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2016年01月22日

オリンピックは日本に何をもたらすのか

企業家ネットワーク記者 辻村香澄


「TOKYO!」

   2013年9月、2020年の夏季オリンピックが日本で開かれると決まった。初めて東京でオリンピックが開かれたのは1964年。夏季オリンピックが日本で開催されるのはそれ以来実に56年ぶり。このニュースで国中が歓喜に包まれたのは記憶に新しい。しかし、その招致の興奮が冷めはじめた今、オリンピックに関連する話題で耳に入ってくることと言えば、エンブレムの盗作問題や、大幅な予算オーバーによる新国立競技場のデザイン白紙化など、決して明るい話題ばかりではない。世界中から人が集まるイベントということで、テロなどの危険性も増すだろう。2020年を4年後に控え、課題は山積している。

   オリンピックとは、平和の祭典だ。しかしその実態は、様々な利権が絡み合った国家戦略の場でもある。確かにオリンピック効果で日本を訪れる外国人観光客の数は増え、インバウンド消費の増加も期待される。しかし、オリンピックがもたらすのはそうした恩恵だけではない。その裏には、莫大な費用を投じた新施設の建築や全国各地でのインフラ整備などが控えている。

   2013年時点で予定されていた新国立競技場の総工費は1300億円。しかし蓋を開けてみれば、採用されたデザインの見積りは想定の倍以上する3000億円に跳ね上がった。その理由として、耐震性、資材や労務費の高騰、消費増税、競技場の特殊性などが挙げられたが、なぜデザインを採用した時点でそういった観点を踏まえた十分な論議がなされなかったのか疑問が残る。大幅な予算オーバーが起きているのは新国立競技場に限った話ではない。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は、オリンピックの総経費が2兆円を超す可能性が出てきたとコメント。当初予算の3倍近い金額である。確かに国の威信をかけて立派な建物を作れば、その一瞬は世界から賞賛されるかもしれない。しかし、そうして作られた施設が、高額な維持費ばかり必要として、その後活用されないという事態が世界中で既に起きているのを無視することは出来ない。

   64年には、なんと国の一般会計予算の約3割を占める1兆円がオリンピック開催のために充てられた。2014年度の一般会計予算は約96兆円であるから、現在に換算して約30兆円に相当する資金が1回のオリンピックに投じられたことになる。しかし、1兆円の内訳を見ると、施設建設費は予算の3%ほどにすぎず、残りのほとんどは、首都高整備や鉄道建設などの周辺事業費に使われている。これらのインフラは、オリンピック後も日本の発展の支えとなってきた。こうして見ると、2020年のオリンピック関連予算は対国の一般会計予算で見れば減ってはいるものの、新施設建設費などに割く費用は明らかに過剰に思える。そして、今後どこまで膨れ上がるのか不安が残る。

   こうした問題が出てくるたびに、国はオリンピックの真の目的を見失っているように見える。オリンピックは国家の技術や力を誇示する場では決して無いはずだ。主役はアスリートたちで、彼らはこの世界一を争う大会に並々ならぬ想いをかけている。それに応えるような祭典になることを切に願う。



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