を追い、全力で支える社員たちがいた。(文中敬称略)



そこに魂はこもっているのか

専務取締役金融システム事業部長 西島康隆 Yasutaka Nishijima
そこに魂はこもっているのか


 西島は京都大学大学院を卒業後、大手都市銀行のシステム開発会社、外資系コンサル、ITコンサルなどで才腕をふるってきた。この中で銀行の立ち上げに関わると、そのまま役員として入行することとなる。

 毎回「一生この会社にいるのだろう」と思いながらも、転職を繰り返してきた西島。「そもそも、銀行の立ち上げや役員の経験以上に面白い仕事などあるのだろうか。いっそ勤め人を辞め、自営業でも始めてみようか」。そんなことを考えていた折、転職エージェントから「きっと馬が合う」と紹介されたのが蒲原だった。

 当時の蒲原はサインポストを起業直後。「夢はあるが他には何一つ無い」という状況だ。その彼が繰り返し語るのは「この会社は日本を良くするために作った。孫の代の日本を豊かにするために」という強い言葉だった。

「自分が今現在できる仕事ではなく、将来的にできるようになりたい仕事を任せてもらえる」と感じた西島は、すでに決まっていた条件の良い内定を断り、サインポストへの入社を決めた。面談後、未回答のまま誘われた会食の席で「内定を全て断って来ました」と言うと、蒲原は「そんな良いヤツだとは思わなかった!」と感嘆。「人の心が分かる社長だ」と西島は感じた。 

 社員番号は3番。当時は「やりたいことは数多くあるが、どこから手を付けて良いか分からず困っている」という状況である。もちろん、最初から全てが上手くいったわけではない。西島が手掛けていたソリューション事業も伸び悩んでいた。

 そんな時、「西島さんは銀行を作ったことがあるのでしょう。手伝ってもらえませんか」と韓国のメガバンクから声がかかった。これをサインポストのコンサル事業として請け負い、西島は求めていた「仕事の面白さ」を実感することになる。

 蒲原には何度助けられたか知れない。彼が来ると、なぜか話がスッと通るのだ。韓国の銀行による日本支社設立の時も、西島の作成した最初の提案書が認められなかった。蒲原に相談すると、彼は読み終わった書類をトントン叩きながら、「ここにはお前の魂が入っていない」と一言。ただ、西島には思い当たる節があった。

 1時間後、提案書を書き直した西島は客先へと走った。書いてある内容は同じでも、視点や立場が変われば文章が変わり、訴求力が上がる。今度はすんなり提案が受け入れられた。

 折しもその日は社員旅行。西島が後から追いかけ、ちょうど宴会が始まる時に飛び込んで「1億の仕事を取ったぞ!」と叫ぶと、社員一同は大いに湧いた。

 転職を繰り返してきた西島も、サインポストに在籍して10年以上になる。彼がサインポストに居続ける理由は、人との繋がりだ。家族のような付き合いになっている顧客も多い。そうした人たちとならば、どんな仕事をしていても楽しいものである。

「これからを担う若い人の育成、サインポストの成長に尽力したい」と語る西島はまだ40代。若い人材が経験を積む際の助けとなれるよう、さらに奮闘する構えだ。

「組織が大きくなり、社長も立場が変わりましたが、私自身はまだまだ刺激が欲しいので、また現場で社長と一緒に仕事がしたいですね」



思いやりの姿勢を背中で見せる

常務取締役コーポレート本部長 西島雄一 Yuichi Nishijima


思いやりの姿勢を背中で見せる


 サインポストで財務・経理・総務・人事といった管理部門全般を統括しているのが西島雄一だ。7年前にサインポストの顧問会計士を務める知り合いの紹介で蒲原に出会った彼は、蒲原の放つオーラや、「孫の代まで豊かな日本にしたい」と夢を語る姿に惹きつけられ、入社を決意した。

 前職のバイオベンチャーで財務や経理、新規上場に携わった経験を活かし、社員数40名規模であった入社当時の段階から、管理部門の責任者としてサインポストを支えてきた西島。ここ4年間は東証一部上場に向け、中心となって尽力した。

 まだ十分な管理体制が整っていない中、日々の管理業務をこなしながら上場準備に邁進し、今年5月には東証一部上場を果たす。当時を振り返り、西島は「最も思い出深い出来事でした」と感慨に耽った。

 厳しい上場審査を通過するためには、予算作りから社内規定の整備まで、やるべきことが山積みだった。そんな中でも蒲原は、無駄な残業を防ぐため、社員にとって無理のない範囲での効率化を常に考えていた。上場準備と言えば、通常ならば徹夜も辞さない覚悟が必要だが、サインポストではそうしたこともなく、無事に上場まで漕ぎ着けられた。

 上場準備にあたり蒲原と2人で行動することが多かった西島は、日々蒲原が相手の気持ちを汲み取り、真摯に接する姿を見てきた。蒲原について「相手が何を聞きたいのかを的確に理解しようと努め、それに対して正しい答えを返そうとする方です」と語る西島自身、彼を見習い、相手の立場に立って思いやる姿勢を心がけている。

 ある時、昼食を終えた西島が、まだ昼食をとれていない社員に仕事を頼もうとしたところ、蒲原から「自分だけ食べておいて、まだ食べていない相手に仕事をお願いするな」とたしなめられた。顧客だけでなく社員への気遣いも欠かさない蒲原の人柄が垣間見えた瞬間である。

 また蒲原は「流れ作業ではなく、考え抜いて仕事をして欲しい」との意味を込めて「きちんと考えろ」という言葉をよく口にする。社員たちは日々考え抜き、会議では若い社員がのびのびと発言。年齢に関係なく相手の意見を尊重する風土が根付いている。

「横柄な役員は一人もおらず、素直で真面目に頑張る社員の多さに入社当時から驚いています」と語る西島。サインポストでは皆がきちんと考え、間違いは素直に認めて努力する風土を大切にしている。蒲原が作り上げた文化と人材こそが、サインポストの大きな強みになっているのだ。

 現在社員は100名を超え、会社の成長スピードが速くなる一方、「社員が働きやすい環境や制度の整備に、さらに力を入れていかなければならない」と実感する西島。「定年まであと10年ほどしかないので、会社を担う次の世代を育てたい」と意気込みを語った。

「世代ごとに合った指導は必要ですが、尊敬する仲間を見つけて、沢山コミュニケーションをとることは今も変わらず大切。そこをしっかりと教えていきたいです」

 そんな西島も、若い頃には多くの失敗を経験し、それを糧に成長してきた。だからこそ、社員には若いうちに色々な経験をし、成長して欲しいとの想いが強い。

 縁の下の力持ちとして管理部門の中核を担い、蒲原と上場に向けて邁進してきた西島。最後に「社長が掲げる次の大きな目標に向かって一緒に頑張っていきたいと思っていますので、よろしくお願いします」とメッセージを送った。



当事者意識を持って課題解決をする

取締役イノベーション事業部長 奥井裕介 Yusuke Okui


当事者意識を持って課題解決をする


 蒲原とは銀行員時代の同僚だった奥井。「一生働きたい」との想いを持っていたものの、銀行に勤め続けていてはそれも叶わない。そんな中、起業するという蒲原に心を動かされ、新しい世界に飛び込むことを決意した。

 サインポストの設立当初は、蒲原の人脈をもとに様々なコンサルティングの案件を中心とした仕事をしていた。前職はシステムを作ってもらう「お客様」の立場にあったが、もはや奥井は銀行員ではない。そんな彼が最初に直面したのは「意識改革」であった。

 蒲原からよく「お前は偉そうだ」と言われた奥井。お客様視点で考えることを徹底的に仕込まれた。「お客様を意識することで、課題解決の提案方法が変わった」と奥井は言う。課題を理解することは、解決手段を多様に提案することにつながる。そしてそれは、普段から顧客の一番近くにいるサインポストだからこそできることだ。

 蒲原について奥井の印象に残っているのは、ある案件での次の言葉だ。「大切なのは目標を立てることではなく、目標を実現するために具体的に何をするのか考えることだ。それを明らかにしない限り、目標は達成できない。そして施策通りに行動した結果として、できていない理由が見えてくる」

 まだ社員が10人程度だった当時、蒲原から「これは施策になっていない」と何度言われたか知れない。だが、それが現在の部下への指導につながっている。

 
 そんな奥井がよく蒲原から聞くのが、「日本を良くする」という言葉である。「今の我々があるのは先代、先々代の方々が戦後苦労して今の日本の礎を築きあげた結果だ。その礎の上に乗っているだけではなく、孫の代まで豊かになるような礎を作らなければならない」。この蒲原の想いは、先輩から後輩に向けて脈々と受け継がれている。

 サインポストには、蒲原が様々な場所で伝え続けている言葉が凝縮された本がある。各部署で月に1回は読み、該当したページについて社員で議論する機会が設けられている。後輩にその言葉が発された背景を伝承することで、社員同士の認識を合わせているのだ。

 現在奥井は、イノベーション事業部長として「スーパーワンダーレジ」の開発を手掛ける。このAIを駆使した無人レジシステムは、ちまたで話題の「アマゾンGO」とは一線を画す。アマゾンGOが自社サービスの会員に向けて門戸を開いているのに対し、サインポストの「スーパーワンダーレジ」は小売業界や利用客の課題解決を図るためのサービスだ。この製品化こそ、現在の急務である。

「AIに限らず新しいイノベーションを生み続けたい」と語る奥井。世の中の変化に伴って次々と起こる問題に対応し、手を打っていけるのがサインポストの強みである。見落としがちな「当事者意識」を持って課題解決をすることに価値があると、奥井は感じている。

 蒲原について「繊細で非常に気を遣う人」と奥井は評す。お客にはもちろん、社員に対しても同様だ。3カ月に1回行われる和同会の懇親会を始め、バーベキューなどのイベントでも積極的に社員とコミュニケーションを取る。会社が大きくなり、社員との距離が遠くなってきているからこその気遣いである。

 そんな蒲原に奥井は「初心忘るべからずで頑張りましょう」とメッセージを送った。



「お客様目線」を体現する

取締役 ソリューション事業部長 笠置哲敬 Akitaka Kasagi
「お客様目線」を体現する


 お客の業務課題を先端IT技術と専門のノウハウを駆使し、解決へと導くソリューション事業部。その部長を務めるのが笠置哲敬だ。前職は大手ITベンダーで、インターネットバンキングなど銀行のシステム構築・開発に従事してきた。

 そんな笠置と蒲原の出会いは、三和銀行(現三菱UFJ 銀行)で立ち上がったプロジェクトでのことだ。当時、データベース構築の担当者を務めていた笠置は、システム開発における実績から声をかけられ、チームに参画。そこで現場の指揮を執っていたのが蒲原だった。

 笠置は蒲原の第一印象について「厳しくて怖い存在でした」と回想する。仕事上、蒲原は銀行側の社員、笠置はベンダーという立場であり、発注者と受注者の関係だ。必然的に、仕事に対して蒲原から厳しい指摘を受けることも多かった。

 蒲原が最も気にしていた点は、ベンダーの認識の甘さ。ベンダーは自分たちが見える範囲で物事を考えがちで、直接のお客である銀行、そして実際にシステムを使う一般消費者までは目が届いていなかった。蒲原はそうした「お客様目線」の欠如を見抜き、指摘していたのである。

「蒲原さんの言うことはもっともなのですが、そこまで広い視野で仕事を考えたことがなかったので、非常に難しかった」と笠置は当時を振り返る。その頃から蒲原が持っていた「お客様目線」は、現在のサインポストにも受け継がれていると言えよう。

 その後、笠置は「よりお客様と近い距離で仕事をしたい」との想いから転職活動を行い、大手PCメーカーに内定。しかし、ふとしたきっかけで蒲原と飲む機会があり、その席で蒲原から、彼が立ち上げようとしている会社の話を聞いた。

 蒲原の「孫の代まで豊かな日本を作る」「お客様の立場で仕事をする」という強い想いを目の当たりにした笠置は、「今まで出来なかった全てがある」と確信。この話の後、蒲原から「うちの会社に来ませんか」と誘われた際には、入社を即決した。

「元々お客様の立場で仕事をするために転職を決意したので、それが実現できる蒲原さんの会社へ入るのに、悩むことはありませんでした」

 こうしてサインポストに第1号社員として入社した笠置。蒲原の強みを聞くと「ブレない姿勢」と答えた。常に企業理念や行動規範を意識し、必ずそこに立ち戻る姿には驚嘆したという。

 笠置は事業部長である以上、様々なプロジェクトに対して責任を持ち、時には厳しい判断を迫られる。一つの決断によって社員のモチベーションが下がり、それが原因で品質や生産スピードが落ちてしまうこともある。

 
 そうした難しい状況でも、蒲原は「社員とその家族を幸せに」という企業理念に則して、「それは社員の幸せを考えた判断か、それで社員は不幸にならないか」と声をかけてくれる。そのたびに笠置はハッと気付かされ、心の整理をつけることができるのだ。

「難しい判断を下さねばならない立場だからこそ、理念を軸として考えなければならないと痛感させられます」と笠置。企業理念に立ち戻る蒲原の姿は、社員にも引き継がれている。

「社長には自由な発想を持っていてほしいです。その発想の実現に対して、私たちは最大限の協力をしていきます」



行動力溢れる大器の人

金融システム事業部カードソリューション部長 武田陽三 Yozo Takeda
行動力溢れる大器の人


 金融のシステム開発マネジメントを手掛けてきた武田。40代に差し掛かり、これからの人生について考えていた時、紹介で蒲原に出会った。第一印象は「仕事を真剣に考えている人」。日本を良くし、社会に貢献したいという気持ちに、本気度を感じた。

 これまで武田の周りには、そうした大きな視点で行動している人間がいなかった。「新たな価値を創出し続け、社会に感謝される会社になる」「お客様に喜んでもらうだけではなく、社員とその家族を幸せにする」との想いが込められた企業理念に共感した。

 蒲原の語る事業内容ならば、これまで自分が取り組んできた仕事の経験が生かせると考え、2008年にサインポストへの入社を決めた武田。入社後、「自分の想像を遥かに超えた蒲原のスケールの大きさ」、「自分の仕事がビジネスにそのまま反映されるベンチャー企業の面白さと責任感」に気付いた。

 社員番号は6番。社内スタッフは10名にも満たなかったが、蒲原の熱い想いに満ちた社内を見て、「人数は少ないが器は大きい」と感じた。手掛けるプロジェクトはまだ少なく、成功も失敗も直接経営に響く。プロジェクトが上手く運ぶためには何をしなければならないかを考え、これまでの経験を生かしながら、お客の要望に応えて動いた。

 担当業務の内容自体は、これまでの仕事と相違無かったが、「銀行のシステム部門の一員になる」という意識をより強く持つようになった武田。当事者意識を持った結果、取引先の金融機関とシステムを一緒に作り上げ、苦労や成功、喜びを共に分かち合えるようになる。顧客と同じ釜の飯を食い、信頼関係を強固にする。これこそサインポストの強さの一つだ。

 10年からは役員も務めた。組織を大きくするために積極的な採用を行う中で、人のマネジメントの難しさを味わった。来年には還暦を迎える武田だが、後進の育成に取り組みつつも、自分自身まだまだ現役だと感じている。

 将来を見据えながら、現在はサインポストの各事業を成長させていくことに注力。注目を集めている無人AIレジ事業も、蒲原が常に言うように「世の中に対して価値を創出し続ける」という柱の一つにしていければと考えている。

 実は社内でAIの話題が出た当初、蒲原は「ありえない」と懐疑的だった。「しかしその後、猛勉強したのでしょう。『武田さん!これからはAIですよ!』と言ってきたのには驚きました」と武田は笑う。

 
コンビニでレジに並んでいる人を見て、問題意識を抱くや否や、すぐにプロジェクトのための組織を作った蒲原。正直、「できるわけがない」と思っていた武田の予想はあっという間に覆され、「実行力があれば何でもできる」ということを見せつけられた。

 顧客のニーズは山積していて、サインポストの夢は大きい。人員、体力が追い付いていないのが現状だ。「まずは役員も含めて人員を増やし、組織を大きくすることが必要」と武田は語る。

「社会を牽引していくような事業を創りましょう。社長には、今以上にどんどん新しいものを生み出す会社へとリードしていただきたい。あとは、私たちより100倍も忙しくて宴席も多いですので、健康にだけは気を付けてください」



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