トピックス -企業家倶楽部

2019年10月11日

「推論」が人類を進化させる 

企業家倶楽部2019年10月号 視点論点


 毎年7月にソフトバンクグループが主催する大きなカンファレンスがあります。その初日の基調講演で孫正義社長が何を語るのか。メディア、IT業界、金融業界の人々は注目しています。私も孫社長の口からどんなフレーズが飛び出すのか、今年のキーワードは何であるか、会場の前列に用意されたメディア席に陣取り注目していました。

 
 ちなみに昨年は「AIを制する者が未来を制する」と口角泡を飛ばす勢いで2時間余り語りつくし、孫社長のAIにかける想いの強さが印象に残りました。これまで「スマホとアジア」がキーワードでしたが、昨年「AI」に全精力を振り切った感がありました。実際にソフトバンクは世界中のAI企業に積極的に投資し、筆頭株主になっています。その規模も中途半端なものではありません。

 現在、世界中にベンチャーキャピタルは4500社あるといわれています。総額で約9兆円のファンドが組成されベンチャー企業に投資されています。しかし、ソフトバンクグループは1社で約10兆円のファンドを運用しています。器が違います。孫社長が世界一のベンチャーキャピタリストと言われる所以はここにあります。

 そして、これだけの資金力があればリスクの高いスタートアップに投資はしません。すでに時価総額1000億円規模に成長しているAI業界のユニコーン企業に数百億から数千億円規模で出資して、ソフトバンクグループの「AI群戦略」を進めています。その位、孫社長はAIに本気だということです。先日、約12兆円となるビジョンファンド2号を設立すると発表しましたから、その勢いは増すばかりです。

 孫社長によると、AIは人類史上最大の「革命」であり、全産業が再定義されるといいます。1990年代、インターネットが誕生したばかりのときには、私たちの生活がネットによりどのように変わるのか想像できた人は多くありませんでした。ITに詳しい一部のテッキーが興奮しているだけで、ほとんどの人は「ネットで本当に飯が食えるのか?」と懐疑的でした。10 年前にソフトバンクがiPhoneを発売開始したとき、現在のスマホの普及率を想像できたでしょうか。断言します。10年後には「AI」は当たり前のように私たちの生活の中に普及し、無いと困るものになっていることでしょう。

 さて、今年のキーワードの件を焦らしすぎましたが、「ソフトバンクワールド2019」の基調講演で孫社長は何を語ったのでしょうか。洗練された数分の動画の後、カンファレンスの主である孫社長がゆっくりと登壇します。AIの次に来るものは何か、数千人が固唾を呑んで見守る中、「ソフトバンクの孫でございます」と物静かに語り始めました。今年のテーマは「AIシフト」でした。2年続けてAIであったことに新鮮味がないという記事もありました。皆さんはどう受け止めたでしょうか?ソフトバンクワールド2019の詳細については、本誌でレポートしています。世界では新しいタイプの企業家が登場していてワクワクします。インド発のAIホテル「OYO」の創業者はまだ25才の若者だと聞き驚きました。すでに世界第2位の客室数を持つホテル王です。近いうちに世界一になることでしょう。農業の世界でもAIは活躍しています。

 私が今年の孫社長のスピーチ最も印象に残った言葉は、「推論」でした。人類の進化を支えてきたものは「推論」であると孫社長は言います。何でもAIが出来るのではなく、AIが最も優れている点は、膨大なビッグデータから導き出す予測・推論であると。AI推論を活用することで人々の生活はより豊かになると結論付けていました。注目していた「ポストAI」は「AI」でした。さて、来年の基調講演で孫社長は何を語るのでしょうか。(T)



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top