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トピックス -新商品

2015年08月14日

志定まらぬ者こそ広く受容せよ

企業家倶楽部デスク 相澤英祐


   最近、「SNS疲れ」という言葉をよく耳にする。定義としては、自分のSNSへの投稿に対する反応や友人の発言を過剰に気にすることで、身体的・精神的に疲労してしまうことらしい。

   そこまで深刻な悩みの種ではなくとも、SNS自体に飽きてしまっている方は多かろう。フェイスブックは新たなビジネスモデルを構築すべく他業種への投資を進めているし、ツイッターも業績悪化につきCEOが交代するなど騒がしい。ミクシィなど、ゲーム事業で業績は盛り返していると聞くが、SNSとして使っている友人はもはや見つけるのが難しい。

   ただそれでも、殊にツイッターは日本人に合っているようである。昨年ツイッターに投稿された言語の比率は英語34%、日本語16%、スペイン語12%だったという。英語に関しては、世界人口70億人中25%にあたる約17.5億人が使用している言語だからある程度は納得できる。しかし、世界人口の2%にも満たない約1億3000万人の日本人が全投稿の16%を占めているという事実には驚きを隠せない。

   中国ではツイッターが制限されているし、そもそもスマートデバイスが普及していない地域もあるなど、日本語の投稿の割合が多くを占める要素は多々あるが、それにしてもツイッターで情報発信している日本人は未だに多くいるようだ。

   原因の一つは、ツイッターの匿名性の高さが挙げられる。本名や顔を隠しているユーザーの割合は、日本で75%、一方アメリカでは35%らしい。この割合の差も興味深いが、むしろ日本でも25%のユーザーは本名を出しているというデータの方がにわかには信じがたいほど、日本人は匿名性を求める傾向が強いように思う。

   日本人には本音と建前があり、場の雰囲気によっては思っていることを直接表明できない国民性である。上司への愚痴、密かなる主張・・・そうしたものを自分の中に留めておけない人間のはけ口を、ツイッターが担っているのは間違いあるまい。

   しかし、ツイッターが日本人に合っているのは、そうしたネガティブな理由ばかりではないだろう。

   ツイッターは俳句と似ている。こう言うと違和感を覚えるだろうか。片や現代のIT技術を駆使したSNS、片や日本の伝統文芸。しかし、ツイッターは140字、俳句は17字の中に想いや情景を押し込まねばならないことを思い出して欲しい。その本質は、制限された少ない文字数の中でいかに表現を行うかである。

   日本人はこの芸当が昔から得意なのだろう。これは、アルファベットが表音文字なのに対し、漢字が表意文字であることが大きい。例えば、英語で「Lightning」と書くと9文字になる言語が、日本語だと「雷」の1文字で済む。

   とはいえ、やはりここのところSNSに対して若干風当たりが強くなっている印象を受ける。この種のサービスが登場してまだ10年足らず。得てして新しく勃興してきたものは批判に晒されがちである。

   現代でこそ教養の類に位置付けられているような小説も、明治期には読んでいると「軟弱だ」と言って馬鹿にされたものらしい。例えば150年前に書かれたディケンズ『二都物語』など、今では名作とされているが、元は大衆小説だ。要は、時の洗練を受けてなお生き残ってきたことが、その作品を権威付ける。そう考えると、アニメや漫画も100年後には古典としてもてはやされている可能性は決して否めない。

   ゲーム、アニメ、漫画・・・かなり日本文化として浸透してきたとはいえ、これらに対してあまり良い顔をしない方もまだ多いと思う。しかし、それらが悪影響か否かは、それを受容した各人の人生を通してしか分からない。古代エジプトのヒエログリフにも「最近の若い者は・・・」という記述があるくらいだから、苦言を呈すること自体が目的となっている方もいることだろう。

   SNSもゲームも漫画も、全て受容の場だ。かくいう筆者も、大学では歴史学を専攻し、その話題が取材などで生きることは少なくないが、元々はゲームから興味を持った時代・地域もある。最近では経営者と話をしていても、共通言語として漫画が話題に上ることはしばしばだ。

   もちろん、漫画やゲームばかり受容するのはいただけない。しかし、それはあくまで視野が狭まってしまうが故である。吉田松陰は「志定まれば、気盛んなり」と言っているが、反対に未だ志が定まっていない若者は、教養書から漫画まで様々なところにアンテナを張っておくのも悪いことではあるまい。



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