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トピックス -企業家倶楽部

2020年05月14日

専門性と信頼感で躍進

企業家倶楽部2020年6月号 ストライク特集第2部 ストライクの強さの秘密





上場M&A仲介会社の最後発でありながら、存在感を増しているストライク。同社には公認会計士や弁護士など各分野のスペシャリストが集まる。クールにドライに進むように見えるM&A。実は「人」を前面に押し出し成果を伸ばしている。そんな同社の強さの秘密に迫る。(文中敬称略)




強さの秘密1 時代の追い風



経営戦略としてのM&A

 今やM&Aは一つの経営戦略として認知されるようになってきた。M&Aは売り手と買い手が存在し、それぞれのニーズは異なっている。売り手側のニーズは事業承継が大多数を占める。これは、中小企業の経営者の高齢化が進んでいること、後継者がいないという理由によるものだ。今後、数年間はこの傾向が続くことが予想され、同社の事業の追い風となっている。

 他方、買い手側のニーズは、次のようなことが挙げられる。

●新しい事業を始めたいが、ノウハウがない

●事業を拡大させたい

●投資対象を探している

 中小企業庁の調べによると、 M&Aの実施目的は「売上・市場シェ アの拡大」、「事業エリアの拡大」との答えが多い。これは自社の付加価値向上を企図してM&Aを行っている企業が多いことがうかがえる。また、2009年以前では、「経営不振企業の救済」を挙げている企業の割合が高かったが、15年以降では、「新事業展開・異業種への参入」を挙げる企業の割合が高くなっている。この背景には、少子高齢化が進み、中小企業が抱える慢性的な人手不足の問題がある。自社の努力だけでは、事業を維持、拡大しようにも成長戦略を描くことができないのだ。

 その様な状況下で、優れた技術・サービスを持つ企業を買収することは、自社の成長戦略を効率よく実行していく有効な戦略としてM&Aが選択されてきているのである。売り手企業が事業承継で問題を抱えているところもあれば、そうでないところまで、幅広くマッチングの可能性があるのだ。

 このように、売り手と買い手双方のニーズがあるということは、中間に立つM&A仲介事業のニーズも当然あり、吹き始めた追い風はしばらく弱まることはないだろう。取締役の金田和也は「M&A業界は日本における数少ない成長業界。普通にしていれば、普通に成長できる。だからこそ大きなチャレンジが必要」とその追い風をしっかりとキャッチして、大きな成長を目指している。中小企業をメインターゲットに据えて事業を展開してきた同社にとって、市場の追い風も強みに変え、成長の原動力に変えていく勢いを感じる。そして、何より、M&Aはますます世の中から必要とされているのだ。


経営戦略としてのM&A


強さの秘密2 卓越した専門性から生まれる信頼感

公認会計士が中心のM&A仲介会社

 同社が取り扱うM&Aの代表的な流れを見てみよう。譲渡希望のお客の場合、セミナーや広告などを通じて、会社を譲渡したいお客からの相談を受け付ける。その他にも、全国の業務提携先(金融機関、会計事務所や税理士)や自社サイトの「SMART」を通じて案件を探す。

 売り手からの正式な依頼を受けて案件化を行う。この時点で、譲渡の条件を整理し、会社の事業内容、財務内容をしっかりと把握し、「企業価値評価」を行い、買収候補企業への照会資料を作成する。その後、SMARTの活用やネットワークを駆使して買収候補先を探し、譲渡希望のお客に紹介し、トップ面談を経て、買収候補先を1社に絞り込む。ここで終わりではない。買収候補先による財務調査等を経て、最終的な条件合意を経て成約となる。

 この一連の過程には高い専門性が求められる。売り手と買い手にはそれぞれが希望する価格がある。売り手はより高く、買い手はより安くというのが心情である。上場企業であれば、市場で取引される価格で会社の価値は把握しやすい。しかし、非上場企業それも中小企業ともなると簡単なことではない。そもそも、売り手企業が中小企業の経営者であればなおさらのことである。会社を譲渡しようと思って、初めて自分の会社の価値・価格を意識するのではないだろうか。

 同社はこの企業価値評価に定評がある。なぜなら、社長の荒井をはじめ、多くの公認会計士を擁しているからだ。客観的な評価は時に売り手企業の経営者にとっては、納得のいかない額を提示することもあるという。しかし、「助かる見込みのない患者に無責任に『大丈夫ですよ』という医者はいなでしょう」荒井をはじめ、経営幹部は口をそろえて言う。彼らは「企業のドクター」として、プロ意識を持って評価を行っているのである。売りたい企業が迷ったときには、売り時を逃さないように、気持ちに寄り添いながらもも背中を押してあげることが本当のプロなのである。

 同社では、売り手企業の経営者が希望する評価を「心理的企業価値」 と呼んでいる。オーナー企業であればあるほど、今までの苦労や、自社への想いなどで、「経済的価値」より高くなることは理解できる。買い手側からすると経済的価値だけを見る傾向がある。その両者の間に立って、双方が納得できる「落としどころ」を見つけ出すのが同社の役割である。そこで、力を発揮するのが、公認会計士という資格者を母体とした集団であること。さらに、弁護士や税理士などの有資格者が社内にいることも多角的で客観的な評価を可能としている。また、外部の専門家とのネットワークを機動的に活用することで、複雑な案件も納得できる評価の提示を可能としている。ここで、何よりも大事なことは、客観性であり、安心感である。そこから生まれる信頼関係がリピートを呼ぶのかもしれない。


公認会計士が中心のM&A仲介会社


強さの秘密3 ネット活用の先駆者



進化を重ねるWEBサイト

 今では、インターネットは電気やガスと同じように、インフラとして当たり前のものとなっている。しかし、現在のように、インターネットが普及していない創業当時、営業経験のない公認会計士の荒井はインターネットを活用しようと考えた。あたかも、織田信長が誰もが使ったことがない火縄銃を戦に活用したように、荒井はインターネットを活用したのである。営業経験豊富であれば、インターネットを活用しようとは考えなかったであろう。それよりも自ら培った経験をもとに、営業を進めたであろう。しかし、荒井は営業経験がないというウィークポイントを、逆手に取り、他社が手を付けていなかったWEBサイトでのM&A市場「SMART」を作り出したのである。そこに、荒井のたくましさを感じる。

 荒井が作り出したSMART(Strike M&A Rapid Trading System)とは、インターネット上に譲渡や買収情報を掲載し、相手企業を探索できるサービスである。インターネットという時間も場所も選ばないという特性を活かし、多くの企業に利用されている。日々、鮮度の高い情報を更新し、定期的なメールで情報を配信している。 M&Aというデリケートな情報ゆえに秘密性に十分な配慮を行っている。

 また、15年からは「M&A Online」というサービスを開始している。このM&A Onlineは「M&Aをもっと身近に。」をテーマとし、企業の生産性向上や事業承継の活性化につながるM&Aを普及・啓発する視点から幅広い経済・社会ニュースをタイムリーに提供するメディアである。また、無料のM&A情報検索サービスでは国内最多の収録数となる「M&Aデータベース」や「TOBプレミアム」、07年よりサービスを提供している「大量保有報告書データベース」など、これらのサービスを全て無料で利用できる。

 M&A Onlineには、「M&A Online Market」というサービスがある。このサービスは、「M&Aのプラットフォーム」である。小規模の「M&Aブティック」にも開放し、買い手のニーズに応えようとしている。また、このM&Aオンラインマーケットサービスでは「求社広告」というサービスを展開している。同社が持っている売りたいニーズが300社程度に対して、買いたいニーズというのは9000社以上もある。本来、M&A仲介業者は同業者に情報を出すことをしないが、顧客の利益を考えた場合、広く知ってもらうことでニーズに応えられると考えてのサービスだ。これらのサービスは始めてまだ間もないが、手ごたえを感じている。

 ここまでするのは、グローバル化の中で埋没しかねない日本企業に対する危惧がある。事業を柔軟に組み換えて、資本効率の向上を図り、体質を強化することで企業価値を高め、この荒波を乗り越えていかなければならない。M&Aを様々な経営課題を解決する一つの経営手法として、日本に根付かせたいという同社の想いがあるのだ。

 M&Aオンラインは正しいM&Aに対する知識を広く啓蒙するメディアとして、月間140万PVを超えるサイトに成長している。

 M&Aの市場はまだ寡占化が進んでいない。上場企業の取扱件数で同社が1%、最大手と言われる企業でも3%だ。M&A仲介会社3社それぞれ顧客の獲得方法には強みを持っている部分がある。同社の強みは、このネットの活用である。そこに、提携の強化やダイレクト営業の強化という施策を取り入れ、全体の流入数を増やそうとしている。「荒井はよく突拍子もない発想を持ってくる」とは取締役の中村康一の話だ。しかし、その自由な発想で生まれたのがネットの活用であった。それが、いまの強みとなっているのも事実。それが偶然ネットの活用だっただけで、WEBに留まらず、新たなサービスをリリースする力、自由な発想こそが、同社、そして荒井の強みであるといえる。




強さの秘密4 人へのこだわり

人で成り立つM&A

 インターネットでのM&A市場を創出しても、「あくまで、M&Aは人が決めていくものだと思っている」とは荒井の言葉である。経営幹部も一様に同じことを言う。それだけ、「人」へのこだわりの強さを感じさせる。同社の最大の強みは「人」である。コンサルタントを束ねる取締役の金田も「当社は人にフォーカスしている&A仲介会社です。売り手、買い手、当社全てにおいて人を大事にしてやっていこう」という思いだと語る。採用したスタッフを一人前のコンサルタントに育てることが課題とも語る。

 現在注力しているのはコンサルタントの採用である。上場したときの社員数は32名と最軽量級の上場であった。この数年で100名体制となり、上場してからの入社組が75%となっている。荒井は、新しく入社した人たちに「この人に頼みたいと思わせる人間力を身に着けてほしい」と入社時に必ず伝えている。いま現在、教育体制の拡充や人事制度の設計のために、人事部の拡充に取り組んでいる。コンサルタントを200名体制にし、2年半後には取扱件数を250件とするのが目下の目標である。

 この目標だけ見ると、業績を伸ばすためのように見えるかもしれないが、それだけではない。多くの経営課題に直面する中小企業の、「経営課題解決の役に立ちたい」というもっと大きなビジョンがあるからなのだ。だから、荒井をはじめ、経営幹部及びスタッフは自然体で、気負いがない。



ブレることないストライクイズム

 荒井をはじめ、経営幹部、社外のネットワークから感じたのは、本当に「人」というものにこだわりを持っているということだ。ともすれば、ドライで無味乾燥なもののように捉えられるM&A。しかし、そこには売り手企業の想いだけに留まらず、買い手企業の想いが錯綜する。そして、100の案件があれば、100通りの売り手と買い手が存在する。「その一人ひとりの想いに寄り添う」と、言葉では簡単に聞こえるが、それぞれのお客の置かれた環境は、人の数だけあるだろう。時にはお客と親子ほどの年齢の違いがあっても、そのお客の気持ちを汲んで、プロフェッショナルとしての仕事をきちり行い、取引を成立させる。そして、その数年後も感謝されてこそ、ストライクらしいM&A仲介といえよう。

 荒井は、お客一人ひとりに忘れられないエピソードがあるが、その中で、8年越しで案件を成立させたお客がいた。8年の間に様々な事情で3回流れた。途中、別のM&A仲介会社に話を持っていかれたこともあった。しかし、4度目で売買が成立する。契約成立までは小言をかなり言われたと振り返る。しかし、契約成立時に、「本当にお前のおかげだ」と大変感謝をされたそうだ。そして、「自分の葬式には来てくれ」とまで言われたのである。

 なぜ、その経営者に変化が起きたのか。荒井自身が信念をもってブレなかったからである。ブレないとは、プロフェッショナルとしての知識や技術を冷静に駆使すると同時に、熱い血の通った一人間として、心の底からお客と向き合い、お客を想うことである。これが「ストライクイズム」なのではないか。この「ストライクイズム」が先頭を走る荒井はもちろん荒井を支える経営幹部、そして、全てのスタッフたちが持ち続けていることが、ストライクの最大の強さの秘密であることは間違いない。十数年前に荒井と出会い、荒井の人となりにほれ込んだ副社長の鈴木伸雄は荒井に対し、「今のまま成長してほしい。そうすれば会社もきっと大きくなる」と確信している。ブレない経営をどこまで続けていけるか、これから先も目が離せない企業である。



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