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2020年10月27日

台風に負けない「電線の地中化」を/和田昌親

企業家倶楽部2020年12月号 地球再発見 vol.29


「経験したことのない猛烈な台風」と聞くと、2019年9月9日に千葉市に上陸した台風15号を思い出す。最大瞬間風速57・5mを記録した暴風の被害がひどく、房総半島南部ではいまでも屋根にブルーシートを張ったままの家が目立つ。

 朝日新聞によると、南房総市では2割の宿泊施設がなお休業中だという。「何軒もの隣人が町を離れていった」という証言もある。

 台風被害は様々だが、長期にわたって、最も住民を苦しめたのは「停電」だった。千葉県だけで64万戸が停電、これが2週間以上続いた。

 主原因は2000本に及ぶ電信柱の倒壊だ。

 停電になると何がどうなるか。家庭用クーラーや冷凍庫・冷蔵庫が使えない。スーパーやコンビニはもろに影響を受ける。マンション住まいだと、トイレも水道も使えない。病院は発電機頼みだ。

 何より、昨年は千葉県の中継基地局が強風被害を受け、携帯やスマホが繋がらない事態に陥った。停電の長期化で、政府は「電源車」を送り込み、何とかしようとしたが、焼け石に水だった。

 15号襲来からちょうど1年経った20年9月7日、大型台風10号が九州・沖縄にやってきた。西岸をかすめ上陸はしなかったが、九州全域で一時70万戸が停電したという。

 今回は暴風が予想より弱目だったのか、電信柱が強かったのか、昨年の経験が生きたのか、停電は早目に復旧したようだ。それはそれで良かったが、こんなことをいつまでも繰り返すわけにはいかない。

 台風は避けられない自然現象だが、停電は電線を「地中化」することで、暴風被害を最小化できる。

 それと「電線地中化」は町の景観を美しく見せる効果がある。欧州先進国やアメリカの都市部を旅行した時、日本の風景と違ってどこかすっきりしていると感じることが多かった。赤茶色のレンガ屋根が一面に広がり、青い空とのコントラストが美しい。

 その風景の中には電信柱がなく、絵描きが喜びそうだ。電信柱や電線がないのは、地下に電線と通信設備が埋めてあるからだ。「電線地中化」が都市の美観を増すだけでなく、強風対策という隠れた効果があることを諸外国では余り知られていないだろう。

 ロンドンとパリ。この2都市の映像を観る機会は多いが、電信柱や電線はどこにもない。市内の「電線地中化率」はほぼ100%だという。国土の広いアメリカでは地方都市に行けば日本と同じように電信柱が並んでいるが、ニューヨーク都心部のマンハッタンにはもちろん電信柱はない。

 最近、小池東京都知事が「電線地中化」の必要性を強調している。単なる政治的パフォーマンスと言う人もいるが、筆者はそうは思わない。東京23区内の主要道路では電信柱が見当たらない。地震が起きた場合、地下に埋めた電線は地上の電信柱よりも強いと言われており、これに加えて台風対策になれば一石二鳥だ。

 国土交通省も「電線地中化」に取り組み始め、京都や金沢など歴史的遺産を持つ地方都市ではすでに地中化を実現しているところもある。地上の電信柱が少なくなれば、車の通行は楽になるし、歩行者も歩きやすい。

 日本全体で電線や通信設備を一気に地中化するには膨大なコストがかかる。だから、やれるところからでいい。とりわけ台風が頻繁に上陸しそうな九州、四国、近畿などを優先的に地中化する必要がありそうだ。

 新型コロナ対策として、キャンペーンで旅行需要を刺激したり、アベノマスクや持続化給付金を配るのも結構だが、その前に日本の構造改革に直結する分野に予算を使ってほしい。

 それは「台風に負けない電線の地中化」である。安倍政権を引き継いだ新首相の仕事はこれかもしれない。




和田昌親(わだ・まさみ)
日本経済新聞社客員東京外国語大学卒、1971年日本経済新聞社入社、サンパウロ、ロンドン、ニューヨーク駐在など国際報道を主に担当、常務取締役を務める。

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