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トピックス -企業家倶楽部

2020年05月27日

中小企業の応援団/代表取締役社長 白石 崇

企業家倶楽部2020年6月号 新興市場の星たち


「困っている人を助ける。これって当たり前ですよね」さわやかに言い切るのはライトアップの白石崇代表取締役。ライトアップを創業し、様々なサービスを提供する中、冒頭の言葉の境地に行き着いたように感じた。「すべての中小企業を黒字にする」という壮大な目標を掲げるライトアップ。その先頭に立つ白石の話を伺った。(文中敬称略)



選択と集中の真逆

 ライトアップは2002年に創業。元々は、サイバーエージェント社のコンテンツ部門のメンバーが中心となって設立された会社だ。設立当初は様々な企業の「メールマガジン」の編集代行、ホームページの制作を行っていた。その後、ブログサービス、バズマーケティング、ソーシャルマーケティング、 SEO対策、クラウドツール、経営コンサルティングと、 新規事業の展開と業態転換を繰り返し現在に至っている。

 なぜなら、「世の中が望むサービスをできるだけたくさん、できるだけ低コストで提供し続けていく」というモットーを実践していく中で、このように会社を変容させてきた。「選択と集中の真逆なんですよ」とは白石の言葉である。本来であれば、選択と集中がセオリーと言われる。しかし、白石は必要なものをタイミングよく開発し提供することを是としている。現在は、「受託制作業務」、「クラウドツール開発・卸業務」、「赤字中小企業への経営・IT支援」に注力している。

 受託ビジネスに力を入れていた創業当初、ライトアップが請け負っていたメルマガは年間10億通を超える配信を誇っていた。しかし、競合の登場で市場価格は下落し、業績は苦しくなった。そこで、受託ビジネスではなく、「作ってから売る」クラウドツールの開発と販売に変容した。見事にその変容は成功した。月額9800円で利用できるサービスが累計3万件の利用まで伸びた。「よく売れました」と白石は振り返る。



ピンチから生まれた新サービス

 順調に売り上げを伸ばしたにもかかわらず、一つだけ誤算があった。それは、サービス利用料金の回収が思うように進まなかったのだ。「払ってほしいんですけど、本当に払えないのです」白石は中小企業のおかれている状況の厳しさを痛感した。業務をIT化することによって、経常利益が1・46倍になるというデータがあるが、そこまで、資金を回すことができない。それならば、その資金を手立てする方法がないかを考えたとき、国の補助金、助成金を活用して、中小企業のIT化を進めることができないかと考えた。

 そこで生まれたサービスが「Jマッチ」である。このJマッチは、国や自治体が提供する「補助金、助成金、 融資制度」をデータベース化し検索できるサービスとして生まれた。このサービス自体、一定の評価を得た。しかし、「これほどの支援制度があるのに活用されていないのはなぜか」という疑問が生まれた。その答えは単純なものであった。自分の会社が抱える課題を解決するために、何をどのように申請して良いかが分からないと いうことである。

 そこで、生まれたサービスが「Jエンジン」である。自分の会社の基本情報と抱えている経営課題を入力することで、次の4つの領域の施策を提示される。

 1.生産性向上につながるITツール

 2.人材の採用、研修、離職防止に つながる最新サービス

 3.売り上げが増える販促支援サービス

 4.士業を活用した公的支援制度活用サービス

 このように「最適な解決施策と最適な資金確保手段」が提示されるのである。悩める中小零細企業経営者にとっては、実に魅力的なサービスである。現在、約15000社の会員がそのサービスを活用している。

 Jエンジンと合わせて、順調に利用社数を伸ばしているのが「JDネット」である。Jエンジンが「最適な解と資金」を提供するツールだとしたら、このJDネットは具体的なITツールを提供するプラットフォームである。約2000社が参加しており、提供できるツールは60種類を数える。具体的なITツールの提案があって、Jエンジンで得た助成金が活かされてくる。同社が提供するサービスは20以上ある。単体のサービスとしても効果を発揮するが、連動することでより高い効果が生まれるようになっているのも特徴であろう。その提供するサービスの真ん中に「全国、全ての中小企業を黒字にする」という同社のビジョンがあるのだ。


ピンチから生まれた新サービス


経営課題解決エンジン「Jエンジン」





60種類の商材を販売できる「JDネット」




アナログの強み

 ITサービスを提供している同社なら、このサービスを広めるためにITを活用して行っているのかと思いきや、そこは地道にアナログな対面形式の説明会という点がおもしろい。「特に地方の中小企業の経営者は日常的にインターネットを活用していないのです」。

 同社では年間600回にも及ぶ説明会を全国47都道府県で実施している。提携先も幅広い。全国の地方銀行、電力会社、保険会社、商工会議所、自治体など、多くの提携先があることも、年間600回に及ぶ説明会ができる強みともなっている。

 説明会を行うのは20名ほどの同社のコンサルタントが担当している。1回の平均参加社数が40社、年間でおよそ24000社もの企業とコンタクトが取れている。この数は、日本の企業の約1%ほどに当たる。これが毎年となると恐るべきリーチ数である。

 同社のホームページには日々の勉強会のスケジュールが掲載されているが、連日、ほぼ予約が埋まっている。それだけ、ニーズが高いという証拠である。しかも、参加者はほぼ経営者である。経営者が参加しているゆえに意思決定も早い。参加者の約12%が導入を決める。現在、年間3000社の支援を行えているのも納得できる。白石は「年間10000社の支援は見えてきている。100000社の支援ができるようになりたい。30倍頑張らないといけないが、できない数字でもない」と自信を見せる。


アナログの強み


全国で開催される勉強会




最後は採用

 JエンジンやJDネットを通して、中小企業の黒字化を実現すべく「解とお金」を提供してきた同社。現在、同社が注力しているサービスの一つに「採用」がある。いくらITツールを提供しても、会社を動かしていく「人」が重要であるのは間違いない。現在のような「売り手市場」の中で中小企業を取り巻く採用環境は厳しいものがある。また、採用してもミスマッチングで早々に退職などされた場合、採用費用は大きな負担となっ てしまう。

 そこで、生まれたサービスが「Jキャリア」である。中小企業が抱える採用にかかわる問題と言えば、選択肢の少なさ、高額な採用費用、採用ミスマッチが挙げられる。

 この「Jキャリア」の特徴は、まずは、自社で活躍する人材がどのような人材であるかを無料で診断。その診断結果をもとに、自社で活躍できる可能性が高い人材を毎週提案される。採用に至った際に初めて50万円という費用が発生する。採用できるかできないか分からない採用広告を出すことを考えたら、パフォーマンスが高いといえよう。

 同社が提案するのは、採用コスト低減にとどまらず、その後の教育面までカバーしていることが特徴でもある。採用費を抑えられた分、人に対する投資である「教育」に力を入れるべきとしている。独自の研修プログラムの提案から、経営者育成研修の「MG研修」など、中小企業がなかなか手を出すことができなかった研修を提供している。

 ここでも、採用や研修に活用できる補助金、助成金の提案がセットになっているため、中小企業経営者も導入、実施に前向きに取り組むことができる。とてもよくできた仕組みと言えよう。



全国、全ての中小企業を黒字にする

 同社が展開するサービスの根本には「全国、全ての中小企業を黒字にする」というビジョンが背骨のようにしっかりと据えられている。このことがぶれないサービスの提供につながっているのであろう。このビジョンに共感するパートナーを広く募り、このビジョン達成を目指す白石はあくまでも自然体である。「困っている人を助ける」というシンプルな発想を、ビジネスに持ち込んでいるところは特異にみえる。また、赤字企業の多い中小企業をビジネスのターゲットとしているところもである。

 現在、新型コロナウィルスが猛威を振るっているが、いち早く、活用できる助成金の情報発信を行ったり、無料相談窓口を開設したりと、スピード感を持って対応している。中小企業にとって、厳しい環境ではあるが、そんな時こそ白石は「中小企業の応援団」として、様々なサービスを矢継ぎ早に提供していくことであろう。引き続き、同社の動きを注視したいと思う。



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