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2020年08月27日

懲りないブラジル。「危機慣れ」で凌ぐか/日本経済新聞社客員 和田昌親

企業家倶楽部2020年10月号 地球再発見 vol.28


 出来の悪い息子ほどかわいい――。息子は娘でも構わない。よく言われる親子の屈折した心情だが、筆者の場合は「ブラジル」がこれにあてはまる。 親に心配ばかりかけて、いくつになっても大人になりきれない。何かと手がかかるが放ってはおけない。そんなブラジルがまた世界を混乱させている。

 新型コロナの感染者数がアメリカに次ぐ世界第2位で、減る気配を見せない。7月末の段階で、ブラジルの感染者は255万人を超し、1位のアメリカ(435万人)を追いかける。死者数もアメリカ( 15万人)の半分以上の9万人だ。

 今でもブラジルはGDP(国内総生産)世界9位を維持する「巨大な中進国」だが、総人口2億人がコロナに直撃された。これから真冬を迎えるが、この惨状を防げなかったのか。

 最大の元凶がボルソナーロ大統領というのが、いかにも野放図なブラジルらしい。「新型コロナもただの風邪」とうそぶき、感染予防をしないでいるうちに、とうとう自身が感染者になってしまった。

 笑い事ではない。この人の無頓着、横暴ぶりは直るまい。トランプ大統領に似て「マスク嫌い」で、入院もしなかった。抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を使っているが、これもトランプ氏の考えと同じだ。

 他国並みのコロナ対策を指示したマンデッタ保健相(医師)を4月に更迭、後任のタイシ氏も1カ月で辞任した。

「ああ、またか!」――難題続出で昔のトラブルが脳裏によみがえる。

 世界を揺るがす〝暴れ馬〞だったことがある。1980年代半ばの累積債務問題である。中南米が「借りたお金が返せない」と先進国に救済を求めたが、「貸した側が悪い」と、うそぶいた筆頭格がブラジルだ。

「このままでは国が倒産する。アマゾン地域を売り渡そう」といったジョークも飛び出した。アメリカや日本など「貸した側」は結局「元本削減、金利も減免する」ことで譲歩した。「貸した側」の負けである。当時、多くの邦銀がブラジル撤退の憂き目にあった。

 90年代は年2000%を超すようなインフレを記録する。超インフレはカルドーゾ元大統領の天才的な施策により収まったが、この時期の国民の資金運用の素早さには驚いた。 

「物価凍結」「預貯金封鎖」といったうわさが広がると国民は先回りをして、ヤミドルを買うか、タンス預金で対応したという。その後は新興成長国をもてはやすBRICSブームで国の借金は完済、再度成長期に入った。

 しかし、2014年あたりから史上最悪の汚職騒ぎが起こり、政財界で100人を超す逮捕者を出した。人気者のPT(労働者党)のルーラ元大統領も収賄で逮捕され、ボルソナーロ大統領の誕生を助けたとの分析もある。経済は再び悪化、20年のGDP成長率はコロナの影響もあり、マイナス9%とIMFは予測している。

 さて、どうする?ブラジル国民は「危機慣れ」で凌ぐしかない。数多の修羅場をくぐり抜けてきたブラジルの底力が試されている。

 コロナ禍が広がっても、デング熱、マラリア、黄熱病、エイズなど感染症に慣れがあることで、何とかなると楽観論を唱える人もいる。

 ブラジル人は得意の「ジェイチーニョ」で切り抜けようとするだろう。法律やルールや規制があっても、それを潜り抜けて、目的を達成しようとする国民性のことだ。ブラジル・サッカー独特の「ジンガ」「マリーシア」の秘技もその国民性から来ていると言われる。守備陣に幾重に取り囲まれても、いつの間にか抜き去るロナウジーニョのような技だ。

 コロナ感染症にジェイチーニョで挑むのは非論理的かもしれないが、今度の相手は強敵である。




和田昌親(わだ・まさみ)
東京外国語大学卒、1971年日本経済新聞社入社、サンパウロ、ロンドン、ニューヨーク駐在など国際報道を主に担当、常務取締役を務める。

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