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トピックス -企業家倶楽部

2020年10月27日

謙虚だが熱い経営者

企業家倶楽部2020年12月号 特集第5部 藤波克之の人的ネットワーク


誠実でさりげない心遣いの出来る人物と評判の藤波。しかし、おしぼりのこととなると溢れる情熱を抑えきれない。出会った人の誰もが藤波の夢に共感し応援団になってしまう。(文中敬称略)

夢を本気で叶える経営者/日本経済大学大学院 特任教授 一般社団法人100年経営研究機構 代表理事 後藤俊夫 Toshio Goto


 夢を本気で叶える経営者/日本経済大学大学院 特任教授 一般社団法人100年経営研究機構 代表理事 後藤俊夫 Toshio Goto


 NECで日本・アメリカと合計30年以上も営業や経営戦略に携わってきた後藤俊夫。現在は日本経済大学大学院の特任教授として経営戦略、特に企業の持続的成長を専門分野とし、日本の長寿企業やファミリービジネスの第一人者として知られる。

 そんな後藤が藤波と関わるきっかけになったのは、1997年から自身のセミナーと一緒に開催している事例研究会でのことだ。藤波は友人の紹介でこの研究会に参加した。

 藤波に対しての第一印象は「人付きあいがいい人」。藤波は自ら積極的に話しかけに行き、後藤が紹介した人にとどまらず広く交流の輪を広げていった。「人脈はすぐ売り上げにはつながらない。だけど自分の視野を広げたり、いろいろな活動をする上で助けになる」と後藤は微笑む。若い後継者である藤波に見識を高め、幅広い人脈との交流を図れるようにと、後藤は自分の人脈から多くの人物を紹介した。

 出会った当初の藤波は、NTTから父親の会社に移ったばかりで慣れない環境に苦労していたという。まずおしぼり業界のイメージを一新したいと考え、後藤からの教えの通り、藤波は現場から学び改革を行おうとした。しかし社員からは「現場は我々が出来るから、藤波さんにしか出来ないことをしてほしい」という要望が返ってきた。従業員にできないこと、今まで自社になかったことを考えると、やはりNTTで培ってきた経験だった。大企業では当たり前に導入されているIT、広報の分野が弱点だと感じた藤波は即座に行動に移した。「従業員も取材が来て注目されるのはうれしいよね。FSXを訪ねると従業員の眼に活力があるよ。藤波さんにしかできないことに集中し、役割分担ができたことがFSXの快進撃の要素となっている」と後藤は話す。

 おしぼり業界の快進撃を成し遂げた藤波だが、後藤はその過程で忘れられないエピソードがあった。出会った当初から藤波は「家業であるおしぼり業界を馬鹿にした人たちを見返したい」と強く話していた。業界に対する偏見があることは紛れもない事実であった。その根底を覆したいという思いがあったからだ。普通の人ではただ文句を垂れるだけだが、藤波はこれをビジネスにおける夢として掲げ、実現まで至ったのだ。「今やおしぼりの代名詞となっていて、さらに抗菌という付加価値をつけている」と後藤は藤波を評する。「売り上げではなくそれが欲しいというお客さんをどれだけ作るか。外資系のホテルやレストランのトップへ入れていく中で、付加価値が高まり、ブランドとなり、これがどこまで広がるのか。私がわからないくらい可能性を秘めていると思います」とこれからのFSXに期待を寄せた。

 FSXの強みは特許に基づいた自社ブランドやイーシザイ・マーケットもあるが、やはり根幹部分である「人」が強みであるという後藤。人が強ければ強みを作り続けることは可能である。最後に「経営というのは一手でも間違えるとどう転ぶかはわからない。夢だけ大きくてもダメだし、足元を固めるだけでもダメ。これからも成長し続けるためには二つのバランスが鍵になる」と今後もアグレッシブさを忘れずに邁進してほしいとエールを送った。



万人から好かれる跡継ぎベンチャー/ファミリー・ビジネス・ネットワーク・ジャパン 理事長 髙梨一郎 Ichiro Takanashi


万人から好かれる跡継ぎベンチャー/ファミリー・ビジネス・ネットワーク・ジャパン 理事長 髙梨一郎 Ichiro Takanashi


 世界中に創業家が資本を持ち、代々経営に関与している企業が存在している。非効率で世襲はよくないという意見もあるが、最近では一般的な企業よりも高収益を上げているというデータもあり、見直されている。オーナーシップがある方が長期的視点で経営判断を下せるなどメリットも多い。そんなファミリーによる所有や経営が行われている企業に対して交流、学びの場を提供している特定非営利法人F.B.N.Japan。そこで理事長を務めている髙梨一郎が藤波に初めて会ったのは2005年のことだという。2人を繋いだのは長寿企業を研究する後藤俊夫である。後藤が研究する長寿企業の多くがファミリービジネスであったことから縁が繋がり、老舗の研究を行う「老舗会」を通じて知り合った。当時は、藤波が一般企業からファミリービジネスに足を踏み入れ始めた頃、そして髙梨自身もファミリービジネスを支援する組織を立ち上げていた時期でもあり、すぐに意気投合したという。

 藤波の第一印象について、「好青年ですね。老舗会自体は年齢層が高い方が多く藤波さんにとっては歳が離れている方が多いと思いますが、そのような中でも人付き合いがとても良いと感じました」と語る。そんな藤波の印象は現在でも変わらず、FBNの行事がある度に積極的に参加する姿勢には誠実さが感じられ、感謝するばかりだという。毎年各地で開催されている、FBNの世界大会の場では、海外という異国にも臆せず、様々な人と交流する姿が印象的であったと語る。以前髙梨が会社を訪問した際、藤波がどんな社員に対しても気を配っていたことが記憶に残っており、このような他者に対する惜しみない配慮も人から好かれる一因なのであろう。人に好かれる性格は事業の引き継ぎの際にも少なからず影響を与えているという。ファミリービジネスは親が権力を保持し続け、長年経営に携わってしまう事によるトラブルが発生しやすい。しかし、その点においてFSXでは問題なくスムーズな引き継ぎがなされていたと評する。誰に対しても人当たりが良く、ファミリー間においても問題がないことは企業の大きな成長を加速させる原動力となっている。

 FSXの強みとして、おしぼりを中心に派生する領域を広げている点を挙げた。多角化ではあるが、おしぼりの分野を巧みに拡大し、抗菌や香り付け等の新たな付加価値をつけている。ファミリービジネスを研究している髙梨は単に親の会社を引き継ぐだけでなく、時代に応じてイノベーションを起こしていくことが継続の鍵であると語る。藤波のビジネスは「大きなリスクを取りながらも新しい事に挑戦していく姿勢は、素晴らしいです。藤波さんには単なる2代目ではなく、ベンチャーに対して貪欲な気持ちが根底にあり、まさに跡継ぎベンチャーのような存在だ」と評する。

 ファミリーとして事業を続ける事に意義があると考えている髙梨は、藤波にはぜひ創業の意志を守ってもらいたいと語る。その事業を始めた核になることが強さの源泉になっていく。

「100年以上続く日本の会社は多いですが、会社を高齢化させることなく、これまで通り変革していく強い意志を持ち続けていってもらいたい」と今後の期待を込めて、笑顔で締めくくった。



常に学ぶ意欲がある企業家/ジンズホールディングス 代表取締役CEO 田中 仁 Hitoshi Tanaka


常に学ぶ意欲がある企業家/ジンズホールディングス 代表取締役CEO 田中 仁 Hitoshi Tanaka


「いつも腰が低く、誠実な人物」とジンズ社長の田中仁は藤波の人柄について語る。一代でメガネ業界大手に育て上げた企業家田中は藤波にとって以前から憧れの存在であった。実際に田中が講演する経営者セミナーを受講したこともある程だ。

 藤波は家業を継ぎ、近い将来社長になり父親から会社の経営を受け継ぐことになると自覚していた。二代目経営者に甘んじて守ることだけを考えたら会社は生き残れない。そんな危機感を持ち、進んで企業家精神を学びに著名な経営者の講演を受講していた。田中は、そんな目標とする企業家の一人であった。

 そんな折、10人ほどの経営者が集う会食に参加すると、ちょうど目の前の席に田中が座っていた。今から10年ほど前の出来事である。古くからあるメガネ業界の中で革新的な商品を開発し、企業を成長させている田中を尊敬していた。藤波は胸の高まりを抑えきれないほど興奮したことを昨日のことのように鮮明に覚えているという。

 その後も定期的に何度か食事をしたり、社員十数名を連れて田中の新社屋を見学に行ったりと現在でも交流は続いている。

「藤波さんは一貫して学ぶ意欲がありますね。彼に会ったときはいつも質問攻めです。テーマはその時によって違いますから、藤波さんの中にいつも課題があるのだと思います」と田中は経営者として必死な藤波の姿に好感を覚えるという。

 ジンズはメガネ業界に捕われず新しいテクノロジーを使った革新的な新商品を出すことで定評があるが、現在、FSXも大学と連携し、共同開発した技術を新商品開発に取り入れているなど、共通点がある。藤波は田中に会った際には、そのタイミングで関心のある課題について、憧れの先輩企業家からアドバイスを受けている。ある時は、人材マネジメントであったり、新商品開発であったり、マーケティングであったりするが、田中の経営者としての視点から学んでいることは多い。

「日本を代表する企業家であるにも関わらず、アドバイスを求めると自然体で接してくれます。そのギャップが田中社長の魅力」と藤波は全幅の信頼を寄せている。

 田中にFSXの強みを聞くと、「エビデンスであり、サイエンスだ」と言い切る。産学連携で培ったデータは差別化に繋がる。おしぼり業界で頭一つ飛び出した理由はそこにあると田中はいう。

 先輩経営者として、田中から藤波に何か注文はないかと尋ねると大変興味深い回答が返ってきた。あくまで一般論としてだが、「志を持って自分の意見を発言したり、行動すると必ずある一定数の反対勢力がいるはずです。私はこれまで藤波さんの悪口を聞いたことがない。それは彼が誠実で謙虚な経営者であるからかもしれません。しかし、反対意見がないということは、まだ本当の自分の意見を発信していないのではないでしょうか。これは少し言い過ぎましたかな」と微笑みながら田中は次のステージへ上がるタイミングを諭した。

 数々の荒波を経験してきた企業家の言葉には重みと深みがある。自分を慕う後進の経営者に世界を変える覚悟を問うているように感じた。

 そして、FSXならおしぼり産業に変革を起こし、新しい波を起こすと期待しながら、「藤波さんの陰口を誰かが言うようになったら、本物になった証です」と田中流の独特なエールを送った。



ガツガツしない ガッツのある人/ネットワークコミュニケーションズ 代表取締役 岡田直子 Naoko Okada 


ガツガツしない ガッツのある人/ネットワークコミュニケーションズ 代表取締役 岡田直子 Naoko Okada 


 15年前、藤波が藤波タオルサービス(現FSX)に入社したばかりの頃。当時から「ご縁を大事にする」と口癖のように言っていた藤波は、様々な交流の場に顔を出していた。その中の一つ、記者が集まる食事会に参加したのが岡田直子との出会いであった。

「謙虚で優しすぎる印象」と岡田は藤波の第一印象を振り返る。年下の岡田に対しても、何かを学ぼうとする謙虚で丁寧な姿勢は変わらない。「ちゃんと私をリスペクトしてくれている。年上の男性だと、妹みたいに上からものを言う人もいるけど、彼は全くそんな振る舞いがない。むしろ『ここはプロとしての意見を聞かせてほしい』と頼ってくれます」。

 岡田の経営するネットワークコミュニケーションズでは、クライアント企業の担当者を育成しながら広報部門を作っていく広報業務支援サービスを行う。「PRするときはその会社を知りたいのでしっかり社内に入り込んでいく」と岡田。FSXもそのクライアントの一つであった。中でも岡田にとって印象的だったのが17年に発売された「REION」の発表イベントだった。「まじめで誠実とは彼のこと」と岡田は言う。自分をかっこよく見せたいという気持ちではなく、「来てくださるお客様のために」一心で藤波はREIONのプレゼンを何度も練習していたという。

 そして迎えた当日、普段はメディアのみの発表会に、藤波たっての希望で社員も同席させた。FSXの社員も積極的に準備を行い、心温まる発表会になったと岡田は笑顔で振り返る。

「ガツガツしていないけど、ガッツはある。藤波さんのキャラクターが会社に浸透していて、社員の方々も社長としてリスペクトしている」。藤波を信じてついていくチーム体制が整っている会社であり、「彼がまず初めに動き、人に教えていく。しかるべき時は専門家の話を聞くという三本柱ができている」と岡田はFSXの強みを語る。「社員に対しても、『何が大事なのか。なんで変えるのか』といったコミュニケーションをとっていて、それを受け入れてくれる人がたくさんいる」。自分たちのペースで一歩一歩着実にサービスを向上させており、そこに向かっていく人間がしっかり集まっていると感じるという。

 おしぼりを中心に様々な挑戦を続けるFSXだが、「おしぼり会社」では思いもよらないようなことができるのは、「藤波さんがいろんな企業家と会って勉強して、自社で取り入れられることはないかと試行錯誤しているから」と岡田は考える。

「一言でいうと藤波マジックです。『ローマは一日にして成らず』と一緒で、『藤波さんは一日にして成らず』なんです。だから彼がいかに軸をもってやってきたかがよくわかります」 誰よりも謙虚で圧倒的な模索力と吸収力を持つ藤波の仕事に対する姿勢は「組織のトップは、こうあるべき」だと勉強になるという。

「これからもっと地位を得て、着実に有名になっていく方だと思いますが、誠実で謙虚な人柄はそのままでいて、お付き合いいただけるとありがたいです。私も実力をつけて成長できるように頑張ります」と藤波に熱いメッセージを送った。



アイデアに溢れ挑戦する経営者/upsetters architects  Director 岡部修三 Shuzo Okabe


アイデアに溢れ挑戦する経営者/upsetters architects  Director 岡部修三 Shuzo Okabe


 建築やインテリアなどの設計・デザインに留まらず、様々なブランドや事業の構築にも携わる建築設計事務所のupsetters architects。その主宰を務めるのが岡部修三だ。藤波との出会いは数年前。以前より知り合いであった藤波の妻から依頼を受け、当時働きやすいオフィスにリフォームを考えていた藤波に会うことになった。

 オフィスを改装するということは、働き方の変化など会社に変革を起こしたいということだ。そこで岡部はまず藤波から今後どうしていきたいのか率直な意見をヒアリングすることにした。すると、藤波が用意していたメモにはたくさんの具体的なアイデアが記されていた。「オフィスの改装に伴い、藤波さんや社員の方と話し、会社について理解していく中で、まずは色々な角度から会社を変えてブランドを作った方がいいと感じました。藤波さんの今持っているたくさんのアイデアを整理するだけでも会社が大きく変わると思いました」と岡部は言う。またその際、「『おしぼり屋として家業を継いで可能性を感じると同時に悔しい思いもした。そのことがとにかく原動力になっている。周りの人のおしぼりに対する見方を変えていきたい』と話す藤波さんの姿がとても印象的でした」と当時を振り返る。

 藤波は人を大切にする温かい人だという。「忘年会に参加したとき、会場全体が楽しそうでした。しかし、その雰囲気はその場だけで出るものではありません。全員とオープンに接する社風があるからこそ。忘年会を通して関係性を作りながら、同時に経営面では出来るだけ新しくありたい、更新したいという思いが強く、その両方を大事にしながら事業を行う人だと改めて感じました」。革新を起こしたいという経営者は多くいるが、藤波ほど人を大事にする人は少ない。 また、決断力や責任感を大切にしている。「何か問題が起きたとき、自分の問題だからと社内の担当の人に対処をさせない。藤波さんにはいろんな人を巻き込んでオープンにすることと自分で決めて覚悟をするというのが同居しています。きちんと周りの意見を聞くことと、自分の決めたことに関しては自分で責任をとることができる人」と藤波の経営者としての強みを分析する。

 FSXの強みは二つだ。一つ目はおしぼりの可能性を信じていること。産業であることだけでなく、おしぼりがおもてなしになり、癒しになり、日本人の習慣であることに対して可能性を信じている。二つ目は国立という場所に根差し、地域を大切にしながら事業を継続していることだ。この二つは地味ではあるが、継続がポイントである。「藤波さんは色々なことに興味を持って深め、展開しています。FSXの強みに藤波さんの行動力が合わさるとさらに面白いものになるでしょう」。藤波は勉強熱心であるため、先代へのリスペクトを持ちながらも、何か変えなければと考え続けている。「多くのことをインプットした上で考えられている。それが最終的にビジネスにつながっている」と岡部は言う。

 最後に「まだ出会って数年ですが、目標に一歩ずつ近づいていると感じています。しかし、藤波さんにはまだ夢がたくさんあり、藤波さんの描く未来がいつか自分たちも見てみたいものになっています。それは僕らの仕事にとって一番幸せなことです。おしぼりの文化が世界中に広がるところまで並走していきたいです」とメッセージを送った。



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