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トピックス -企業家倶楽部

2020年08月27日

Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)で地球を救う

企業家倶楽部2020年10月号 ユーグレナ特集第1部 ユーグレナの未来戦略






「ミドリムシで地球を救う」と宣言、東大発のバイオベンチャーとして成長するユーグレナ。率いる出雲充は25 歳でユーグレナを創業、藻類の一種であるミドリムシの可能性に魅せられ、命を賭けてきた。既に食品や化粧品事業に乗り出し、日本初のバイオ燃料事業も始動している。そして創業15 年の2020年、新たなフィロソフィー「サステナビリティ・ファースト」を掲げ、スタートを切った。持続可能な地球づくりに挑む、出雲のあのパッションはどこからくるのか、その真意に迫る。(文中敬称略)



創業15周年の誓い

 2020年8月7日(金)、東京・港区の本社に出社したユーグレナ社長の出雲充は、やや緊張した面持ちでパソコンに向かっていた。

 05年8月9日の創業から15年、記念すべき日に重要なメッセージを宣言しようというのだ。コロナ感染者の急増で、リモートワークに切り替えている社内に人はいない。

 出雲は社員ではなく「仲間」と呼んでいる。自宅でパソコンの前にいる仲間たちに向け、静かに語りだした。

「ユーグレナ社は今年で15周年を迎えます。

 大学1年の時に見た、バングラデシュの栄養失調問題を解決したい思いで起業し、「人と地球を健康にする」ために邁進してまいりました。

 この思いはこれから先もずっと変わることはありません。その上で、私たちは今回、あえて経営理念を、ビジョンを、ミッションを全て一新します。

 今後は、ユーグレナ社の持つ文化、哲学となるユーグレナフィロソフィーに「サステナビリティ・ファースト」を掲げ、持続可能な地球を作るために行動します。

 今日、私たちは非常に変化の早い時代を生きています。この時代に、人と地球を健康にするために何が必要かを考えた時、「サステナビリティ・ファースト」にたどり着きました。

 ユーグレナの豊富な栄養素でバングラデシュの栄養失調問題を解決し、日本発の新エネルギーとしてバイオ燃料を精製することは、持続可能な地球を作るためにあるのだと。

 そのための手段として、ユーグレナのポテンシャルがあるのだと。

 私たちのゴールは、「持続可能な地球を作ること」にあるのです。仲間それぞれのプロフェッショナリティを生かし、1つのゴールを目指し様々な方法で、着実に歩みを進めていきましょう」

 SDGs、サステナビリティは昨今のキーワードだ。新聞などのメディアや、テレビのコマーシャルでも、これらの言葉を目にしない日はない。マーケティングも商品開発もセミナーのテーマもこの言葉を使ったものが目立つ。

 しかし出雲充は、そしてユーグレナという会社は、本気でそれを実践しようとしているのだ。企業フィロソフィーのど真ん中に、「サステナビリティ・ファースト」を据えたのだ。上場企業のユーグレナがここまで決意を固めるには、さまざまな葛藤もあったろう。しかし、これがユーグレナなのである。

 この決意を示すためにロゴも刷新した。ユーグレナは誰にでもわかるようにカタカナ表記にし「いきる、たのしむ、サステナブる。」と言葉を入れた。出雲の熱い想いをわかりやすく形に表現した。

 創業15年、ここまでくるのにどれだけ多くの人々の支援があったことか。その人々の期待に報いるために、出雲らしく新たなステージに立ったのだ。



ユーグレナという会社

 ところでユーグレナといという会社をご存じだろうか。ミドリムシという言葉を聞いたことはおありだろうか。ご存知ない向きに少し説明しよう。

 出雲がユーグレナを創業したのは05年、25歳のときだ。大学1年のときに海外インターンシップで訪れたバングラデシュで、現地の子供たちの栄養失調を目の当たりにし、愕然とした。そして「この子たちに栄養を届ける」と決意。帰国後、ユーグレナ(和名ミドリムシ)が栄養豊富な生物であることを突き止め、大量培養しようと思い立つ。

 ミドリムシは0・05ミリ程度の藻の一種。植物と動物の両方の栄養素を蓄えており、その数59種というスーパーフードである。そのため古くから大量培養の研究はされていたが、誰も果たせずにいた。

 そのミドリムシの屋外大量培養に、世界で初めて成功した。この偉業を成し遂げたのは、同社の技術開発を一手に引き受ける鈴木健吾である。出雲の東大時代の後輩だ。この夢のような微生物をまずは食品に活用、サプリメントを開発した。そして油を搾り、日本初のバイオ燃料にも参入を果たしている。

 東大発のバイオベンチャーとして注目を浴び、12年には東証マザーズに上場、14年には東証一部に指定替えを果たした。常に緑色のネクタイを締めて東奔西走する出雲は、異色のアントレプレナーとして数々の賞を受賞。13年には企業家倶楽部主催の企業家賞に輝いた。審査委員長の澤田秀雄は「ミドリムシで飛行機が飛ぶの?」と言いながらも、そのチャレンジ精神を称えた。

 自社開発の飲料やサプリメント「からだにユーグレナ」や、武田薬品との業務提携によるサプリメントなど広く提供。昨今は化粧品事業にも進出している。

 そして18年にユーグレナを使ったバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが完成、地球環境に優しいエネルギーとして、期待されている。20 年9月期の売上高予想は133億円、経常利益は設備投資が先行し、8億5千万円のマイナスとなる見込みだ。



ユーグレナという会社


ユーグレナ(和名ミドリムシ)

試練を超えて

 出雲の創業のきっかけとなった、バングラデシュの子供たちにユーグレナ入りのクッキーを届けるという目標も実現、順調に成長していると思いがちだが、どんでもない。ここまでくるのにどれだけの試練、どれだけの苦難を乗り越えてきたことか。

 お金も何もない若者が、「ミドリムシで地球を救う」と決意。後輩の鈴木を誘い、営業の福本を巻き込み創業したはいいが、まず一番苦しんだのが事業化のための資金繰りだった。「ミドリムシって何?」「何がすごいの?」という人々に、その特長、その可能性を訴え続け・・・。日本全国をどれだけ廻ったことか。

 世の中にほとんど知られていないミドリムシを素材に、事業にはど素人の出雲が必至で訴えても「無理、無理」と追い返される日々だった。

 連日の連敗にさすがの出雲も心が折れそうだった。そんなとき、出雲の熱心さに耳を傾けてくれた企業が現れた。伊藤忠商事である。08年に出資を受けることになり、なんとかユーグレナという会社を存続することができた。



異才、出雲充という男

 しかし、これらの試練も出雲自身はあまり苦労と思っていないかもしれない。崖っぷちに追い詰められ、いよいよ「万事休す」の場面になると、救いの神が現れる。誰かが助けてくれるのである。

 これはまさしく出雲の人徳であろう。ミドリムシの可能性を全面的に信じ、理系出身らしくしっかりとしたエビデンスを盛り込み、まっすぐに突き進むその姿に、出会った人は「この人を信じてみよう」と思うようになる。つい応援したくなる。

 今、同社で副社長を務める永田暁彦もその一人だ。ベンチャー向けの投資会社でユーグレナを担当していたが、出雲の魅力に惹かれ入社してしまう。「本当にこの人は世の中を変えるかもしれない」と思ったという。そして自分もこの人を手伝いたいと。

 不可能と言われたミドリムシの屋外大量培養に成功し、その力を最大限に引き出し事業化していく。信じた道をまっすぐに突き進む勇気、できるまでやり通す強靭な精神力、抜群の行動力には誰もが驚嘆する。この出雲のゆるぎない志と強烈なパッションが、多くの人を巻き込んできた。一人またひとりと共感者が増え続けている。



日本をバイオ燃料先進国に

 18年10月31日、横浜市鶴見区にユーグレナによる、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが完成。11月2日竣工式を行った。澄み切った青空のもと、関係者と共に壇上に立った出雲は、やや高揚した口調で語りだした。

「皆様の多大なるご支援のおかげで、こうして日本初のバイオ燃料の実証プラントが完成しました。欧州やアメリカに比べ、バイオ燃料の活用では何周も遅れている日本を、バイオ燃料先進国にすることを目指す『グリーンオイルジャパン』を宣言します」

 出雲のバイオ燃料に対する思いはただものではない。その強烈な思いに賛同した企業や市が揃って壇上に並んだ。横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、ANAホールディングス、ひろしま自動車産学官連携推進会議の6社である。ここまでこぎつけるにはどれだけの苦難があったことか。

 ここでつくられるバイオジェット燃料の品質については、20年1月、米国のASTMの認証を取得。国内でも国土交通省の認可を取得、いよいよ20年7月のオリンピック開催に向けて、「ミドリムシで飛行機を飛ばす」計画が実現するはずだった。

 しかし新型コロナウイルスの世界的な感染で、延期となった。残念であるが、「必ずチャンスはくる」と、出雲は笑顔を見せる。

 18年に完成した設備は、実証実験用のプラントのため、規模が小さく1リットル1万円となる。しかし25年までにはこの2千倍の規模の工場を建設、25万キロリットルを生産すれば、1リットル100円の計算になる。競争力は十分だ。そこに向けて協力企業と進めていかなければならない。

 商業化に向けたロードマップは出来上がっている。コロナ感染の影響でスケジュールは前後するが、出雲は「ようやくここまできた。これからが本番」と、気を引き締める。



日本をバイオ燃料先進国に


横浜に完成したバイオ燃料製造実証プラント





事業協力会社の面々と揃っての竣工式



バイオ燃料のクルマが走る

 一方、自動車用のバイオディーゼル燃料については、すでに動き出している。

 ともにプロジェクトに取り組んできたいすゞ自動車は、20年4月から藤沢工場のシャトルバスに、このバイオディーゼルの使用を開始した。廃油で協力を得ている横浜市では川崎鶴見臨港バスに使用。またファミリーマートでも一部の店舗から出る廃油を活用するとともに、配送車にこのバイオディーゼルを使うことを決めた。 

 そしはてこの8月には「ひろしま“Your GreenFuel”プロジェクト」が始動、次世代バイオディーゼル燃料の原料製造・供給に至るバリューチェーンを構築、ユーグレナバイオ燃料の利用を開始した。ここにはひろ自連とともに多くの企業の協力がある。

 今後も自動車用は次々とバイオディーゼル使用企業が増えていくことであろう。飛行機向けバイオジェット燃料については、品質はお墨付きだ。あとは商業化に向けたプラントの建設を着々と進めるのみである。

 今少し業績が伸び悩んでいるユーグレナだが、「バイオ燃料の商業化が実現すれば、時価総額もケタ違いになる」と、東大の恩師である各務茂夫は語る。投資家も一日も早い浮上を待っていることであろう。



サステナビリティ・ファーストを行動に

「このまま地球温暖化が進めば、魚の生態系が変化し、寿司ネタが獲れなくなる」この可能性を、多くの人に関心を持ってもらおうと、19年9月22日、都内で、あるイベントが開催された。

 テーマは「お寿司が無くなる日」

 お寿司が大好きな日本人には衝撃的だ。ユーグレナが東京・銀座の名店である銀座久兵衛の協力で実現した企画である。会場に招待された18人の小学生は、このままいくと・・・ということで登場したご飯だけのお寿司に、驚きの声を挙げた。

 会場の出雲は、地球温暖化が加速する怖さを身近に感じて欲しいと語り、九兵衛の協力に感謝した。これこそがまさにサステナビリティ・ファーストを考えた、世の中に対するメッセージといえる。

 19年の秋はスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんの活動が脚光を浴びていた。最後に挨拶に立った出雲は「日本にも素晴らしい高校生がいます」と強調した。



18歳以下のCFO

 そして19年10月に導入したのが「18歳以下のCFO」である。ユーグレナと共にサステナブルな未来を創っていく最高未来責任者である。

「未来のことを考えるのに未来に生きる人がいなければ」と考え、募集した。500人以上の応募の中から8人のフューチャーサミットメンバーが誕生。CFOには小澤杏子さんが選ばれた。彼らにユーグレナのサステナビリティに関するアクションや達成目標の策定などに加わってもらい、提言してもらおうというのだ。

 実際、ユーグレナ商品のプラスチック容器の5割削減など、具体的な実現に向けての行動が始まっている。

 数値的利益や忖度なしでまっすぐにユーグレナの未来を考え、提言してくれる彼らに刺激され、学ぶことも多かったであろう。そして今年20年のCFOの募集が始まった。今後2期目のメンバーとどんな未来を描くのか、チャレンジが続く。



18歳以下のCFO


永田副社長、18歳以下のCFO小澤杏子さんと



ムハマド・ユヌス博士のように

 20年、創業15年を迎えた出雲は「ミドリムシだけやっていていいのか」という疑問にぶち当たる。もっと高い視座から地球環境を考えなければ。そして至ったのが冒頭に挙げた新たなフィロソフィー「サステナビリティ・ファースト」である。

 ゆるぎない意思と強烈なパッションでここまできた出雲だが、その心を突き動かす原動力は何なのか。

「心の底から尊敬できる偉大な師匠と出会えたことです」と出雲。それはバングラデシュのムハマド・ユヌス博士である。出雲が学生時代にインターンを体験したグラミン銀行の創設者である。貧しい人々に無担保で少額のお金を貸し出すマイクロファイナンスで貧困の撲滅を実現。06年ノーベル平和賞を受賞している。世界から貧困をなくすために生涯を捧げてきたユヌス博士を思うと無限に力が湧いてくると出雲。

 自分も持続可能な地球を作るために行動していく。この社会的課題を解決するには、もっと多くの人を巻き込む必要がある。出雲のこの決意に拍手を送るとともに、我々も行動しようではないか。

 出雲のチャレンジは果てしない。しかし本田宗一郎を支え続けた藤沢武夫になりたいと語る永田他、素晴らしい仲間が揃っている。その仲間と共に、壮大な課題に挑む出雲の戦いはまだ始まったばかりだ。


ムハマド・ユヌス博士のように


偉大な師匠ムハマド・ユヌス博士と共に

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