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トピックス -企業家倶楽部

2020年08月27日

フォトウェディング〜婚礼市場の新潮流〜/Mクリエイティブワークス エグゼクティブプロデューサー 櫻井 均 

企業家倶楽部2020年10月号 注目企業


映画のセットか、あの有名なテーマパークを思わせるスタジオ。ここは、Mクリエイティブワークスが展開するフォトスタジオ「ルミナスお台場」だ。「フォトウェディング」というカテゴリーがじわり広がりを見せる昨今、圧倒的な規模感で2年前に参入した、Mクリエイティブワークス櫻井均エグゼクティブプロデューサーに話を伺った。(文中敬称略)



変化する婚礼需要

 時代の景気やトレンドによって、「派手婚」や「地味婚」など、その時々のトレンドを表す言葉が生まれてきた。最近は「なし婚」といった言葉もある。世はまさに「多様性」の時代である。結婚する二人の価値観にあった婚礼スタイルを選ぶ時代になってきている。

 婚礼市場はどうなっているのか。約60万組が年間に入籍をする。そもそも、入籍する人たちが毎年1から2%減少している。

 また、結婚する二人も様々だ。お互いが初婚とは限らない時代なのだ。60万組の入籍者の25%が離婚経験者という数字もあるのだ。そうなると、今までのように華やかな結婚式、披露宴を行うというのは難しい。さらに、結婚式、披露宴にかかる費用は平均すると約400万円と安いとは言えない。

 そのセレモニーにそれだけの費用をかけるより、新しい生活に対しての支出に回したり、二人の共通の趣味にお金をかけたりといったように、実にさまざまである。

 とはいえ、「ウェディングドレスを着たい」「入籍した二人の写真を撮っておきたい」といった声は大きい。そこで生まれてきたのが「フォトウェディング」というカテゴリーだ。

 また、昨今、披露宴の前後に撮影だけを行う人たちも増えてきている。そう考えると、この「フォトウェディング」というカテゴリーは、60万組すべてを対象として考えることができるのではないかと櫻井は考えた。

 櫻井は前職時代より、韓国を中心として広がりを見せるフォトウェディング市場に注目をしていた。櫻井が前職を離れるタイミングで、「スマ婚」「2次会くん」などのサービスを提供するメイションの社長より「写真を活かした今まで日本になかったサービス、結婚式業界になかったイノベーティブなサービスを考えてほしい」と声がかかった。

 入社後すぐに社長と向かったのは、上海で年2回行われるフォトショーだった。「規模感や雰囲気は見てもらわないと伝わらない」。このスタイルは日本にはまだないサービスだった。二人が上海のフォトショーに行って、わずか4ヶ月後の2018年11月に「ルミナスお台場」はオープンした。考え抜かれたセット「見てもらわないと伝わらない」。櫻井のその言葉の通りであった。お台場にある「ルミナスお台場」は、約200坪のフロア内に28もの撮影ブースを設けてある。

 ウェディングチャペルはもちろん、瀟洒な洋館、ヨーロッパのホテル、中世の貴族の館を思わせる大広間や大階段、地中海に浮かぶ小島の街並み、季節の花々が咲き誇る温室などなど。すべて細部までこだわり抜いたセットである。

 この28セットに絞り込むまでの工程にも櫻井のこだわりが光る。櫻井を含めた3人それぞれが「このシーンが良い」というものを100ずつ持ち寄った。

 300にも上るシーンの中から、花や街並みなど8つのジャンルに分け、その中から3人が投票形式で選んでベースを決め、現在の形に落ち着いた。このこだわりのセットで、「映画のワンシーンを切り取ったようなウェディングフォト」を提供している。

 このセットがお台場のテレコムセンタービル内のワンフロアにある。不安定な気候に左右されることなく撮影を行うことができる全天候型のスタジオとなっている。これは大きな強みである。

 屋外の撮影の場合、天候に大きく左右される。天候が悪ければ当日のキャンセルもある。当日キャンセルとなった場合、集めていたメイク担当者などもキャンセルとなる。最悪の場合、キャンセル費用が発生することもあるそうだ。

 また、最高の仕上がりの写真を撮るためには、日差しや風など、自然を相手にしなければならない。全く同じ条件の撮影はないと言える。そこを補うのがカメラマンの技術となる。その為には、カメラマンの経験値が出来上がりを左右することになる。

 これが全天候型のルミナスお台場では、よほどのことがない限り撮影スケジュールが狂うことがない。また、ライティングに関しては、誰が撮っても最高の一枚となるように、すべて計算し尽くされている。ライティングの調整はすべて手元の端末でできるようになっている。

 さらに、セットにはもう一つ秘密がある。それはすべてのセットが女性の白いウェディングドレスが映えるシーンにしていることだ。男性のタキシードも女性の白いドレスが映えるように黒、紺、グレーの3色に絞ってある。

 このように、圧倒的な規模のスタジオの中に、緻密に計算し尽くされた仕掛けがたくさんあり、最高の一枚を経験値豊富なベテランのカメラマンでなくても撮影できる仕組みとなっているのだ。

 しかし、その仕組みのすべては花嫁の為と言っても過言ではない。「良い写真で良いアルバムができるのは当たり前。私たちが提供するのはウェディングフォトを撮るという体験をサービスとして提供している」と、櫻井はこう断言する。


変化する婚礼需要

コト消費としてのフォトウェディング

 基本的な撮影までの流れはこうだ。同社のホームページから見学予約を行う。あらかじめ撮影日が決まっている人は、全体の10%だという。それでも、一度、来館しセットを見てもらい、撮影のプランを説明しプランを決定してもらう。基本的には、最初に担当したプランナーが最後まで面倒を見る。

 ドレスの決定は次の段階である。100着近いドレスがあるため、ドレスカタログはお客にネット上で送信する。その中から、3着程度の試着したいドレスを選んだうえで、再度来店いただき、ドレスを決定する。この決定までに3週間から5週間を使い、全てに納得した状態で撮影に臨んでもらう。

 費用も明朗である。ドレス1着に12ページアルバムがセットになって、13万8千円からとなっている。新郎新婦のドレス、タキシード、ヘアメイク、アルバム、さらに、フォトレタッチ(画像修正)がパッケージとなっている。

 撮影当日は、主役である花嫁の素晴らしい体験をスタッフ全員がフォローする。スタッフはほとんどが女性である。プランナーからカメラマンまで、ホテル同様の接遇ができるように、専門家による接遇研修を受けているのだ。そのスタッフが花嫁の気持ちに寄り添い、最高の一日を作り上げていく。さながら、スタッフとお客の共同作業とも言える。

 撮影当日は3時間半から4時間半という時間、貸し切りの状態で撮影を行っていく。この空間で撮影をするという体験がルミナスお台場の価値の提供だと言える。まさに、アルバムという成果物としてのモノではなく、撮影体験、花嫁体験という価値を提供しているのである。



今後の展開

 ブライダル業界全体でみると、少子高齢化や「なし婚層」の増加もあり、市場環境は厳しい状況にあると言える。その様な状況下で、フォトウェディング市場は、フォトウェディング単体として、また、婚礼日の前後に撮影を行う「前撮り」「後撮り」を含めると、成長の見込めるカテゴリーだ。

 同社では、圧倒的な規模で展開している「ルミナスお台場」のほか、銀座・歌舞伎座の前に「ルミナス銀座」という小規模店舗を6月にオープンした。

 小規模店舗とはいえ、7種類のセットを用意し、こちらでは和装の撮影にも対応している。ルミナスお台場オープンから2年後の出店とあり、この2年間に蓄積したノウハウを存分に生かしたつくりとなっている。

 また、「ラメゾン」ブランドとして、実際のゲストハウスで撮影を行う展開もしている。現在は、代官山と新横浜の2施設で撮影を行える。どちらの施設もブランドコンセプトが合う施設と提携した。どんなゲストハウスでも良いという訳ではないのだ。

 今後、Mクリエイティブワークスは、ルミナスお台場を「グランスタジオ」、ルミナス銀座のような小規模店舗を「スタジオ」、ゲストハウスでの撮影は「ラメゾン」と、3つの展開でフォトウェディング市場を攻めていく。

「日本の婚礼市場では、婚礼=結婚式+披露宴というのが一般的だが、婚礼=フォトウェディングという選択肢を確立できれば」と語る櫻井。写真を知り尽くした男が婚礼市場で写真の新たな価値を提供し、「フォトウェディング」市場をけん引していくだろう。


 今後の展開

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