• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル

トピックス -企業家倶楽部

2020年10月27日

ファミリービジネスとベンチャーの融合/FSX社長 藤波克之 Katsuyuki Fujinami

企業家倶楽部2020年12月号 特集第3部 編集長インタビュー


「温和で誠実な人柄」と経営者仲間や社員からは慕われ、年上の諸先輩からは「謙虚さが滲み出ていて応援したくなる好人物」と評価される藤波克之社長。その長身で爽やかな風貌から「おしぼり王子」と呼ばれる。「伝統と革新」をバランスよく融合し、人との「ご縁」を推進力に持続的成長に挑戦する稀代の企業家の世界観に迫る。(聞き手は本誌編集長 徳永健一)



コロナ禍で気付いたこと

問 2020年は新型コロナウイルスの世界的パンデミックが起こり、4月には緊急事態宣言が政府によって出され、経済活動も制限されました。特に外食産業への影響が心配されています。FSXの主力事業も飲食店向けのレンタルおしぼりですが、コロナ問題はどのように受け止めていますか。

藤波 はい、正直に一瞬ですがヒヤッとしました。レンタルおしぼりの需要が下がり4割減という数字が出ていました。飲食店の基盤が揺らぎつつあり、最大の危機でした。しかし、すぐに「持ちこたえられる。コロナは乗り越えられる」と思いました。それは、抗ウイルスのVB(ウイルスブロック)への問い合わせがコロナ前から増えていましたが、コロナ対策として注目され、さらに追い風となっていると感じたからです。

問 抗ウイルス商品のVBを先駆けて開発していたことが大きかったですね。もう少し、詳しく対応策について聞かせてください。

藤波 弊社は西東京の国立市に工場拠点があり、顧客層は都心の飲食店向けである「都市型」と地元である多摩地区を中心とした「市街地型」に分類できます。緊急事態宣言でそのことが鮮明になりました。都心のオフィスは大企業をはじめ在宅勤務になり、都内の居酒屋向けに出しているおしぼりが目に見えるように減りました。これはピンチでしたが、配送担当者に話を聞くと、「地元の西東京エリアは、比較的にまだ動いています」と報告がありました。

 これまで「都市型」と「市街地型」といった区別はしていなかったのですが、今回のコロナにより商圏によってエリア毎の傾向や違いがあるのだと知りました。

 そこに9月末から「リゾート型」が加わることになりました。同業の富士北麓地域でおしぼりサービスをしている会社の経営権を取得しました。このエリアは富士山や富士五湖など多くの世界文化遺産があり、歴史や文化、自然、レジャー施設など、豊富な観光資源を抱えています。日本の観光地のシンボルとして、今後更なる成長が期待されるこのリゾートエリアが商圏に加わることは、世界中からこの地を訪れるお客様に「おしぼり文化」を体験してもらえる、またとない機会となります。

問 レンタルおしぼりのマーケットには、エリアごとの特色があるのは興味深いですね。外的環境によって受ける影響にも違いがあり、お互いを補完したり、リスク分散にもなるのではないですか。

藤波 河口湖をはじめ富士五湖周辺は、別荘や宿泊施設も多くあります。最近流行りの高級アウトドア「グランピング」や温泉施設も充実しています。都心がピリピリと緊張した雰囲気の中、リゾートエリアはコロナ禍でも海外からのインバウンド客は減りましたが、普段通りでした。まだ海外渡航などに制限がある中、東京近郊のリゾート地は見直され、注目度も上がってきています。このマーケットは肥沃だと思い、進出を決めました。

 富士五湖エリアのマーケットを取り込めたことも大変期待していますが、売上げよりも今までの「都市型」と「市街地型」に加え、「リゾート型」という基盤が出来たことが大きいです。3つのタイプのマーケティングが可能になります。今回の買収には工場も含まれるので、「リスク分散」にもなるでしょう。

 都心から車で1時間強ですので、最近政府が推奨しているワーク(仕事)とバケーション(休暇)を掛け合わせた「ワーケーション」にも最適な場所だと思います。私も3月下旬に保養施設に籠って本を読んだり、事業戦略を考えていたのですが、桜が咲いている中、降雪があり、それは幻想的でした。


コロナ禍で気付いたこと


2017年REION製品発表会



ファミリービジネスとベンチャー融合

問 藤波社長は家業である「レンタルおしぼり業」に重点を置きながら、アロマや抗ウイルスなどの機能面で付加価値をプラスしています。新規事業に掛ける「時間」や「コスト」も相当な先行投資になると思いますが、新しい挑戦をし続ける理由は何でしょうか。

藤波 100年経営研究機構の代表をされている後藤俊夫先生との出会いは大きいと思います。経営者としての視野を広げてくれた恩師です。家業を継ぐなら会っておいた方がいい人がいると友人が後藤先生を紹介してくれました。

 後藤先生は長寿企業を研究されています。世界的なファミリー企業の団体があり、「学会で発表するから一緒に行かないか」と誘われ、05年にベルギーサミットに同行させてもらいました。メルセデスベンツやフェラーリ、ラグジュアリーブランドなど欧米にもファミリー企業は多くあり、成功している企業も多い。世界のファミリー企業が活躍する事実を知り、視野が広がりました。

問 家業を継ぐというと世襲、同族経営とネガティブなイメージもあるのは事実ですね。しかし、トヨタをはじめ日本にもファミリー企業で成功しているケースは実に多くあります。オーナーシップがあることは組織としては強みでもあると思いますが、藤波社長はどのように感じていますか。

藤波 後藤先生を通して、多くのファミリービジネスの事例を知ることで「ブレない長期視点」が強みだと感じました。コロナ禍においても長寿企業の方がダメージが少ないというデータが出ていると聞きました。

 しかし、ここで注意しないといけないことがあります。同族というマイナスのイメージもあります。「長期視点を持ちながら、甘えてはいけない」ということです。結果的に「伝統と革新」にたどり着きます。

 組織は革新し続けないといけないということです。ファミリー企業にも株式上場をしている会社があります。成長性があるか、株主の視点も重要視しなければなりません。

問 ファミリー企業として、何か差し迫る「危機感」があったのですか。一般論として、経営も安定していて、すぐに倒産するようなことがなければ、リスクを取って新しいことに挑戦することはないと考える人が多いと思います。代々続いている会社の経営者は品があり、ガツガツしていませんよね。そこに事業家としての物足りなさを感じたのでしょうか。

藤波 全員ではありませんが、2代目、3代目経営者の中には、高級車を自慢したり、付き合いで夜に飲みに行くのが仕事だというような社長もいます。しかし、私はその空気に馴染めませんでした。サラリーマンを辞めて家業を継ぐためにこの世界に飛び込んできました。気付かないうちにじり貧になっていく、言葉を選ばすにいうと「茹でガエル」になりたくないと、居心地が良くなかったのです。ハイリスクでも挑戦して這い上がっていくような気概がないと組織はすぐに衰退してしまうと考えています。

問 家族経営には何が足りないと感じたのですか。

藤波 「反骨心」です。衰退することなく、持続可能な成長ができる経営とはどういうものだろうかと考えると、「革新性」が必要だと。リスクを取ってビジネスをする気概が足りないのだと思いました。

 ファーストリテイリング柳井正会長やジンズ田中仁社長、GMOインターネット熊谷正寿代表といった活躍されている経営者の話を直接聞き、「これが企業家か!」と衝撃を受けました。

 私が2代目経営者であることは紛れもない事実です。そこで、ファミリービジネスのブレない「長期視点」という強みとベンチャー企業の「革新性」を掛け合わせた組織を目標としています。


ファミリービジネスとベンチャー融合

全社視点で経営する

問 これまでに印象に残っていること、経営をするうえで教訓になっている出来事はありますか。

藤波 私が一つのプロジェクトに集中し過ぎて、他の問題が起こっているのに気付くのが遅れて、経営の危機に陥った経験があります。新商品を開発したのですが、なかなか計画通りには売れず、経営不調の理由をそのプロジェクトだと決めつけて、躍起になって解決しようと時間と意識を割いていました。

 組織全体に目が行き届かなくなっていたのです。本当は物流コストや製造原価が高騰していたにも関わらず、判断が遅れてしまいました。日々、様々な部署で問題が発生しているのですが、そのことに気付かないことの方が問題を複雑化させてしまいます。

 この失敗経験から、経営者は「全社視点」が重要なことを学びました。企業は人がすべてです。社員が笑顔で仕事をしているか、俯瞰で組織を見渡す視点がいるのだと知りました。教訓になっています。

問 今後、FSXをどのような会社にしていきたいと考えていますか。藤波社長の夢と求める人材について聞かせてください。

藤波 FSXは、「日本文化のおしぼりを新しいテクノロジーとデザインを掛け合わせて、おしぼり産業を再発明する会社」になりたいと思います。

 先日も知人の経営者との会話で、「藤波さんは、男性用ボディーシートは出さないの?」という話がありました。大手メーカーが清涼感のあるウェットティッシュを出していて売れていることも知っていますが、FSXが手掛けるものではないと考えています。FSXはおしぼりの本質を追求し、客人へのおもてなしの心を大切にするというコンセプトです。抗ウイルスの機能を持ったウェットティッシュを発売する会社にVBを技術提供することはあるでしょう。売れているからではなく、「おもてなしの心」に根差したサービスにこだわっていきます。

 数年かけて人事評価も含めて、このビジョンを実現する体制にしてきました。採用面でも、やっぱり「おしぼり」が好きな人に来て欲しいですね。


全社視点で経営する


天然アロマオイル配合紙おしぼり「AROMA Premium」





一期一会のおもてなしを演出する手のひらサイズのPocket Oshibori「MARU」使い切り布おしぼり


profile 藤波克之(ふじなみ・かつゆき)
法政大学卒業後、NTTグループ勤務を経て2004年に前身である藤波タオルサービス(2016年11月現社名へ変更)へ入社。2009年 代表取締役専務に就任。2013年9月より現職。

コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top
日本のオンラインカジノでオンラインでプレーすることの本当の魅力は、実際に交流するプレーヤーがいないという事実です。 ご存知かもしれませんが、多くのプレイヤーは賞金を他の人と共有することを望んでいません。 したがって、彼らは楽しみのためにプレーし、お金を失うリスクを冒すことはありません。 その結果、ゲーム全体をオンラインで無料でプレイできます。 日本のオンラインカジノ これは、お金をかけずにゲームをプレイしたい人に最適です。 しかし、あなたが本当のオンラインカジノで本当のお金を勝ち取ろうとしているなら、あなたはいくつかの秘訣と戦略を学ぶために読み続けたいと思うかもしれません。