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トピックス -企業家倶楽部

2020年08月27日

時代の波に乗りEvenな社会を目指す/ブイキューブ代表取締役社長 Founder & CEO 間下直晃

企業家倶楽部2020年10月号 トップに聞く


コロナ禍で瞬く間に浸透した「Web会議」。ビジュアルコミュニケーションサービス「V-CUBE」を自社開発し、いちはやくテレワークを提供してきたブイキューブ間下社長にこれまでの苦悩と今後の抱負について語っていただいた。聞き手:本誌編集長 徳永健一

国産の強み

問 御社の主要なサービスをお聞かせください。

間下 一つはWeb会議システムです。もうWeb会議自体がコモディティであり、我々のシステムはZoomやチームズなどとほぼ同じものです。しかし、国産なのでセキュリティ、プライバシー、サポートを重要視するお客さん、行政や金融機関にはご好評をいただいています。

問 政府や金融機関に強いセキュリティとのことですが、他社との違いはどこにあるのでしょうか。

間下 「日本国内にしかない」というのが一つの大きなセキュリティになっています。つまり、各国の政府の管理下に置かれることがないということです。Zoomは中国製なのである程度は中国政府に管理されざるを得ませんし、他のサービスもほとんどがアメリカ製であり、アメリカの影響を受けないとも言い切れません。一般企業からしたら気にするほどではありませんが、政府が使うとなると良いとは言えません。

 Web会議はこのままコモディティ化が進みますが、我々はWeb会議で成長していこうとは考えていません。Web会議が当たり前になっていく中で、我々のテクノロジーをどう世の中に浸透させていくかを考えています。



場所という壁をなくす「テレキューブ」

問 Web会議の他に御社のテクノロジーを浸透させる取り組みは何かされているのでしょうか。

間下 一つはテレキューブです。テレワークやリモートワークが広がる中で、場所が無くて困るというケースが非常に多くなっています。テレワークといっても自宅で仕事をする場所がないこともあります。オフィスではテレビ会議などで利用が集中し会議室が足りなかったり、カフェ、ラウンジ、駅や空港などで会議はできません。リモートワークやテレワークを始めると「場所がない」という壁に大きくぶつかるのです。

 この問題を解決しなければWeb会議は広がりません。逆に言うとこれを解決できれば、V-CUBEのユーザーのみならず、すべてのWeb会議ユーザーが活用できるサービスになると考えテレキューブを作りました。これが街中や企業内に設置されることで、場所の問題はすべて解決されていきます。JRさんや私鉄各社さんと組みながら公共の場に設置しており、企業内への設置も展開しています。昨年末では330台の設置でしたが、今年は第一四半期だけで260台ほど設置しており、1年間では1000台ほどを見込んでいます。リモートワークの広がりに合わせてこのテレキューブが必要とされています。

問 テレキューブはどのような使い方をされているのでしょうか。

間下 街中に設置しているものは営業マンが本社やお客さんとの会議で使用することが多いと思います。昔でいう電話ボックスと同じような使われ方です。ただ、電話ボックスでは商談ができませんでしたが、テレキューブでは商談ができます。企業内に設置しているものは会議室と同じように使っていただいています。また、自宅の近くも人気があります。作業だけであれば自宅でもできますが、家族がいる中での会議などはなかなか難しいです。

問 テレキューブの中では必ずしも御社のサービスを使わなくて良いのですか。

間下 どのWeb会議システムを使用しても問題ないです。Web会議システムは会社側が選んでいることが多いので、V-CUBEのみとしてしまうとテレキューブが利用できなくなってしまいます。V-CUBEのユーザーは3割ほどのシェアであり、残りの7割の人たちにテレキューブを提供しない理由はありません。我々のWeb会議システムは政府など、システムにお金を払う意味を感じてもらえる方に使っていただければ良いと考えています。

問 今後テレキューブはどのような使い方をされていくのでしょうか。

間下 今後はこれまで対面で行われてきた手続きがテレキューブでできるようになっていくでしょう。例えば銀行や行政、病院の窓口に行かなければならなかったことが、テレキューブでできるようになります。マイナンバーカードリーダなど自宅やスマートフォンにはついていないものがテレキューブの機能として設置されることで、インフラとして機能していくものになります。色んなことがリモート化されていく中で、場所が無いという問題をテレキューブで解決していきます。



「Evenな社会」

問 「テレキューブ内で必ずしも自社サービスを使う必要がない」とは非常に柔軟な発想ですが、その柔軟さはどこから来るものなのでしょうか。

間下 我々が掲げているミッションは「Evenな社会の実現」です。このEvenな社会の実現を進めることができ、そのためにリーズナブルであれば良いと考えます。自社製品に対する愛着や利益率の高さなどの都合はありますが、あくまでも都合であり、ファーストプライオリティではありません。我々はソリューションを提供することが多いのですが、ソリューションプロバイダーがこだわるとソリューションにはなりません。時代とともにWebのニーズや困っていることは変わってきます。そこに対して適切なものを提示していけないとソリューションになりません。

問 「Evenな社会の実現」という価値観に至ったきっかけをお教えください。

間下 我々の言う「Evenな社会」は何かにチャレンジするときのEvenさ、結果ではなく機会の平等なのです。例えば、生まれた境遇、住んでいる境遇などによってチャレンジできるかどうかに差が出てしまいます。東京にいないから仕事や教育が無い、医者がいないなどの問題を無くしていくのが我々にとって「Evenな社会の実現」なのです。その結果どうなるかはその人次第です。今回のコロナによって、リモートの概念が一気に広がり、意外とできることに世間が気付き始めました。これからは会議だけではなくありとあらゆるものがリモート化していくでしょう。医療、教育、行政、金融などがリモート化されていくことで「Even な社会の実現」につながっていきます。



世の中とともに変わり続ける

問 学生ベンチャーで立ち上げていますが、経営する上での心掛けをお聞かせください。

間下 組織的な部分は得意なメンバーが回してくれています。良い仲間に恵まれました。世の中は変わるものであり、我々は世の中から求められるものを提供していく立場なので、自分たちが変われることは大切だと思います。基本的なフィロソフィーとして、変わっていかなければならないこと、世の中に求められる何かをテクノロジーで生み出していくことは一貫しているので、そこに共感してくれている仲間は多いです。

問 採用について求める人材はどのような人でしょうか。

間下 好奇心と忍耐力がある人です。新しいことを見つけるには好奇心が必要で、それを実現させるには耐えなければなりません。好奇心と忍耐力の両方を持っていないと、面白いものを見つけても、世の中に広まる前に辞めてしまったりします。世の中を変えていくには時間がかかり、自分の力ではなかなか変わらない部分もあります。我々が15年もかけてじわじわ変えてきたことが、コロナのような想定もしないことでガラッと変わってしまいました。その変化に乗れるかどうかは忍耐強くやってきたかどうかです。

問 今まで愚直にやってきたので今回の変化に対応できたのですね。

間下 将来こうなるというところには自信がありました。我々の強みは、Web会議をベースにしながら色々な社会課題に対する解決策を広げてきたことです。それが今、後ろから波で押されている状況なのです。

問 現状は追い風が吹いていると思いますが、課題はありますか。

間下 人の増員を含めた中の体制作りです。お客さんを待たせてしまっている状態であり、採用とパートナー会社の増加に力を入れています。できないことではありませんが、一番のチャレンジです。



2度の波を越えさらなる成長へ

問 今までで一番苦労した出来事はありましたか。

間下 実は今回のコロナは我々にとって2回目の波です。1度目は上場前に起きたリーマンショックでした。ビジネスモデルが大きくクラウド型にシフトしていったのです。リーマンショックによる出張経費削減が響き、Web会議を使おうという動きが出ました。我々のユーザーも1年間で3割増え、かなりの伸びでした。それまではシステム一括で購入する大きなお客さんが多く、1社で何百万〜何千万というすぐに売上と利益が立っていました。しかし、ほとんどがクラウドに変わったことで、同じ1000万でも月々の売上が30万ほどになるのです。月々の売上で比べると差が出てしまい、短期の売上利益が上がりません。2009、10年は08年の黒字から一転して赤字になりました。リーマンショック後の赤字で銀行は貸し剥がしに来ますので色々大変でした。クラウドという積み上げ型のサービスモデルはほとんどない時代だったので理解が得られませんでした。

問 それから10年11年と苦しんで13年にマザーズに上場されていますが、どのように調子を取り戻したのでしょうか。

間下 09 、10年は苦しみますが、3年後には積み上がりの黒字化が見えていたので走れていました。そして11年7月にグロービス・キャピタル・パートナーズから10 億円、当時では最大の出資金が入りました。そのおかげですべてのゲームチェンジが起き、財務体制も変わり、積み重ねた数字が上がり、ほどなく上場しました。色々と難しいタイミングだったのでグロービスには感謝をしています。

 今回のコロナも我々にとってゲームチェンジでした。社会を変えたり、社会の課題に対する取組みをしているときは、社会が動くときがゲームチェンジとなります。頻繁に起きるものでもありませんが、それに向けて準備をしていれば、チャンスはつかめる可能性があります。有事はスタートアップにとって成長ドライバーです。そこに対してスピードを持って動けるのがベンチャーでしょう。

問 今後力を入れてチャレンジしていくことはありますか。

間下 企業内でも、外のライフスタイルでもコミュニケーションのDXがおきています。コロナによって突然デジタル化されている状態であり、世の中をリモート化していくためのプラットフォーム提供が非常に伸びています。今は引き続き全力投球したいです。いつまでかはわかりませんが、ここ数年はここに対して全力投球すれば成長できるタイミングだと思っています。




Profile 間下直晃(ました・なおあき)1998年、慶應義塾大学在学中に有限会社ブイキューブインターネット(現ブイキューブ)を設立。2008年よりWeb会議市場における国内シェアナンバーワンを13年連続で獲得。13年、マザーズ上場。15年、東証一部へ市場変更。同年、センシンロボティクス(旧ブイキューブロボティクス)を設立。経済同友会副代表幹事、日本の明日を考える研究会委員長。

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