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トピックス -企業家倶楽部

2020年05月26日

出光佐三から学ぶ、未曾有の国難期におけるリーダーの矜持/臥龍

企業家倶楽部2020年6月号 伸びる企業家は歴史や偉人に学ぶ 第20回


コロナウィルスの猛威が世界中を覆い、東京オリンピックも延期となりました。日本経済もリーマンショックを超え、1929年の世界大恐慌に匹敵する苦境に直面しています。こういうときには、絶体絶命のピンチを切り抜け、V字回復を果たした偉人に学ぶのが一番です。今回はその筆頭、出光佐三翁を取り上げます。



●船長が下を向いたらクルー全員が下を向く!

 出光佐三の名を一気に知らしめたのは、書籍及び映画の「海賊とよばれた男」でしょう。その冒頭、焦土と化した東京は銀座の本社ビルに、従業員約20名を集め、佐三は吠えます。「泣き言止めよ、愚痴を止めよ。日本民族の精神性を信じて、再建に取り組め!」。臥龍は祖父から、敗戦の日、日本人の心の糸がぷっつりと切れ、民族ぐるみの心神喪失状態になったことを聞いています。その僅か二日後に飛ばした檄!どんな谷にも必ず底はあります。コロナウィルス終息の底が見えてきたとき、トップがどういう言葉を吐くかで、組織の士気はまったく変わってきます。



●出光大家族主義経営

 臥龍のサラリーマン人生の前半は、某石油メーカーでした。出光は競業先になりますが、当時の印象は「不気味」の一言でした。「就業規則がない。タイムカードがない。定年がない。大企業なのに一人ひとりが生業感覚」、要はまったく価値観が違うのです。その理由を、後年理解することになります。

「いったん出光商会に入りたる者は、家内に子どもが生まれた気持ちでゆきたいのであります。店内における全ての事柄は、親であり子であり、兄であり弟であるという気持ちで解決してゆくのであります。出来の悪い子供ほどかわいいという気持ちにまでもってゆきたいのであります」(出光佐三)

 以前、ある経営者から「業績不振を理由に、人員削減を銀行から迫られています」という相談を受けました。臥龍は「従業員を集めて聞いてみてください。“業績不振で銀行から二割の人員削減を要請されている。二割削減という選択以外に、業績回復までの間、皆で給料を二割減するという道もある。後者の場合は、社長は七割減、 役員は五割減します。どちらにしたいと思うか?”」。この社長、実際に実行され、従業員の総意で給与を二割減し、雇用を守ったのです。その中で強烈な団結心が生まれ、銀行も驚く業績回復を実現します。

 コロナウィルス騒動を受け、内定者の採用取り消しが結構出ています。こういうときほど団結のチャンスです。「新しい子供が誕生した。皆で倹約して、新しい家族を受け入れようではないか?」



●大家族の生活は大家族で守るんだ!

 石油の事業は出来ない、おまけに大借金。佐三はこの状況の中、敗戦時1000人いた従業員を一人もクビにはしなかったのです。その代わり意気に感じた従業員は、農業、漁業、ラジオ修理、鍋窯製造など、稼げることは何でもやったのでした。このコロナウィルス騒動の中、最悪な経営は思考停止です。さあ、次のように檄を飛ばしましょう。

「皆、法律に触れない範囲で、何でもやろうじゃないか?どんな小さなことでもいいから、アイデアを出してくれ。いい悪いと評価する前に、先ずやってみようじゃないか!大家族の生活は大家族で守るんだ!」



●精神上の定款がある会社

「出光には定款が二つある。一つは法律上の定款であって、これは石油業をするということ。もう一つは、よその会社にはない精神上の定款である。人間が真に働けばこういう大きな力を発揮する。そして一人ひとりが強くなり、一致団結して和の力を発揮したとき、少数の人でもこんな大きな力が現れるのだ」(出光佐三)

 日本が高度成長する中、国内の石油精製キャパが厳しくなります。1957年(昭和32年)、佐三は国内最大規模の製油所を徳山に建設します。 驚いたのは、竣工時の「10カ月で完成させる」という工期宣言です。設計と工事指揮に当たったアメリカの技術者が、「通常二年は掛かる」と呆れます。実際の工事は、元請け、下請けの業者です。一般的には、発注元から無理難題が出たと愚痴が出る場面です。しかしながら現場は一体となり、主体的に喜々と昼夜問わず働くのです。それは佐三が飛ばした檄、「今回の徳山の製油所を建設するにあたりましても、こういうものは金と技術をかければ誰でも作れるのであります。我々が目指すものは真に人間が働いて一致団結したならば、簡単に早く作り上げるはずである。このモデル像を示そう!」によるものでした。日本民族の真の力をアメリカ人に見せ、後世に日本民族団結のモデルとして残す。リーダーは、何のために働くかの目的を、誇り高く掲げるべきです。



●堂々と艦橋に立つ船長の矜持

 コロナウィルス終息後、「潰れないために頑張ろう」と言うのか、「日本、再建の一隅照となろう」と言うのかそれはトップの哲学・使命感が決めます。佐三の経営信条は「士魂商才」、黄金の奴隷になるなでした。この未曾有の国難期、リーダーの矜持が問われます。




Profile 

臥龍(がりゅう:wolong ウォロン)こと角田識之(すみだのりゆき Sumida Noriyuki) APRA(エープラ)議長&一般社団法人「志授業」推進協議会・理事長 「坂の上の雲」の故郷、愛媛県・松山市生まれ。23歳のときに「竜馬がゆく」を読み、「世界の海援隊」を創ることを志す。人の幸福を主軸とする「人本主義思想」の素晴らしさを経営の場で実証推進する和僑(日本)と華僑(台湾・上海)合同の勉強会「APRA(エープラ)」を設立し、日本全国そしてアジア太平洋各国を東奔西走中。最近では、一般社団法人「志授業」推進協議会の理事長として、小中学生の大志確立を支援する「志授業」の普及、民族肯定観を上げるための「歴史・偉人」の講話にも注力中。詳細は「志授業」でご検索ください。

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