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2015年06月25日

選挙権年齢引き下げの前にすべきこと

企業家倶楽部デスク 相澤英祐


 19日、選挙権の年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が公布された。施行日は公布より1年後のため、来夏の参議院選挙には適用される。

   今回の改正で新たに選挙権を得る18歳、19歳は約240万人で、全有権者の2%にあたる。「選挙に行かない若者」が増えていることもあろうが、多数決を意思決定の主軸とする民主主義国家において、高齢化が進めば若者よりも高齢者に優しい社会となるのは自明の理だろう。今回の改正は、より多くの若年層を有権者として取り込むことで、その「課題」の解決を狙ったものと推察できる。

   だが、「18歳以上」に選挙権を与えるべきか否かを議論する以前の問題として、そもそもこの施策では、高齢化が社会の変革や新陳代謝を滞らせる「民主主義のジレンマ」は克服できないのではないだろうか。

   衆議院議員選挙一つ見ても分かる通り、現行の制度では国家の運営を担うべき人間が地域と密接に結び付いている。本来ならば国全体のことを考えて行動すべき国会議員が、地域の利益を謳って当選するという筋の通らない現象が各地で起きているのである。都道府県については知事、市町村については首長が責任を持って思案すべき部分だが、地域益を代弁する議員が47都道府県から国会に集って政治を行っている。これが現代日本における民主主義のシステムなのだ。

   鶏が先か卵が先かという話だが、このシステムは国民が「己自身の利益をこそ考えて動く」ことを前提として成立している。衆議院議員選挙は「国家の利益を考えた上での意思表示」ではなく「自分の境遇を改善するための手段」なのである。

   あらゆる政策の功罪は歴史が判断するため、ここで何が国家の利益かを議論するつもりはない。しかし、少なくともマインドとして「長期的な国家の利益」と「短期的な自己の利益」、どちらを考えて投票を行うかは重要な論点である。

   地方・国会各議員の役割を明確にし、不合理を正すためには、国会議員選挙の際には有権者が自ら国家全体のことを考え、自分のビジョンに合致した候補者に票を入れるべきだろう。

   突拍子も無くて恐縮だが、国会議員選挙は立候補者の選挙区を毎回シャッフルしてランダムに決めるなど、地域との結び付きをあえて取り払うようなシステムにしてはどうか。人間の意識などそう安々と変わりはしないので、国政選挙で国家全体のことを考えてもらうためには、そう考えざるを得ない仕組みに落としこむしかない。

   自分の境遇改善と公共益が一致すれば話は早い。市長選挙や知事選挙ならば身近な問題に焦点が当たることも多く、利益が一致しやすいだろう。だが、仮にそうは行かなかったとしても長期的な視野で公共益を優先することのできる人間がどれだけいるかが、その国の行く末を左右する。

   自分の現時点での利益ならば、誰もが常に考えている。しかし、大局を俯瞰して国家のあるべき姿を考える頭脳と、さらにそれを個人の利益より優先させられる高邁な精神を併せ持つ国民がいて、初めて筋の通った政治が実現する。マックス・ウェーバーの「一国の政治の質はその国の民度の域を出ない」という言葉は言い得て妙である。

   誰もがその選挙の意義を理解し、それを踏まえて投票に向かう。しからば、若者が未来へ羽ばたきやすい政策を支持する高齢者も自ずと出てくるだろうし、安易なバラマキといったポピュリズム的政策も回避でき、社会の変化に適応して国家が次に進むべき道が照らし出されよう。



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