• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2019年12月27日

学び続ける企業文化/ニチイ学館社長 森信介

企業家倶楽部2020年1/2月号 ニチイ学館特集第2部 編集長インタビュー1


証券会社からニチイ学館に転職し、寺田親子と共に経営に携わり20年になる。突然の病で会社の大黒柱を失ったが、日本の介護業界は待ったなしの状況である。ここで歩みを止める訳にはいかない。創業者の遺志を継ぎ、第二創業に向けて走り出した新生ニチイ学館の舵を握る森社長にニチイ学館の組織力の源泉について聞いた。


問題の本質を見抜くこと




問 9月28日に創業者の寺田明彦氏が膵臓がんでお亡くなりになりました。急で驚きましたが、生前に何か話をされていましたか。

森 2025年に向けた計画を会長自ら考えて発表しています。さらに30年まで計画を作っていましたので、それまで先頭に立って引っ張って行かれるものだと思っていました。常に先のことを考えておられました。


   生涯現役で、最後まで会社に対する指示でした。「社員一人ひとりの幸せを願い、社会の発展に貢献するように」と話されていました。


   また、土曜日の朝5時に亡くなられたという連絡を受けて、会長らしいなと思いました。


「週末にいろいろな準備をしなさい、月曜から混乱がないようにしっかり対応するように」というメッセージだったのではないでしょうか。


問 寺田会長はどのような人物でしたか。


森 何事にも手を抜かない方でした。いつも寺田会長は想定できる限りの準備をされていました。実際に株主総会や決算発表会の際には、ご自身で原稿を作り、前日も徹夜で準備をされていました。一時間ほどの原稿も覚えておられて、お一人でリハーサルをしている姿を見てきました。


   人前で話をするときはもちろんのこと、会計や法務に関することも決して専門家に任せきりということはありませんでした。自ら徹底的に調べて、専門家が顔負けするくらいの知識を得て、打ち合わせに臨んでいました。そうやって会社として適切な判断を一つひとつ下していました。


問 徹底力はニチイ学館の企業文化と言えるのではないでしょうか。トップ自らがそこまで徹底的に準備をされると部下や社員も大変ではないですか。


森 会長のレベルにはまだ追い付かないですが、徹底的に納得するまで突き詰めること、問題の本質を見抜くように努力することを教えられました。


「日本でナンバーワン、世界でもナンバーワンの会社になるのだから、本当に24時間365日会社のことを考えていないと実現しない」と言われてきました。


   この目標に終わりはない。一つ山を超えるとまた次に山が現れる。会社を少しでも良くしていこう、社会のために良くしていこうという気持ちを持ち続けて、日々努力を続けてきました。事業に対する意欲が枯れることはありません。


問 会長の言葉で印象に残っていることは何ですか。


森 創業の時からお世話になっている広告代理店や金融機関、取引先の方々から受けた恩は、決して忘れてはならないと話していました。


   「受けた恩は石に刻み、かけた情は水に流せ」と会長から何度も言われたことを覚えています。会社の規模は大きくなりましたが、まだ小さな頃から協力して頂いた方への感謝の気持ちを持ち続けるようにと言い続けていらっしゃいました。


問 会長が部下を指導する場合はどのようなやり方でしたか。


森 直接怒ることはありませんでした。指示をする書類に書いてある言葉で分かります。様々な決裁書類があるのですが、寺田会長はご自身の受け止め方をメモして返してくれます。評価が厳しい時などは、鉛筆で手書きの文書が何枚か続きます。鉛筆の芯が折れた跡が残っていたり、これは相当怒っているなと伝わってきます。


   了解という判があるのですが、一番左に押してあり、「よかったです」というコメントがあるのが最もよいということです。中央に判がされていると普通という意味です。判子の位置や筆圧で評価が分かるようになりました。


   直接呼び出して指導する場合とその必要性がない場合と見極めていましたね。




現場の人材を大切に


問 今後のニチイ学館について森社長はどのように経営していこうと考えていますか。

森 2年前に寺田会長が就任し、私が社長になり、役割分担をしてきました。優秀な取締役と執行役員、そして支店長も含めて人材の層が厚いのが弊社の強みです。執行役員もこの数年で50人任命してきました。毎日、適切に業務を執行する体制ができています。


   伝統的に私たちの価値の原点は支店にあります。寺田会長が現場の人材を大切にしてきました。現場の人が力を発揮できるように環境を整備してきたのです。


   支店長を信頼してきました。支店長を選ぶ際にも何年も時間をかけて、候補の人材をリストアップしていきます。一人ひとり目を配り、登用し、能力を伸ばし、育ててきました。そうやって期待をかけてもらった人間はより一層頑張ろうという気持ちになり、どんどん成長していきます。


問 医療事務や介護事業などそれぞれの分野で国内最大手となっています。御社の強みはどこにあるのでしょうか。


森 現場の声を単に聞くだけではなく、多くのことを学んで会社の経営にも活かしています。全国に支店があり、成功事例や失敗事例の発表をして、ノウハウを共有しています。多くの支店のネットワークや組織力が当社の強みとなっています。


   ニチイ学館の社名の由来は、日本の医療を学ぶ館から来ています。常に現場から学ぶ、組織全体がトップから現場まで学び続ける姿勢が引き継がれていると感じます。




社会の変化を先取り


問 第二創業に向けて抱負を聞かせてください。

森 まだ振り返るような時期ではありません。寺田会長の人生は会社そのものといった感じでした。


   なぜ、そこまで仕事に打ち込まれてきたのか少しずつ分かってきました。


   社員一人ひとりの生活が豊かになるように、そのために一つひとつの判断がいかに重要かということです。その判断を下すためにどれだけ努力が必要か、寺田会長は行動で示されていました。私を含め、取締役や執行役員が寺田会長の背中を見て育っていると思います。


問 目標を実現するための課題は何でしょうか。


森 業界全体として人材確保という課題があります。多様な人材にいかに活躍してもらうか考えていきます。


   社会も大きく変わっていきますから、最新の技術を導入していくといった観点も必要となります。


   社会の変化に対応する面と社会の変化を先取りする部分を見落とさないように注意しています。


   まずは、寺田会長が示された「ビジョン2025」を着実に実現して、次にバトンを渡せるようにしていきたいですね。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top