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2015年09月02日

ロボットに心は必要か

企業家倶楽部デスク 相澤英祐


 ロボットを描いた作品は、『A.I.』など人間との友情を描いたものから、『マトリックス』のように人間とは敵対概念で語られるものまで様々だ。日本では『鉄腕アトム』を知らない方は稀だろうし、かく言う私も幼少期より『ドラえもん』の大ファンで通ってきた。

   日本はこれまでも「ロボット大国」と位置付けられており、工業用ロボットに関しては世界一の技術力を誇っていると称されることも少なくない。人口減少と少子高齢化により、労働力の不足が深刻になると予測される中、ソフトバンク孫正義社長が「足りない労働力はロボットで補えば良い」と説くのも頷ける。

   しかし、それはあくまでロボットが単なる機械に留まった場合の話であろう。孫社長は、自社開発のロボット「ペッパー」に心を宿すという。それは確かに、ロボットが人の持つ優しさや思いやりを得ることに他ならないが、同時に怒りや憎しみ、妬みを感じるようになることでもある。

   すなわち、彼らは「アトム」や「ドラえもん」のように人間に寄り添う友人となりうるが、一方で自分たちばかり働かされることに不満を抱く可能性も否めない。貴族vs奴隷、領主vs農民、資本家vs労働者。いつの時代にも労働争議はある。ロボットが感情を持つならば、人間vsロボットという労使構造が出来上がらない保証はどこにも無い。「歴史は繰り返す」とはよく言ったものだ。

   無論、心を宿すか否かについて、何らかの住み分けはすることになるだろう。生活者との対話を目的としたロボットと、工場で生産などを司る機械ではわけが違う。しかし、それこそSFの世界だが、感情を持ったロボットがそうでないロボットの待遇改善を訴えるなどという事案も発生するかもしれない。孫社長は「ロボットは24時間働ける。人を雇って8時間働いてもらうのと比べ、3倍の生産性だ」と楽観的だが、物事はそう単純ではなかろう。

   もちろん「アトム」や「ドラえもん」がいる世界にはロマンがあると思うが、友情や愛といった感情は人間にも制御・支配が不可能な領域であり、だからこそ人生も面白くなるというもの。その未解明の代物をロボットに与えてしまうことに、一抹の不安を感じるのは私だけではないだろう。



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