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トピックス -企業家倶楽部

2020年08月27日

ソクラ座談会 米中は南シナ海で軍事衝突も/ニュースソクラ編集長 土屋直也

企業家倶楽部2020年10月号 国際政治入門 vol.6


米国の大統領選を控えていることに加え、新型コロナウイルスが収まらない。2020年度後半の世界情勢がどうなるのか。ニュースソクラの編集部で話し合ってみた。

大統領選はバイデン優位がかなり濃厚

司会 米大統領選挙はバイデンがトランプを引き離しているね。

Zデスク 5月末の警官による黒人殺害が大きく流れを変えたようにみえるが、私は分水嶺はトランプが6月1日ホワイトハウスを囲んでいた市民を、警官を動員して強制排除して教会にでかけたことだったように思う。暴力的なデモではなかったのに催涙弾を使わせたり、ひどい対応だった。それが逐一、スマホで録画されていてSNSで拡散して一気に反トランプムードが高まった。

G部員 直後の4日にマティス前国防長官が米アトランティック誌に、「私は生涯で初めて国民を統一させるのでなく、分断させようとする大統領に出会った」と声明を発表したのには、米国民の心に沁み込んだ。マティスは昨年初めに辞任していたから、トランプと関係が悪いことは知られていたが、慎重で私利私欲のない人と広く認められているから、あの一言は大きかった。

X部員 暴露本もタイミングをはかったように次々と出た。腹心としてそばにいたボルトン氏の赤裸々な描写は衝撃的だった。「トランプが国益を考えたことはない。いつも自分にとって得かだけ考えていた」といったのはトランプの本質をとらえている。

Qデスク 実兄の娘で臨床心理士のメアリー・トランプさんが、大統領は替え玉受験でペンシルバニア大に不正入学したという事実などとともにソシオパス(反社会性パーソナリティ障害)という精神障害だと暴露する著書を出したのも致命傷になりつつある。肉親だというだけでなく、この方は専門家でもあって説得力があった。



トランプ テレビ討論に賭ける

司会 雰囲気は分かるが、四年前もヒラリー・クリントン優勢が大方の見方だった。

Zデスク 四年前のトランプ対ヒラリー・クリントンはご承知のように、全国の得票数ではヒラリーが勝っていたのに、フロリダ、オハイオなど接戦州をトランプが制してトランプが勝利した。選挙ごとに共和党から民主党、また共和党というように結果がころころ変わる州、いわゆるスイング州での世論調査はほとんどがバイデンが勝り、その差は拡大傾向にある。逆転はかなり難しい。

司会 裏返して言うと、どんな場合にトランプ逆転はありえるのか。

X部員 常識的には候補者同士のテレビ討論会でトランプの方がいいという印象を与えられるかどうか。バイデンはいいおじさんだから、トランプが頼もしく見える可能性はあり、そこに賭けてくるのではないか。

Qデスク 確かにそうだが、新型コロナの影響で米国民はトランプ流の攻撃的な性格を嫌うようになった。穏やかなバイデン氏の方がキャラとして有利な環境が生まれている。

司会 安倍総理の携帯へのトランプの電話では、バイデンにはスキャンダルがあると繰り返しているらしい。Zデスク 確かに直前にスキャンダルがでれば形勢が変わる可能性はあるが、安倍をつなぎ止め選挙に有利な譲歩を引き出すために大げさに言っているのではないだろうか。



まるで開戦前夜のような国務長官の講演

司会 トランプ政権の中国バッシングは凄くて、7月下旬のカリフォルニア州でのポンペオ国務長官の講演は、中国共産党をたたいていて、第二次大戦前のハルノートのような強硬な内容だった。中国人と共産党を分けて、共産党をたたいているのは上手い戦術ととらえた日本人の識者もいたが、どうだろう。共産党が悪いというのは、戦前の日本に対して天皇制が問題だというのに近い。中国サイドを一枚板にさせる効果しかない。雰囲気はまるで開戦前夜のようだ。

Zデスク 実際、南シナ海での米軍と中国人民解放軍とのつばぜり合いは偶発的な軍事衝突をうみかねないぐらい切迫している。

Vデスク 確かに尖閣の接続領域に100日以上も中国艦船がとどまっていたし、南鳥島にまで中国は調査船を派遣してきたが、自衛隊幹部に言わせると挑発しているのは日本に対してではなく米軍だという。

X部員 米軍は空母でコロナがまん延し乗員不足に陥っているとみられた。中国はどこまで対応力があるか試そうとしたのではないか。それで米軍は2空母を南シナ海に送ったのだが、やはりコロナの影響で人員を確保しきれず、2空母はつねに一緒に行動していた。

司会 2空母がいっしょだったのは圧倒的な空軍力を見せつけるためだったのでは。

G部員 確かに2隻ででかけたのは、そのためだが、普通なら空母は同じ地域に出向くにしても別々に行動する。その方が、行動を把握されづらいからだが、今回いっしょだったのは、空母を護衛する巡洋艦や駆逐艦、原潜などを2セット用意できなかったからではないかと軍事専門家は分析している。

司会 南シナ海でこれほど緊張が高まるのはなぜか。

Zデスク 米軍が南シナ海で岩礁でしかなかったところに人工島を築いて滑走路まで作っていることに米軍はいらいらしている。南シナ海の海南島は中国海軍の潜水艦基地があるので、南シナ海を抑えられると核兵器を搭載した原潜が自由に太平洋にでてくる。米海軍の海軍基地の目の前に中国原潜が現れるというようなことが現実になりつつある。これは米軍のプライドの問題でもあるが、米国本土を短距離から核の照準に置かれかねないという意味で米軍は深刻にとらえている。

X部員 人民解放軍も乱暴だ。一昨年には米駆逐艦の40メートル前を横切るように接近した。このニュースは米海軍専門サイトの特ダネだったが、写真もあり、リークには米軍の怒りがにじんでいる。解放軍にしてみればここはうちの庭だということだろうが、習主席の訪印中に国境紛争を起こした前歴もあり、解放軍の現場はかなり乱暴で共産党中央のグリップもきかない。自衛隊関係者は「かつてない緊張感の高まりだ」と言っている。



南シナ海の人工島攻撃は米海軍もやりたい作戦

Qデスク 中国ウォッチャーとして第一人者で、ニュースソクラへもしばしば寄稿している近藤大介氏は米軍の南シナ海人工島攻撃はあり得ると書いてきた。米軍の苛立ちとトランプ大統領が大統領選挙での局面打開を狙うという意味で、限定攻撃ならと大統領と米軍の思惑が一致する可能性は小さくない。特に偶発的に見える小競り合いのあとなら、報復としてあるかもしれない。中国の人民解放軍はどんどん装備を強化して、強くなってきている。でも、今ならまだ米軍が優位と米国側はみているからね。

Zデスク 武力衝突は南シナ海が一番起こりそうだが、台湾海峡、尖閣を含む東シナ海とどこでもありえる。局地戦で済むのか、パールハーバーになってしまわないのか。誰でも容易に予想がつくリスクで、危険な覇権争いとしかいいようがない。まるで帝国主義の時代が戻ってきたようだ。




Profile 土屋直也(つちや・なおや)
1961年生まれ。84年早稲田大学政経学部卒業、同年日本経済新聞社入社。86年から3年間ロンドン駐在員としてサッチャー首相の英国と金融街シティを取材。98年から4 年間ニューヨーク駐在中は、ウォール街を取材し、2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった91年の損失補てん問題で「補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014 年7月、ソクラ創設のため、日本経済新聞社を退職。同年10月、株式会社ソクラを起業し、代表取締役兼編集長に就任。



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