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トピックス -企業家倶楽部

2020年06月27日

米中対立激化の裏でサウジが不安定に/ニュースソクラ編集長 土屋直也

企業家倶楽部2020年8月号 国際政治入門 vol.5


 読者の皆さんがこの原稿を手にしておられるころには、世界を揺さぶっている米中対立はさらに別次元の段階に達していると予想している。原稿を最終チェックしている6月6日時点ではまだ発動されていないが、米国がかつてない制裁を中国に課しているか、課さざるを得ない状況にいるだろう。

 中国が香港国家安全法を撤回や意味のある修正をする可能性が薄いので、米国は振り上げたこぶしをたたきつけるしかない、つまり、市場が大混乱しかねない制裁に踏み込まざるをえないということだ。



米国、香港国家安全法に報復

 最大の焦点は、米国が香港に与えてきた優遇措置、すなわち中国本土へは高関税などを課しているのに、香港は対象としないとしてきた措置を止めているかどうか。すでにトランプ大統領は見直しに言及している。実行されていれば、香港は始まっていた衰退が一気に加速することになる。中国企業も香港を抜け穴にして米国への輸出をしていたから、中国経済にとっては大打撃になる。

 だが、経済悪化を恐れて中国が、米国の要求に応じることはない。なによりも今回の対立エスカレートの出発点である香港国家安全法、それは香港の自治を事実上もう認めないとする法律だが、中国は米国を初めとする世界中からの反発を計算しつくしたうえで、今回の全国人民代表大会(国会に相当、法律を作る機関)に出してきているからだ。

 中国政府の香港「探題」といえる中央政府駐香港連絡弁公室の関係者からの情報では、香港の民主化デモの責任をとらされて主任(弁公室トップ)が1月に交代すると直ちに香港を警察力で押さえ込む権限を武装警察に与えるための今回の国家安全法が提案され、米国の反対があっても後退しないという決定が、党中央でなされている。この決定には、習近平主席に批判的とされる胡前主席の周辺からもまったく異論がでなかった。



米中には妥協の余地がない

 米中対立の深刻さは、トランプ、習のトップ二人が両国と世界にとって対立はプラスにならないと気づいたとしても、もう止められないということだ。米国では、対中国で強硬なのはトランプ大統領というより、連邦議会だ。中国がもっとも嫌がるウイグル人権法を5月28日に可決させたのは、連邦議会だった。

 議会が過激になっているのは、米国内の世論が、共和党、民主党の枠を超えて反中国では一致しているからだ。歯止めをかけるべき親中国派はあまりの反中の空気に沈黙を余儀なくされている。そもそも、声を上げてもメディアがまったく相手にしない状態になっている。第一次大戦後に米国で蔓延した「黄禍論」が再来しているような状態だ。

 一方の中国も、香港、台湾問題に関しては独立は許さないという空気が庶民の間にも浸透している。中国の繁栄のおこぼれで成長しているのに、何が民主化だと反発が強い。中国の世論は一般的には共産党が作り上げている官製世論だが、こと香港・台湾に関しては違う。草の根から、共産党トップまで一枚岩だ。

 要するに、香港や台湾が絡んでくるようになって、米中対立は妥協の余地のないものに変わってしまった。対立は先鋭化し、台湾の半導体メーカーTSMCに中国のファーウェイに半導体を売るなとの圧力が米国からかかっている。このように、日本企業にも米国につくか、中国につくかの踏み絵を迫ってくるだろう。

 当該の企業にとっては中国市場を失うという大打撃であるが、もっと大きく言えば、日本が日米安全保障条約による軍事的な同盟関係とひきかえに、米国経済ブロックに組み込まれるということだ。日本にとっては経済関係は中国も米国同様に非常に大事になっており、中国なしで経済は回らない。

 米国のわがままに付き合わされるのはたまらないという声がだんだんに出てくるだろう。この原稿を読まれるころには、米中のはざまでどちらにもつけない日本の中途半端でいらいらする状況がどんどん強まっていると思われる。



もうひとつの震源地、原油

 米中対立と並んで、世界を揺さぶっている震源地のひとつは原油価格だ。ご承知のように、3月に石油輸出国機構(OPEC)やロシアなど非加盟国などで構成されているOPECプラスでの減産協議が決裂、4月20日のニューヨーク原油先物市場で、一時マイナス40ドル近い値段をつけた。

 マイナスという価格がどれくらい異質なものであるかは想像がつくだろう。もちろん史上初の出来事だった。価格の低迷は米国のシェール産業には甚大な影響を与えており、4月1日には米国ノースダコタ州で地域最大のシェールオイル生産業者だったホワイティングが連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)を申請し、4月27日にはテキサス州のダイヤモンド・オフショア・ドリリング社が同11条を申請した。

 シェールオイル会社は半分以上がリグ(石油掘削装置)の稼動停止に追い込まれている。株価が1ドルを割り込む企業が相次ぎ、次の破たん企業名がささやかれているのが実態だ。

 米国内の石油産業が火の車となるなかで、トランプ大統領の危機感に火がついた。OPECプラスに減産をはたらきかけ、米国も減産すると約束してOPECプラスの減産を引き出した。このため原油価格は40ドル前後まで戻して一定の安定を取り戻した。

 しかし、それでもシェール企業の存続可能価格を大きく割り込んだままとされ、トランプ大統領は直接、サウジアラビアのムハンマド皇太子に電話し、「価格競争を継続するならサウジアラビアとの軍事同盟を解消する」と恫喝したと報じられている。その3日後にロシアとの減産調整に応じている。

 だが、協調減産の鍵のひとつ、米国の減産は進んでおらず、むしろ減産合意を米国が壊しかねない。



米軍のサウジ撤退が始まる




Profile 

土屋直也(つちや・なおや) 1961年生まれ。84年早稲田大学政経学部卒業、同年日本経済新聞社入社。86 年から3年間ロンドン駐在員としてサッチャー首相の英国と金融街シティを取材。98年から4年間ニューヨーク駐在中は、ウォール街を取材し、2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった91年の損失補てん問題で「補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年7月、ソクラ創設のため、日本経済新聞社を退職。同年10月、株式会社ソクラを起業し、代表取締役兼編集長に就任。

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