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トピックス -企業家倶楽部

2020年01月27日

第3部 ニチイ学館を支えるスタッフ 成功事例を共有するしくみ

企業家倶楽部2020年1/2月号 第3部 ニチイ学館を支えるスタッフ

現場の自律に向けた取り組みVIPRO活動

 


現場の自律に向けた取り組みVIPRO活動


創業者の寺田明彦が目指したのは、現場の声を大切にする組織である。全国に展開する各拠点でサービスを提供するスタッフが自ら考え、主体的に行動することで成長し、やがて自分たちと同じように人材を育成する仕組みを作り上げた。この取り組みこそニチイ学館の強さの秘密と言えよう。その中心的なメンバーとなる6名に日々の活動について聞いた。

(文中敬称略)




星野 VIPRO(ビプロ:ビジョン実現推進プロジェクト)は2017年4月から始まりましたが、03年に前身となるICAPP(アイキャップ)が立ち上がりました。寺田会長は、「時計の針でいうと12時の人ではなく、10時の人がいい。これから上がっていく人。8時ではなくて、10時の人」とよく話していました。そういう人が選ばれたと思います。
   以前のICAPPも現在のVIPROも話し合っている内容は変わりません。「人材不足」、「研修体系」、パソコンが足りているかなどの「拠点の環境」の話などです。会長は先に本社から指示を落とすよりも、まずは現場の意見を聞いて、その中から叶えるということをしてくれました。
   メンバーは皆全国で担当区域を持っています。私は四国担当で4人の支店長から現場の意見を聞きました。自分たちで答えが出せる問題はその場で解決し、解決できない課題は本社に持って帰ります。そして、その答えを現場に持ち帰ります。
   ここに携わった人が支店長になり、本社で役員になりました。皆が12時の人になり、それが会長の本当の想いだったと思います。寺田会長は、どんな意見でも「それいいよ」「そうか、頑張っているな」と褒めてあげていました。現場の声は絶対に拾っていました。

小髙 会長からは「今まではトップダウンが多かったが、これからはボトムアップで、現場から声を上げるように。現場の代表としてVIPROに挙げてほしい」と話がありました。どこの拠点でも人材不足が一番の課題です。全国から様々な声が集まり、色々な取り組みがあることを共有できました。
   一例ですが、募集のために「のぼり旗」を出すにも『ヘルパー募集』ではなく、『ヘルパーさん募集』とした方が多く集まると教わりました。そのような成功事例を拠点に持ち帰り現場に伝えています。

篠村 私は学校を卒業したその年に介護保険が始まり入社しました。仙台も人材獲得は課題です。拠点の人が講座の講師として行くことで、受講生と直接話をすることができます。介護の仕事が向いている方に直に声掛けをすることで効果が上がっています。
   訪問介護と施設介護の両方の経験をさせて頂いています。訪問介護では決められた時間の中でやることが多く、もっと寄り添って話を聞いて欲しいという想いを感じながら、24時間の一部の支援となってしまい歯痒く思っていました。
   また、施設介護は一日の生活スタイルが見られますが、大勢の中の一人になってしまい、その人のためだけに割く時間が取れずに寂しいと思います。どちらもメリットとデメリットがあります。しかし、将来的には人口は増えませんので、施設は増えず訪問介護が増えると予測されています。

後藤 介護の仕事に向いているかどうかは、授業に対する態度や実習の見学の際の会話の内容から判断できます。相手のことを思えるか、気遣いができる人は向いています。基本的に自分たちよりも年上の人でいろいろ経験を積んできている相手なので、尊敬や敬う気持ちがないと良いサービスはできないと思います。
   VIPROを通して19年4月に支店長に就任しました。一支店の30人から300人規模に担当する規模が増えました。経験を積み、知識を身に付けていかなければなりませんが、支店長としての器になれるように成長することが目標です。期待に報いたいと思います。

二階堂 私もICAPPからのメンバーです。その時は支店リーダーでした。上のブロックマネージャーから指示があり、支店のスタッフに伝えていましたが、収支や利益など経営の知識もない状況でした。今考えると、ICAPPを通して自分は育成されていました。知識が付いて、自分の考えが持てるようになりました。今更ながら、会長の戦略は凄いと感じます。
   今のVIPROを見ていても拠点の長から支店長になり、育成されています。次のメンバーを育成していく立場になったので、それが私の役割だと自覚しています。
   現在は東日本を担当していますが、現場に行くと、ここにも有望な子がいると発見するのが楽しいです。次のニチイ学館を背負っていく人材を育てていきたいですね。

五十嵐 19年4月からVIPROの新メンバーとして参加しています。介護職で入社15年になります。デイサービスは車でご自宅に迎えに行きますが、ご本人はもちろんのことご家族の様子も見ています。
「この時間を使って食事会に出かけてもいいの?」と聞かれることがありますが、「むしろ、行ってきてください」と伝えます。お送りした際に「今日はお友達と昼食を食べたのよ」と言って元気よく迎えてくれるとやりがいを感じます。
   人材採用の課題など、どこから考えたらいいのだろうと思いますが、今一緒に働いているスタッフがいるのだから、なぜうちの拠点に入ったかを聞いてみました。チラシを配るにしても置かせてくれるところと置かせてくれない場合がありますが、基本的には現場に答えがある訳です。本社に問題解決を依存するのではなく、自分たちが答えを持っているということに短い間に気付いたのもVIPRO活動からでした。今後は当事者意識を持って考えられるきっかけを作っていくのが私たちの役割だと思います。

星野 現場の皆さんは真剣に考えて意見を挙げてくれています。実はできている拠点はそれを成功事例だと認識していません。それは自然にできてしまっているから。そこで、私たちがなぜできているのか質問して、さらに具体的に再現性があるように分析します。
   この1年間は各拠点で課題を出して自分たちで行動する。今度は支店、拠点、個人によってできるできないの差があるので、底上げをしていきます。

   現場の皆の頭の中にノウハウが詰まっています。本人はそれに気付いていないこともあるので、吐き出してもらうための会議です。ニチイ学館の自律は「律」の字を使います。ある程度、会社の方針はありますが、自分たちで考えてできることはやっていくのです。「すべての人にニチイ学館の良質なサービスを提供する」ことが寺田会長の夢でした。オールニチイでこの夢を実現します。



働きやすい職場作りが 患者様のためになる

新宿支店 医療関連支店長 斎藤 寿
働きやすい職場作りが 患者様のためになる


   現在、新宿支店で医療関連支店長を務める斎藤寿。ニチイ学館に入社したのは今からちょうど20年前、埼玉県大宮支店に配属されてからずっと営業畑一筋で鍛えられてきた。

   支店長になってから今年で5年目を迎える。当時は関東エリアで初めての男性の支店長ということもあり、「男性の私で務まるのかなと心配もありました」と斎藤はいう。

   女性が98%という特殊な職場ではあるが、今後労働人口が500万人から600万人不足すると予測されており、他の企業も女性活用に力を入れている。ニチイ学館では、これまでに培った女性活用のアドバンテージがあるが、それにあぐらをかいてはいられない。

   今日では所属するスタッフは1000人を超え、大きな病院では一拠点で数百名のスタッフを送り出すケースもある。診療報酬の作成から、受付など、医者のパートナーとして病院の裏方の業務を一手に請け負っているのがニチイ学館の強みと言えるだろう。斎藤が支店長として今、最も力を入れているのは、「働きやすい環境」と「やりがいのある仕事」の実現である。無駄を省き、効率的に仕事をすることを心掛けるようにスタッフに声を掛けている。

「最終的には患者様のためになるということを信じて仕事をすることで、働き甲斐も忘れないで頂きたい」

「社会貢献に繋がる仕事だと私自身もスタッフも信じています。利他の精神で業務に当たっています」と斎藤は言う。

   医療事務や介護事業では患者やお年寄りに接する機会が多い。困っている人のためになるという意識を持って仕事をすることで、回りまわってニチイ学館の従業員のためにもなるという心構えで職務に当たっているという斎藤。

「責任者会議では抱えている部下のためになるのかという視点を持って、業務改善について提言するように気を付けています」と支店長としての心構えについて語る。

   創業者の寺田とは、会議の席だけでなく、数回食事の場で同席したことがある。「一支店の営業から本社に行った際に飲みに連れて行って頂きました。私のことなどご存じないと思っていましたが、『大宮で頑張ってもらっているね』と声を掛けてくださいました」

「会議の終わりに握手をするのですが、その手が大きくて、包み込まれると『また頑張ろう』と思えるのです。カリスマ性がありました」と斎藤は寺田とのエピソードについて嬉しそうに話す。

   新宿支店長として、今後の課題は徹底的に業務の「効率化」を図ることだと言う。当然のことながら業務マニュアルを整備し、そこで終わらずに常に効率化ができないかと見直していく習慣を作らないとならないという。

「効率化を図り、生産性が向上することで少ない人数で仕事ができれば、人材不足も解消できる。さらに長時間勤務も減れば、離職率も下がるなど好循環になるので、中心的に取り組む」と斎藤はいう。



親を想う気持ちで介護に取り組む

新宿支店 ヘルスケア支店長 篠原香緒里
親を想う気持ちで介護に取り組む


   人に接するのが好きだった篠原香緒里は介護に関心を持ち、2000年にニチイ学館で開講している「ヘルパー教育講座」を受けたのが介護事業と携わるきっかけとなった。篠原の実家は関東であったが、当時は故郷から遠く離れた石川県に住んでいた。

「知らない高齢者の方のお世話をすることで、きっと巡りめぐって自分の父母や祖父母が同じように優しくしてもらえるのではないかというそれだけの想いでした」と入社の経緯を穏やかな表情で篠原は語る。

   最初からヘルパーになろうと決めて入社したのではなく、教育講座を受けたところがたまたま介護事業もしていたので、勉強したことを活かしたいと思い、パートから始めた。

   金沢支店で10年間、現場でヘルパーの経験を積んできた。その後、東京に移りお茶の水支店で支店長として勤務し、19年4月から新宿支店でヘルスケア事業支店長に就任。新宿、中野、杉並、三鷹、武蔵野といった中央線沿いと小田急線沿いの広い範囲を受け持っている。

「地方と都市では働き方やお客様の雰囲気も違います。地方の訪問介護の場合、移動は車ですが、都内は自転車であることに驚きました」

   金沢支店に勤務の際には近くに拠点がなく車で30分かけて訪問し、30分間介護をして、また拠点に帰って来るのが当たり前であった。都内では車を止める場所もなく、「自転車が一番効率は良い」と篠原は言う。

「それでもまだサービスが提供できていないエリアが存在しています。今いる人員でなんとかしようとすると、ルート組みを改善するなど生産性を向上させたい。効率を考えて提供できるエリアを広げていきたい」と篠原は今後の意気込みを語る。

「介護の仕事で辛かったことはありません。苦労はありますが、気持ちの切り替えができます。一方で24時間ずっと一緒にいる家族さんの方が大変だと思います」

「家族だと遠慮がなくなってしまいますが、例えば私たちにわがままを言われてもお客様という感覚で接することができます。

   1時間お世話をしたら『また明日ね』と笑顔で帰れますしね。その方が気詰まりせず、家族関係も上手に行くと思います」と介護サービスを賢く活用することの必要性を説く。

「寺田会長は視野がとても広く、先見の明があります。私も20年間ニチイ学館に在籍していますが、20年前に会長が仰っていたことが今必要なことが多いです」

「10年前には分からなかったことが今になって理解できるようになりました。会長はどのような想いでこれらのことを作ってきたのかなと考えさせられます」と篠原は仕事を通して寺田会長の視点の高さを実感している。

「通いのデイサービスでも訪問介護でも、サービスの前と後で変わらない生活をしていただくことです。安全安心を最優先に心掛けるようにスタッフには指導しています」と介護サービスをする上での心構えについて語る。



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