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トピックス -企業家倶楽部

2021年03月01日

DXを駆使して世界展開を狙う

企業家倶楽部2021年3月号 フード業界特集 ダイニングイノベーション




【特集】ダイニングイノベーション DXを駆使して世界展開を狙う

ダイニングイノベーション創業者の西山知義を外食業界で知らない人はいないだろう。「牛角」を全国区に育てた手腕には定評がある。高級焼肉を大衆化し多くの人を喜ばせてきた。そして、今度は客単価1300 円の「一人焼肉業態」を開発、コロナ禍で他社が苦戦する中、注目を集めている。差別化のポイントはどこかと問うと、「ファストフードにDXを取り入れること」と明快だ。消費者のニーズを掴むことでは稀有な才能を持つ「食」のプロフェッショナル企業家に迫る。(文中敬称略)

焼肉のファストフード

 店のコンセプトは、ずばり焼肉の「ファストフード」。一人でも焼肉が食べたくなった時に気軽に来店し、周りの目を気にせずに好きな焼き方で楽しめるという訳だ。人気のカルビとハラミセット(200g)はご飯・スープ・キムチがついて1200円(税抜き)とお得感があり、普段使いができる様な価格設定にしてある。リーズナブルな価格なので、客は食べたい時に好みの部位、量、たれを選び、マイペースで焼肉を楽しめるというコンセプトが当たった。


 「一部には家族用に座席を用意している店舗もあります。各々がメニューの中から好きな部位を選び、足りなかったら追加で肉を注文しても、一人当たりの平均単価は1500円ほどです。手頃な価格で焼肉をお腹一杯食べてもらいたい」と西山は新業態に手応えを感じている。
 西山が率いるダイニングイノベーションは、フード業界にこれまでにない新規性を持ち込み、新しい業態を生み出すことを得意としている。これまでも高級な「焼肉」や「しゃぶしゃぶ」業態を安価に提供し、大衆化してきた実績は誰も異論のないところだろう。


 「一店舗のみを流行らせるのは難しいことではありません。何百、数千店舗の多店舗展開ができる大きなマーケットがあるところを狙います。新業態を開発し、さらにチェーン展開できるノウハウが私たちにはあります」と西山は同社の強さについて語る。


 ビジネスとして成功を収めるためには、まず消費者が求める大きなマーケットがあることが重要だ。高価な物や個性が立ちすぎても大きな需要は取り込めない。良質でしかも安価なサービスが幅広い支持を得られるという訳だ。


 「世界のフード業界のトップ10はすべてファストフードです。今はファストフードの新業態開発に注力しています」と西山は更なる新業態開発にも意欲的だ。


 「焼肉とハンバーガーの次は『チキン』で行きます。今、まさに準備をしているところです」と目を輝かせながら語る。


 「新業態を啓蒙するのは難しい。経営者の独りよがりでは上手くいきません。まずはマーケットがあるところで勝負すること」と西山はビジネスの要諦について語る。



DXを駆使する

 それでは多くの人が求める良質でリーズナブルなサービスを実現するにはどうすればいいのだろうか。そのヒントとなるのが、「DX」(デジタルトランスフォーメーション)である。


 「焼肉ライク」では、店内に入ると一人用に区分けされた座席に案内される。卓上にウォーターサーバとタッチパネルがあり、注文はセルフで行う。テーブルの引き出しに、割り箸と紙おしぼりが常備されてあり、肉は注文してから3分で席に届くなど、オペレーションが簡素化され無駄な動きがないように工夫されている。座席には一人一台の無煙ロースターが設置されていて、食べ終わったらセルフ式レジで支払いが完結する。平均的な滞在時間は25分と短く、1日で20回転するというから他の外食店が聞いたら驚きだろう。

 良質な肉を扱い原価率は高いまま、キャッシュレス化やタッチパネルで注文するなどDXを駆使することで、人件費などのコスト削減を実現している。さらに店内のオペレーションを磨くことで業務のスピードアップを図り客の回転率を上げる工夫がされている。


 DXでコストを下げた分、良質のものを安く提供することで客はコストパフォーマンスが高いと感じるのだ。この様に他社がまだ手掛けていないDXを実装することによってこれまでにない顧客満足度が高いサービスを実現しているところが同社の強みであるといえる。


DXを駆使する

時代を読む目線

 一人焼肉の代名詞である「一人一台の無煙ロースター」は、煙と臭いだけではなく、店内の空気を強力に吸い込み、約2分30秒で客席全体の空気が入れ替わる優れものだ。コロナ以前から採用されていたが、政府・行政がコロナ感染防止対策として、定期的な換気を促している今日では、その副次的な効果も安心材料となっていることだろう。


 「個食化」という社会背景を先取りし、今までにない新しい価値を創造し、一人焼肉業態を生み出した結果、店舗滞在中に人との接触機会がほとんどないというコンセプトが感染症が蔓延する時代と偶然にもマッチした。


 一人焼肉「焼肉ライク」の次に手掛けたのが、ハンバーガー業態である「ブルースターバーガー」である。スマホアプリで注文し、調理が終わるとスマホに知らせてくれる。後は店舗に受け取りに行き、セルフレジで会計を済ませる。キャッシュレス化時代を先読みしたシステムを他に先駆けて導入している。


 飲食店は午後8時までの時短営業という制約条件があり、ますますテイクアウトが出来るファストフードの需要は高まりつつある。


 「コロナ禍ではファストフードに集中する。ダイニングレストランはコロナの収束を確認したらまた展開したらいい。今は社会のニーズがあることに特化する」と西山は冷静に社会のニーズに対応する。この時代を的確に捉える「客観性」と「柔軟性」が同社の成長の源泉と言えよう。


時代を読む目線

特集 トップインタビュー 今までにない新しい価値を加えた新業態を生む/ダイニングイノベーション創業者 西山知義


特集 トップインタビュー 今までにない新しい価値を加えた新業態を生む/ダイニングイノベーション創業者 西山知義

一人用新業態を開発

問 コロナ禍で二度目の緊急事態宣言が発令され飲食店の営業時間が午後8時までに短縮されるなど、外食業界に厳しい逆風が吹いていますが、最近の業界の動向はどのようになっているのでしょうか。

西山 全体的に売上げの減少など悪い影響が出ています。特に二回目の緊急事態宣言中の今はどこもコロナ以前の1/3といった感じではないでしょうか。特にエリアでいえば都心、オフィス街や繁華街、宴会のある居酒屋業態が最も大きな影響を受けています。それに比べて、テイクアウトのあるファストフードはそれほど影響を受けていないといった印象を受けます。

問 外食業界が苦戦している中、御社の一人焼肉業態の「焼肉ライク」はテレビ番組などメディアで頻繁に取り上げられ、店内を覗くといつもお客が入っているように感じます。実際にコロナの影響はありましたか。

西山 お店の宣伝になればと思い私もテレビなどに出演しています。お陰様でメディアに紹介されると店舗にお客様が足を運んでくれているようです。売上げの方は半減ということはなく、今は2 割減の8 割くらいです。

問 他が苦戦する中、「焼肉ライク」が健闘している理由は何でしょうか。

西山 他にはない「食べやすさ」ではないでしょうか。一人でも焼肉を食べたいと思ったときに気軽に食べられる料金と店の作りになっています。焼肉は白米のご飯と食べると美味しいですよね。一般的に焼肉はお酒と一緒に提供される店舗が多く、最初から白米を出している店が少ないように思います。焼肉ライクの一人当たりの平均客単価は1300円です。店舗での滞在時間は25分ほどで、一日に20回転しています。1店舗で月商1300万から1600万円の売上げになっています。

 コロナ感染の分析が進み、クラスターが発生したのは大勢が密になり、飛沫感染のリスクが高い「宴会」なんです。ところが、「宴会」イコール「居酒屋」になり、「居酒屋」イコール「お酒を出す店」、「夜の営業」が全てダメという誤解を与えてしまった。焼肉ライクは一人用に席も作られ換気もされており宴会とは別物です。しかし、居酒屋業態は経営が厳しいと思います。

問 西山さんは「牛角」を創業し、当時はまだ高級だった焼肉業態を一人当たりの平均客単価3000円に下げることで大衆化し、全国展開を果たしました。さらに2018年には、新業態の「焼肉ライク」を開発しました。まだ、コロナの感染拡大前でしたが、一人用焼肉に目を付けた理由は何だったのでしょうか。

西山 「個食化」が進んでおり、単身世帯が増えているという背景がありました。そして、最近の「肉ブーム」もありました。焼肉はどうしても単価が高いので、価格を下げるには回転を速くするしかありません。そこで考え出したのが、「一人焼肉業態」でした。郊外には、家族用の店舗もあります。それぞれが定食を頼んで、足りなかったら追加の肉を注文してもらい、それでも一人当たり1500円ほどでお腹一杯になります。

 安くてお腹一杯食べたい人と、少し贅沢したい人、いろんな種類の肉を頼みたい人といるので、それに適したメニュー開発をしています。現在、国内で50店舗になりました。



ファストフードに挑戦

問 スマホアプリで注文し、非接触で現金の受け渡しのない完全キャッシュレス化の新業態ハンバーガーストアを2020年11月にオープンしましたね。なぜ、ハンバーガーに目を付けたのでしょうか。

西山 中目黒に新業態のハンバーガーストア「ブルースターバーガー」1店舗目を出しました。フード業界では世界のトップ10はファストフードなので、以前からファストフード、特にハンバーガーに興味がありました。何しろ店舗数も多く、マーケットが大きいですからね。

 中国で注文と支払いはスマホアプリで完結し、テイクアウトを主体にしたコーヒーチェン「ラッキンコーヒー」が急成長しているのを見て、将来のファストフードの形だろうと思いました。このビジネスモデルをヒントにして、ハンバーガーでやろうと決めました。

問 西山さんのおっしゃる通り中国のデジタル化は進んでいますね。以前、アリババが出資した生鮮食品を扱うスーパーマーケット「フーマーフレッシュ」を視察したことがありますが、宅配用バッグが天井を流れていたり、キャッシュレス化が進んでいて、日本の何年も先を行っていると感じました。

西山 私も中国で視察ツアーに参加しました。フーマーフレッシュも観に行きました。屋台の数百円の支払いでも、「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」の2つに集約されているので早いですよね。アリババなど中国でいろんな形態を視察し、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進んでいることを知りました。

 ファストフードを展開するのに「DX」を持ち込んだら、コストが安くなった分、お客様に安くて良いものを提供できると考え、「ブルースターバーガー」を始めました。ですので、非接触のキャッシュレス化を導入したことがたまたまコロナのタイミングと重なり注目されたのでしょう。

問 1000円を超える高級ハンバーガーの流行がありましたが、その路線にはいきませんでしたね。高品質のものを安くというのが御社の強みだと思いますが、新業態である「ブルースターバーガー」の戦略と特徴を教えてください。

西山 高級ハンバーガーの価格帯はマーケットが取れません。何故かというと単価が低くないと多くの人に支持されないからです。そこで、私たちは高級なハンバーガーのサイズを小さくして安くしました。売れ筋は「ブルースターチーズバーガー」で、ポテトとレモネードドリンクがセットで590円です。チーズバーガー単品で290円。価格帯はマクドナルドと同じに設定し、さらに肉は生のビーフ100%を使っています。おっしゃる通りに高品質のものを安く提供するという戦略です。

 「ダイニングイノベーション」と社名にもある通り、常に今までにない新しい価値を加えた新業態を生み出して展開しています。


ファストフードに挑戦

事業展開の要諦

問 西山さんは、1990年代に焼肉チェーン「牛角」をはじめ、しゃぶしゃぶの「温野菜」、居酒屋の「土間土間」など、数々の外食ブランドを立ち上げ、一気に多店舗展開を成功させてきました。短期間で事業を軌道に乗せるコツがあるのでしょうか。

西山 飲食店は人気店を1店舗作ることはそんなに難しいことではありません。何百、千店舗とチェーン展開するのは大変ですが、そこを狙っています。裏を返せば、他では出来ない多店舗展開が出来ることが我々の強みと言えます。 

 もっとも重要なことは、「マーケット」があるということです。マーケットがないところに啓蒙するというのでは不可能です。まず、マーケットがあって、その中で差別化ができることだと思います。


 そこで今、私が目を付けたのが「DX」です。他社と差別化が図れる武器になるということです。DXがなかったら、マクドナルドという王者がいるマーケットでやらなかったと思います。


 そこにDXが出てきました。大きなマーケットがあり、DXを導入することでコストを下げ、安くて良質なものをお客様に提供できるということに関心があります。

問 今後、ハンバーガー業態の「ブルースターバーガー」も多店舗展開をされていくのですね。

西山 現在は中目黒店でお客様からの不満点の洗い出しをしています。このままで多店舗展開はしません。お持ち帰り専門店なので、イートインスペースがないとかまだ予約が出来ないなど、「食べたいときに食べられない」という意見を頂いています。オープン当初は4時間待ちというのもありました。


 ファストフードなのに「食べたいときに食べられない」のは改善しなくてはいけません。宅配にも対応します。アプリから直さないといけません。そういった課題を今1つひとつ解決していっています。4月にはすべてをクリアして、あるべき姿にしたいと動いています。


 フランチャイズで待っている方もいますので、1年間で100店舗ほどは出店していきたいと思います。その時には数字をしっかりとみて、客観的に経営をすることを心掛けています。自分の意見が絶対ではないので、役員とも議論し、様々な視点から物事を観て決めていきます。それにこれまで失敗も多くしてきましたからね。自分のダメなところを知っているというのも大事です。何よりもお客様がどう思うかが重要です。



業態開発と展開力

問 コロナの影響があり、外食産業は不況と叫ばれる中、連日のように「焼肉ライク」や「ブルースターバーガー」がメディアで取り上げられています。西山さんが考える御社の強みとは何でしょうか。

西山 業態開発力と展開力の両方を持っていることです。業態開発とは先述したように良質な物を安く提供する多店舗展開に向いた新業態開発ノウハウであり、展開力とは、FC(フランチャイズ)を含めた多店舗展開をするノウハウがあります。他にはない特徴だと思います。


 これまでに牛角を含め1200店舗をマネージメントしてきました。業態によって、どういう立地に出店できるか、具体的にどの駅に出せるか選定し、300店舗出せるなら1店舗売上げ1億円で300億円のビジネスになるなと事業計画を立てます。


 マクドナルドは国内に2900店舗あり、その売上げの8割は郊外店です。今度は弊社もドライブスルーを含め、ロードサイドにも進出していかなければなりません。その時に、ブルースターバーガーは生の肉を焼き、安く良質な物を提供していく。マクドナルドに寄って行っては勝てません。メニューアイテムは増やさず、味が圧倒的に違うといわれるように差別化が強く打ち出せるようにしていきます。

問 人口の多い中国やインドの飲食事情を見ると、レストランに食べに行くのではなく、デリバリーが発達しています。現在の日本でもリモートワークが普及し、宅配サービスを利用する人も多くなりました。西山さんが今後注目するサービスとは何でしょうか。

西山 これからはテイクアウトやデリバリーの需要は大きいと思います。つまりファストフードですね。今回のコロナから学んだことですが、コロナ禍でもコロナがなくても強い業態を手掛けることです。


 コロナが収束したら、その時にはもともと得意なダイニング業態をすればいいと思います。外的環境が変わってしまったのだから、コロナが収束したらと見越してする必要はありません。先のことは誰にも分かりませんから、コロナが収束することを確認してからでも遅くはありません。


 私はレストラン業態をしたいのではなく、食を通してお客様が喜ぶことをしたいだけなのです。

問 焼肉とハンバーガーの次も考えているのでしょうか。

西山 今、チキン業態も準備しています。マーケットの大きいファストフードの中で、フライドチキンを選びました。パンで挟んでチキンバーガーで行こうと思います。これもDXを使って安く提供します。DXもあと3年もしたら当たり前になるでしょうが、今はまだ他が出遅れているので、ここはチャンスだと考えています。 既存のチェーン店は急に現金支払いを止めることが出来ないと思います。レジを外すなど店舗からいじらないといけなくなります。


 しかし、DXを導入したシステムの方が合理的だと思います。今、音楽を買う時もCDを買いませんよね。ネットでダウンロードします。私は過去の成功体験に執着しません。それよりもお客様に何を提供できるのか、そこに素直でいたいと考えています。


 常に目に入ったことは分解して、どうして流行るのか、流行らないのか考えるのが好きなのですね。それが私の仕事です。



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