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トピックス -企業家倶楽部

2020年01月27日

【ベンチャー必勝の法則】リゾート運営の達人として観光業界をリードする/星野リゾート代表取締役社長 星野佳路

企業家倶楽部2009年6月号 ベンチャー必勝の法則・2 

宿泊施設運営と企業再生

   星野リゾートはリゾート施設の運営会社です。1904年、開発に着手した長野県軽井沢の温泉旅館(現・星のや軽井沢)が本拠地であり、所有と運営をしています。温泉旅館の再生・運営を主軸にブライダル事業や不動産販売事業、さらにエコツーリズムなどを行っています。91年、4代目として星野温泉(現・星野リゾート)の社長に就任した直後に、当社のビジョンを「開発や所有にこだわらずリゾート運営の達人を目指す」と掲げました。時を同じくして、バブル経済崩壊後の不良債権処理が始まりました。宿泊施設運営と企業再生は、実はやっていることは全く同じで、私達が積み上げてきた運営のノウハウを活用出来たのです。その一番の鍵は、リゾートで働くスタッフのチームワークや目指している方向性の共感度、戦略を明確にしたときのモチベーションなどです。



旅館サービスの革新と日本らしさを特化

   星野リゾートを継いだ時の最初の壁は同族経営のあり方でした。同族経営には長い目で見られ、株価などは短期的には気にしないという良い面がありますが、一番の問題点は同族経営者による公私混同です。いかに自分に厳しくなれるか、企業の成長と社員の生活を考えた時、スタッフと一緒に対等な立場で経営に当たれるかというのがポイントですが、そこは私自身も相当時間が掛かりました。最終的には割り切るしかなく、企業として経営者としてやるべきことをやるという覚悟の問題だと思います。

   リゾート法(総合保養地域整備法)が制定され、大量に大手資本が入り日本中に新規開発が起こり、外資がどんどん入って来ました。お客様も産業構造も変わるという時には、老舗も動かなくてはいけない時があります。しかし温泉旅館は世界のリゾートのスタンダードに対して、あまりにもかけ離れた存在になっていました。温泉旅館の仕事に慣れ、それを時代に合わせ改善することに背を向けてきたのです。

   しかし、星野リゾートでは温泉旅館でありながら、朝食はお昼まで召し上がれますし、夕食は館内のレストラン以外にも、地域のレストランをご紹介し送迎もしています。24時間ルームサービスも可能です。料金に食事を含めず、チェックインやチェックアウトの時間もフレキシブルにしました。これらが連泊を促して08年の年間稼働率は83%でした。ADR(平均客室単価)が5万円を越えてきましたので、東京の一流ホテルに遜色ないレベルになっています。

   外資系の運営会社と競合します。しかし、洋風の大型ホテルの運営はヒルトンなどの方が上手かもしれませんが、温泉旅館を運営させたら私たちの方が上です。日本人のおもてなし、日本文化をテーマにしたリゾートで星野リゾートは競争力を持っています。温泉旅館はポテンシャルがあり、国内だけでなく海外のお客様にも評価されているエキゾチックな日本文化を反映した宿泊形態なのです。



リゾート業界の課題

   宿泊施設が抱える一番の課題は労働環境で、スタッフの報酬や休日、福利厚生などの点です。業界としては至らないところがまだ沢山あり、良い人材を集めていくことは非常に大切な問題です。大学の観光学科がいくつも出来て、そこから良い人材が生まれてきていますが、より優秀な学生が増え、活躍してもらえるような場を作っていくことが一番重要であると思っています。

   また、リゾート業界としての課題は2つあります。1つは「需要の平準化」です。現在地方の観光地においては一年のうち100日が黒字で265日が赤字です。これは休日が集中しているからです。フランスは2月に2週間休日がありますが、地区によって休日をずらせます。ですから私は日本でもゴールデンウィークを時期をずらして県別にとるべきだと提案しています。そうすれば4月から6月まで需要が平準化します。高速道路が空き、泊まりたい宿泊施設に泊まれるようになります。すると黒字と赤字が逆転し、良い人材を固定的に雇えます。これは産業競争力を高めるために非常に重要なポイントです。

   2つ目は交通料金です。ヨーロッパの航空業界は3割くらいが格安航空会社(LCC)です。LCCならイギリスからフランスのスキー場へ8000円で行けるのですが、日本では羽田から北海道の自国のスキー場に行くのに3万円掛かります。日本ももっとLCCが入ってこられるような環境整備が必要です。



星野リゾートの めざすもの

   日本の産業は、人口減少とともに内需自体が中長期的には落ちていくトレンドです。しかし、観光産業だけは、国を挙げて観光立国を目指しているため、海外からの旅行者は益々増えていくという環境にあります。日本への観光客数は約830万人ですが、フランスは人口が6000万人の国に約7600万人集めており、トップ5の国は3000万人以上の集客をします。

   観光大国の条件は、アクセスが良いこと、知名度があること、治安が良いことです。この3つは日本が世界でトップクラスです。2010年に2000万人という目標を設定していますが、大きく成長する市場として観光産業は注目されています。同時に地方への経済効果という意味で非常に大きな役割を果たせるでしょう。

   また当社の温泉旅館「星のや」をブランド化し、広く展開したいと思っています。「星のや京都」を09年の末までにオープンさせる予定です。京都、広島などの日本の定番ルートを日本らしく演出し、それ以外の地方にも沢山の外国の方々が周遊できる良い企画を考えていかなければなりません。

   顧客満足度調査も国別で取り始め、国ごとに大きく要望が違うと実感しています。海外からのお客様は将来的にはもっと多くなりますので、細かいニーズに答える対応をしていく必要があります。



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