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トピックス -企業家倶楽部

2020年03月10日

家賃が200万円もするのにスタバが儲かる理由/スリーウェルマネジメント代表 三ツ井創太郎

企業家倶楽部2020年4月号 繁盛店から学ぶ





   このお店の前を通らない日はないと言っても過言ではない。今や日本全国に1300店舗を超える展開をしているスターバックスコーヒー。皆さんは日頃から駅前などの一等地に展開しているスターバックスコーヒーを見て「なんで1杯300円~400円のコーヒー店がこんな家賃の高い場所に出店できるんだろう??」と疑問に思われた事はありませんか?今回はこうしたいつも見慣れたお店からビジネスモデル構築について学んでいきます。




   今回はこんな皆様の疑問にお応えしていきたいと思います。スターバックスコーヒージャパン株式会社は平成27年に上場廃止となっていますので、それ以前の決算資料などからスターバックスコーヒーの強さを見ていきます。

   まず飲食店の経営分析を行う上では「FL比率」という指標が重要になります。FはFood costの頭文字で売上原価(食材費)という意味、LはLabor costの頭文字で人件費つまりFL比率とは原価率+人件費率の合計という事になります。

   一般的に飲食店では売上高に対してFL比率で60%以内、さらに家賃も含めたFLRコスト比率(RはRentで賃料)で70%以内に収めるというのが重要と言われています。さらにFL比率を55%以内に抑えられている業態はかなり優れたビジネスモデルであると言われています。もちろんこれらの指標は業態や出店場所等によって変わりますので、あくまでも一つの経営指標としてとらえて下さい。



スタバの強さ

それではスターバックスコーヒージャパンの平成26年3月期の決算を確認していきますと、F=原価率は28・3%、L=人件費率は26・7%となっています。つまりFL比率でちょうど55%、まさに飲食店のお手本のような業態です。先ほど申し上げたようにFLR比率で70%に収めるのが一般的な飲食店経営指標ですので、FL比率が55%であるスターバックスコーヒーは理論上では賃料に15%ものコストをかける事が可能という事です。

   ではスターバックスコーヒーの1店舗当りの売上はどれ位あるのでしょうか?決算を発表していた上場時の決算報告資料を確認すると、全体の売上高は1256億円となっています。この段階での店舗数が1034店舗ですから、単純計算でも1店舗当たり平均で年間1.2億円、月商1000万円の売上があるという事です。しかし、この1034店舗には店舗での売上が全て計上されないライセンス店舗が含まれていますので、実際にはもっと1店舗当りの売上が高いという事になります。

   私が行った調査では、好立地のスターバックスコーヒーですと1坪当り月商は40万円を超えています。つまり50坪程度のお店では月商2000万円を売り上げる事になります。続いて賃料に関してですが、これは地域や物件の階数などによって大きく変わりますが、調査データを調べると東京都内の1階の店舗賃料相場は1カ月、1坪当り26000円程度です。神奈川県ですと17000円程度、千葉県ですと13000円程度、当然ですがさらに細かいエリアや階数、駅前、郊外などの諸条件によって賃料相場は大きく変わります。皆さんにとって賃料が高いイメージがある東京銀座、この銀座がある東京都中央区ですと店舗賃料相場は平均でも40000円程度、最も高い場所では20万円を超えます。

   では、例えば好立地で坪40000円の賃料の場所にスターバックスコーヒーを出店した場合、つまり50坪で賃料が月200万円であったとしても、月商が2000万円( 50坪×1坪月商40万円)であればR比率=賃料比率は10%となります。先ほど申し上げたようにスターバックスコーヒーのFL比率は優良店指標の55%でしたので、賃料の10%を足してもFRL比率は65%となり、優秀な利益を出す事が可能となります。実際に先ほどのスターバックスコーヒーの決算資料を確認すると全店舗の合計賃料比率は10・9%となっています。こうして実際の経営数値を見て頂くとスターバックスジャパンの優れた経営状況がお分かりになるかと思います。その中でも取り分け優れているのが、先ほどから申し上げているFL比率です。特に1杯数百円にも関わらず原価率を28%程度に抑えられているのはなぜでしょうか?その一つの理由は大きく3つあります。
スタバの強さ

大量仕入れによる原価抑制

   当然ながらコーヒー豆などは大量に仕入れる事で仕入れ価格を抑える事ができます。実際にスターバックスコーヒーの決算資料を見ていくと、大量仕入れの状況をみる事ができます。ここでは「在庫回転日数」という指標を見ていきます。

   これは会社として保管している原材料などが何日分の営業分かを算出した指標になります。実際にスターバックスコーヒーの在庫回転日数を計算すると約23日となります。在庫回転日数に関しては、業態や事業規模によっても変わる為、一概に適正値などは言えませんが、一般的な飲食店ではどんなに長くても10日以内となります。こうして考えるとこの23日という数値はかなり長い数値となります。つまりそれだけ大量に在庫をストックしている=大量仕入れを行っているという事になります。仮に個人店の飲食店等が23日分もの在庫をストックしていたら資金繰りなどでかなり苦労する事になります。こうした大量仕入れは大手チェーンの資本力があってこそできる事でもあります。



高付加価値商品の販売

   皆さんもスターバックコーヒーで一度はシーズン商品を飲んだ事があると思います。その代表が「フラペチーノ」です。今ではすっかりお馴染みとなったこの「フラペチーノ」という商品ですが、他のコーヒーチェーンでは販売されていません。

   なぜかというとこの「フラペチーノ」という商品名は、「フラッペ」と「カプチーノ」から生まれた造語であり、スターバックスコーヒーの登録商標となっています。つまりフラペチーノはスターバックスコーヒーでしか飲む事ができません。もちろん類似品はあります。

   そしてこのフラペチーノの価格を見てみると、現在、限定商品として販売されている「チョコレート with アーモンド プラリネ フラペチーノ」590円、ドリップコーヒーがショートサイズで290円ですので、スターバックスコーヒーの中でも高単価商材と言えます。

   スターバックスコーヒーでは2012年夏より季節限定フラペチーノを販売しており、現在においても革新的な季節限定のフラペチーノを販売する事を重要戦略として位置付けています。こうした付加価値が高い、他店には真似できない高単価商品を次々に投入できる事も、客単価アップや原価率抑制、粗利額アップに効果を発揮しています。


高付加価値商品の販売

ドリンク売上比率の高さ

スターバックスコーヒーとの比較として、ドトール等のチェーンを展開する株式会社ドトール・日レスホールディングスの原価率を確認すると40・2%となっています。

   これにはドトール以外の業態も含まれますので、ドトール業態単体の原価率を公表していた平成20年の決算資料を確認すると、ドトール業態の原価率は49・3%となります。

   スターバックスコーヒーの原価率は先ほどから申し上げている通り28・3%です。ではなぜ同じコーヒーチェーンでありながら、これだけ原価率に差があるのか?

   これはスターバックスコーヒーに限った事ではありませんが、一般的なコーヒー店、カフェ店においてはドリンクの売上比率が店舗の原価率抑制には重要となります。通常はフードメニューや、物販メニューはドリンクメニューに比べ原価率が高くなります。実際にスターバックスコーヒーのアイテム別の売上構成比を確認すると、下記の表となります。

   この表を見て頂いて分かるように、スターバックスコーヒーはビバレッジ=ドリンクの売上構成比74%と、他のカフェやレストランチェーンと比べ圧倒的に高いのです。

   この理由は前項で述べたフラペチーノなどのシーズン限定ドリンク商品の重点販売なども起因しています。フードメニューよりも原価率が低いドリンクメニューの売上構成比を高める(もちろんそうではない商品もありますが)事で、店舗全体の原価率抑制を実現しているのです。

   このように、大手チェーンならではの資本力と、高付加価値商品を生み出す商品開発力を発揮することで、他のカフェやレストランチェーンではなし得ないFL比率を実現しています。そのことが、高賃料でも条件の良い好立地に出店できるビジネスモデルを可能とし、他社にはない強みであると言えます。

P r o f i l e

三ツ井創太郎(みつい・そうたろう)

飲食専門のコンサルティング会社、スリーウェルマネジメント代表。一般社団法人日本フードビジネス経営協会理事長。長年、飲食業界の現場で培った経験を武器に、個人店から大手外食企業、国内から海外まで幅広いクライアントに対してコンサルティング支援を行う。HP上で飲食店経営のあらゆる課題を解決する無料ノウハウブログを100記事以上公開中。


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