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トピックス -企業家倶楽部

2020年03月12日

地域愛のある企業家/大山健太郎の人的ネットワーク

企業家倶楽部2020年4月号 アイリスオーヤマ特集第5部 


アイリスオーヤマの強み、それは「ユーザーインの視点」る。それを日々意識しているのは大山健太郎しかいないだろう。その視点は本中の生活者の心を掴んだ。それだけでなく、日本中の企業家にも多くの付きを与えたに違いない。これからもユーザーインの視点を持って、世界アイリスオーヤマの名を轟かせる。(文中敬称略)



経営者として刺激を与えてくれる兄貴分

NSGグループ代表   池田弘
経営者として刺激を与えてくれる兄貴分


「伊達政宗の生き返りかと思った。難攻不落です」と大山を表現するのは、NSGグループ代表の池田弘だ。同社は教育を中心に新潟で幅広い事業を手がける。

   池田が大山と深く関わりを持つようになったのは約20年前。ニュービジネス協議会(現 公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会 以下、JNB)の全国組織化が始まろうとした時である。当時、東京ニュービジネス協議会会長であった池田は、東北で会長を務めていた大山に協力を得るため、仙台に赴いた。

   大山は池田よりも4歳年上で、JNBの所属歴も長い。そこで大山に、全国組織の会長に就くことをお願いした。しかし大山は「自分は仙台の人間だから、全国の会長は関東の人がやるべきだ、あなたを推すよ」と池田を推薦した。それほどに大山が東北の地域活性化に焦点を当てて、尽力していることを意味する。

   大山が東北に地域愛を持つように、池田もNSGグループの拠点である新潟への想いは熱い。お互いに地域創生に貢献している経営者である。長年の交流を通じて徐々に腹を割って何でも相談できる関係性ができた。それも大山が池田の緊張をほぐしてくれたことが大きい。
「人生の先輩でもある大山さんから多くの刺激を受けている。特に企業と自分の在り方が非常に勉強になる」と池田は感謝の念を語る。

   中でも池田が「経営者としての模範を見せられた」と言うのが、大山の株式上場に対する考えである。「企業は社員のために報うべき」が大山の信条である。大山は決して上場することを否定するわけではないが、ある種の日本的経営としての在り方を池田に見せた。「社員を大事にして、且つ利益も確保している経営者」と大山を評する。社員のヤル気を引き出し、さらなるモチベーションを上げる大山の経営能力は非常に高い。

   さらに池田は「自分自身に対しても自制心が強く、生きる上でのポリシーが明確な人」とも大山を表現する。大山は普段から健康管理も怠ることはなく、会社に対してだけでなく自身の生きる姿勢も明確だという。

   大山の実践力の強さも池田が讃えるものの1つである。いくつになっても大山の夢は明確で大きい。そしてそのために勢いを落とさず、行動し続けているのだ。「地方に拠点を置く非上場企業でありながら、1兆円を売上げ目標としている企業なんて他にない。素晴らしいことですよ」と池田は語る。

   地方に密着しながらも、大手企業の優秀な技術者らを引き受けるアイリスオーヤマは、日本の国力向上にも貢献し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのあるグローバル企業である。「東北の雄」である大山に対抗して、「新潟の雄」である池田は、「全国の地方創生のモデルを新潟で作っていく」と今後の目標を述べる。池田が統括するグループ内には120もの事業所があり、それらを経営する事業家たちがやりやすい環境づくりを進めていく。

   また、大山と同じ位の年齢の息子を持つ池田は、創業者としての息子との在り方も大山から学んでいる。「企業家の模範としてJNBの会員もさることながら、今後も皆さんに刺激を与え続けてください」と兄貴のように慕う大山にメッセージを送った。



志を共有できる息子のような存在

ダイヤル・サービス社長   今野由梨
志を共有できる息子のような存在


   様々な悩みを抱える人を救うために、電話やウェブを通して真摯に相談者に寄り添いサポートするダイヤル・サービス。一昨年には女性ベンチャーの草分けとして異例の50周年を迎えた同社を率いるのは、今野由梨である。「いかなる出会いも一期一会」の哲学を持ち、親と子の関係で人と接することを大切にしている。今野にとって親子関係にこだわる真意は、もう二度とない縁に、本音で腹を割って話すことにあるという。

   今野にとって9歳年下の大山は本音の付き合いを持続させてきた1人なのである。大山との出会い35年前のニュービジネス協議会設立にまで遡る。全国の副会長として任務を担ってきた今野と東北地区の顧問という関係から始まった。その当時の印象について振り返ると、「今と変わらない」と一言。そう言わしめる大山の人柄は企業理念に表れている。

   今野は大山の掲げる企業理念を念入りに読み込み、自身の企業理念と類似していることに驚嘆した。苦しむ人を助けたいという根本の願い、いわゆるマーケットインではなく、ユーザーインの視点。創業当時からブレることのないその理念は、オイルショックやリーマンショックといった世界規模で会社の存続危機に関わる試練を今野と同じように若い頃に乗り越えた過去に起因していると分析する。このユーザーインの考え方が、アイリスオーヤマの確固たる地位を確立していると評する。

   時代が変化していっても、業種が全く異なっていても、一貫した企業理念を持ち、まるで自分の意志を継いだかのような大山に、今野は母親の目線になってしまうという。そんな「息子」が時代を牽引して大躍進を遂げている事実に誇らしく嬉しい気持ちだと微笑ましく語る。

   大山の財産は誰かのために何かしたいという企業理念に加えて、もう1つは社員にあるという。社会を変えていくというとめどない大山の意欲に臆せず付いてくることの出来る社員がいたからこそ今があると語る。自身も会社を率いる経営者として嫉妬する一面もあると言いつつ、そんな素晴らしい社員を育てあげた大山の経営力に畏敬の念を示した。

   現在でも年に数回会食を共にしているという二人だが、食事の場ではどんな話であっても国や世の中に対する思いが溢れ出る。仕事を誰かのために何かすることと捉えて闘志を燃やし、次なる国の使命を共有する存在として「信頼できる人」とも語った。

   社内行事で行う月1回の誕生会ではアイリスオーヤマの「生鮮米」をお祝いとして重宝していたり、飼い猫のベッドや様々な家電製品など何気なく利用していて気づいたらアイリスオーヤマの製品が身近にあるという今野。きめ細かいマーケットからニーズを読み解く大山の能力には日々驚かされているという。

   大山へのメッセージとして「中国・韓国への事業進出に力を入れて、日本の素晴らしい企業魂を広げて欲しい。アジアのみならず世界中に高い技術力を、チャンスを、与えていって欲しい」と期待を込めた。さらに「長く続いた企業としてのサステナビリティだけでなく、更なる使命に向かって共にチャレンジしたい。これからも大山さんと生きるというドラマを共有していく」と笑顔で結んだ。



新しいイノベーションを巻き起こす

ジャパネットたかた創業者 髙田 明   
新しいイノベーションを巻き起こす


   国内大手通販会社のジャパネットたかた創業者である髙田明。2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後はテレビショッピングを自粛。5日目に再開するも、その日の売上にさらに5億円を追加し、義援金として被災地に寄付した。大山とは震災後に共通の知人を通して知り合った。「非常にソフトで話しやすく、情熱を持って仕事に向き合っている方だった。人を大切にし、その中に謙虚さを感じた」と髙田は当時の印象を語る。

   日本一LED照明を販売しているアイリスオーヤマ。髙田は中国の大連にある工場を見学した際、品質管理のこだわりやLED照明の品質基準の維持方法、自動化された倉庫に驚いた。当時は現在のように洗濯機やテレビの世界に入るとは思っていなかった。技術者が海外に流出するよりも、そのような技術者を自社で雇用し、その技術を吸収しながら新しいイノベーションを起こしていくということに取り組んでいる画期的な会社だ。

   ユーザーインの発想はジャパネットにも共通していると髙田は感じている。消費者を意識した商品開発をしていても、他社メーカーとの競争になるとその発想から遠ざかってしまう。しかし、大山は新しいチャレンジャーとしてユーザーインを大切にしたモノづくりをし続けている。家電は時代の流れとともに変化している。「公害がでてきたから空気を綺麗にしようと生まれたのが空気清浄機。空気清浄機なんて全くなかったけど、今はもうなければならない必需品になっている。時代の流れをしっかり受け止め、商品開発をすることが大事だ」と髙田は語る。

   また、髙田は大山と事業継承についても共通の考えを持っているという。「どのタイミングでバトンをタッチするかということを考えながら動いている。継続した成長には次の世代が新しいイノベーションを起こしていく必要がある」と。「新社長は先代の成功をなぞっていくだけではなく、挫折をしながら成功体験をしていかなければならない」と髙田は言う。

   アイリスオーヤマについて「時代の中の変化を受け止めて、消費者目線でモノの開発をしていく。長い時間をかけて開発をするのではなく、優秀な技術者を受け入れ、ユーザーインの発想を実現させることでイノベーションをどんどん加速させている会社」と髙田は語る。イノベーションと聞くと「新しいもの」と考えてしまうが、「今あるものをどう変えるか」というのもイノベーションである。商品開発の視点には画期的な発明以外にも切り口を変えるという柔軟な発想も必要になってくる。髙田は大山についてこう言う。「大山会長は消費者目線で商品を生み続け、また世の中を見続けている。その努力を継続し、その中で化学反応が起こった時にひらめきが生まれている」と。若い時から何事にも関心をもってきた大山。それが現状に満足することなく、次に向かうという姿勢に繋がっているのだろう。これからアイリスオーヤマが家電の雄になってくる可能性は大いにある。

   最後に髙田は「新たな家電業界や新しい世界を作り上げようとするイノベーションにすごく敬服しています。アイリスオーヤマが生み出す家電がどう変わっていくかを一消費者として楽しみにしています」とメッセージを送った。



ロジカルと負けないガッツがある企業家

法政大学経営大学院   イノベーション・マネジメント研究科 教授   米倉誠一郎  


ロジカルと負けないガッツがある企業家


   当時、一橋大学の名誉教授であった米倉誠一郎と大山が出会ったのは今から10年以上前。アイリスオーヤマのビジネスモデルに興味を持った米倉は自身が執筆する一橋ビジネスレビューで経営者インタビューを行った。「大山会長のユーザーインの発想は非常にロジカルだ」と米倉は語る。他メーカーが高性能、高品質で高価格なモノづくりをしているのに対して、大山は徹底した消費者の視点から家電を作り直した。新しいマーケットを作り、日本が誇る優秀な技術者を融合させて自分たちに何ができるかという考えは非常に論理的である。それを実現できたのは大山にアントレプレナーシップがあったからだ。

   また、「大山会長は非常にロジカルだ。しかしそれだけではない。彼には企業家特有の『負けない』というガッツがある」と米倉は力強く言う。マーケットの中でどこに大きな機会があるかというポジショニングビューと自社にある強みは何かという経済用語で言うところのリソースベースドビューが上手くミックスしていると米倉は分析する。大山と同じ考え方をして、同じようにやっても成功するとは限らない。つまり、大山のやり方は必要条件だが十分条件ではない。そこには大山が考える世界観も大切になってくる。「新商品会議で誰もがどんどん意見を言える環境は大切だ」と米倉は語る。組織を維持するためにプロダクトアウトが多くなってしまう日本のモノづくりの中で、ユーザーインの視点と誰もが意見を出せる環境がある限り家電業界の先頭を行くだろう。

    アメリカのサフィ・バーコールが著した『ルーンショット』という本に「誰も相手にしない馬鹿げたアイデアが実はイノベーションにとって大事である」と記されている。普通であれば潰されるアイデアを潰さない組織構造があるか、インセンティブシステムがあるかが重要になってくる。本質はいかれたアイデアを潰さないことだ。

「震災後、『仙台を走るたびに胸を突き上げてくるものがある。これはほんとに嫌だった』と大山会長は言っていた」と米倉は振り返る。その中で自分がやらなければ誰がやるのだという使命感。縁があって、仙台に工場がある自分には何が出来るか。大山はそれを考え続けていた。

   大山がLED照明の販売価格を原価からの逆算ではなく、主婦が購入しやすい価格帯で販売したことに関し、これは松下幸之助の考えにも通じるという。 買い手の生活を想像し、その世界観の中でいくらなら購入できるかを考える。そして、その価格で販売するためには何個生産する必要があるかを逆算していく。大山のSRG(シンプル・リーズナブル・グッド)の考えとよく似ていて非常にシンプルな発想だ。
「例えば、おいしい米を炊くとき日本人の多くは電気釜の性能にこだわる。一方で大山会長は、釜はどれも同じで米の質が大事だとシンプルに考えている。このロジックはすごく良いのにまだ浸透していない。人間は保守的なのかな」ともどかしそうに米倉は言う。

   最後に米倉は大山に向けて「まだ終わっていない。大山会長、ゲームは始まったばかりです。これから世代交代や新しい家電の世界、ブランドとして世界に輝くということも考えて欲しいです」とメッセージを送った。



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