• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2020年10月27日

人生をかけて挑戦する有意義な事業/FUNDBOOK代表取締役CEO 畑野幸治 Koji Hatano

企業家倶楽部2020年12月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.45


いまや事業承継問題は我が国の大きな社会課題となっている。その一つの解決方法として、昨今、M&Aが注目を集めている。畑野幸治CEO率いるFUNDBOOKは「ハイブリッド型M&A」を武器に、スピード感を持ってこの課題解決に迫る。(文中敬称略)



企業家の才覚

 畑野が少年時代、当時、社会を揺るがした出来事の当事者であった。それは、山一證券の自主廃業である。畑野の父親は山一證券で幹部を務めていた。何不自由ない生活をしていた畑野の生活は一変した。その影響もあってか、畑野自身、高校1年から会社を作ると心に決めていた。大学時代に起業し、インターネット広告会社、テレビCMでおなじみのBuy Sell Technologiesを創業し、売却して現在に至っている。「1社目に作った会社が必ずしも自分としてベストの会社が作れるとは限らない。その会社を売却し資本を得て、自己資本比率の高い状態で次に行くという選択肢もあるのではないか」と自身の考えを述べる。

 畑野は①市場規模②市場の成長性③競合環境この3つの観点が事業を選ぶ3原則であると言う。その原則に照らし合わせたときに、人口減少が進む日本で、あらゆる産業が縮小していく中、圧倒的に実需が伸びているのがM&Aの市場であった。さらに、事業承継が社会問題化する中、喫緊の課題として急浮上した。

 そこに、参入障壁、難易度は高いが「人生をかけて挑戦する意義が大きい事業である」と畑野はこの事業で頂点を目指す覚悟を決めた。同社の掲げる「SUCCESS FOR ALL」というビジョンに「M&Aに関わる全ての人を成功に導きたい」という想いを込めていると同社のホームページにあるが、まさに畑野の想いの表れと言える。この想いには、少なからず、少年時代のあの経験が影響していたのではないだろうか。



ハイブリッド型M&A

 M&Aの仲介事業を行っているFUNDBOOKが創業したのは2017年。同社は創業わずか3年で成約件数90件、売上35億円にまで成長させている。この数字は、M&A仲介専業企業では業界4位の数字である。驚くべきスピードだ。

 従来のM&A仲介は、担当者と企業のオーナーなどが対面で話をして進めていく「対面型」と、Web上で案件のマッチングを中心に進め、成立まで行う「Web型」がある。同社の「ハイブリッド型M&A」は従来の手法を掛け合わせた新しい形というのが特徴である。対面型とWeb型の良いところだけを抽出することでユーザー満足度を高めている。

 M&A仲介には、高い専門性が求められる。通常のM&A仲介会社では、一人のアドバイザーが全てを担当し、成立まで持って行くが、同社では、専門性を考慮した6つの部門でそれぞれの専門に特化した「分業制」を敷くことで、より高い専門性とスピードの両立を図っている。

 また、マッチングにはプラットフォームを活用している。通常は、アドバイザーの経験や無難な買い手企業といった想定の範囲内の提案が多くなる。しかし、このプラットフォームのマッチングには先入観などは考慮されないため、斬新なマッチングが生まれている。「アドバイザー経験が長いスタッフが驚くようなマッチングをする」と畑野はこのプラットフォームに自信をにじませる。「日本には多くの企業があって、幅広く考えたほうが成立後の発展も望めると思う」と、畑野はM&A成立後のことまで念頭に入れている。また、プラットフォームを活用した場合、買い手企業が自らソーシングすることができる。事前の登録が必要とはなるが、プラットフォームを活用することで企業が能動的に売り手企業を探すことができる。現在、登録企業は4000社を超え、ニーズの高さを伺える。



会社の中心と捉える人材

 プラットフォームなどのテクノロジーが目立つ同社だが、一番大切なのは人であると畑野は強調する。5人でスタートした同社だが、この3年で200人を超える陣容となった。「未来人材には積極的に投資する」と言うように、今年度は、設立以来最多の51名の新卒採用を行った。今年から「ブートキャンプ」という導入研修を採用。この研修カリキュラムは新卒で入ったスタッフを1カ月間で、同社に所属するメンバーとして最低限学ばなければならないことを詰め込んだ内容となっている。しかし、突然の緊急事態宣言発出により、予定していた内容をすべてオンラインに切り替えてやり遂げた。

 また、イネーブルメントという人材開発部門を立ち上げ、成長へのステップを明確にすることで、何をどう頑張れば良いかを示してくれる。すべての取り組みの真ん中には「スピード」というキーワードがある。成長スピードが速くなれば、それだけ、スタッフの戦力化が進む。また、スタッフのモチベーションも上がり、双方にとってメリットがある。

 その他にも社内コミュニケーションを充実させるために、その活動に予算を大きく割いたり、資格手当を充実させたりと働きやすい環境も急速に整える。「まだまだ課題だらけです」と謙遜するが、明確な目標に向かって、スピード感を持って取り組んでいる様子がうかがえる。



急成長こそが最大の防御

 非常に順調に滑り出している同社。急激な成長にはそれ相応のリスクが伴うものである。スタッフの数が増えていくに従い、管理者に求められる能力は変わってくる。対応できないものは離職していく。上司が頻繁に変われば、その下で働くスタッフは不安にもなるであろう。さらに離職者を生んだ。

 そのリスクを感じながらも、「急成長させなければいけない」という畑野自身の強い意志がある。それは、今までの企業家としての経験がそうさせている。「いつより大きな資本が参入してくるか分からない」このリスクの方が事業上大きいと考える。それゆえ、畑野は多くの時間をリクルートに使い、チームの状態を把握し、適宜、適切な人材をヘッドハントする。これが事業を急速に進める上で、リスクヘッジを、経営者としてしっかりと取っている。

 今後の目標は、「まずは日本で業界トップを目指す。そして、海外進出を果たしたい」と明確な目標を掲げる。現時点での売上は営業活動で計上していると言っても過言ではない。さらに、今後、マーケティング活動を本格化させ、同社の強みであるプラットフォームをブラッシュアップし続け、成長速度のギアをもう一つ上げると意気込む。異次元の速さで成長を遂げる同社をしっかりとマークしたい。



コメントをシェア

骨太対談
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top