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2016年06月30日

中華帝国時代の再来はなるか

企業家倶楽部デスク 相澤英祐


 現地時刻23日、イギリスでEU(ヨーロッパ連合)離脱の是非を問う国民投票が行われた。結果、離脱支持が51.9%を獲得して勝利。同国は今後2年をかけてEUから脱退する運びとなった。これにより、当然EU諸国との間の関税は復活。イギリスに子会社や工場を置くことで、同国を対ヨーロッパ貿易の前哨基地にしようと画策していた企業は当てが外れた格好だ。

   この影響でヨーロッパ経済が減速するのではないかとの目算から、ポンド、ユーロの価値が下がり、相対的に安全とみなされた円が高くなっているのはご承知の通り。日本時間24日にイギリスのEU離脱が明らかとなった際には、1ドル99円台へと大きく円高ドル安に振れただけでなく、ポンドに関しても1ポンド160円から130円台前半へと一気に価格が急落した。

   円高が進む中で、共に価値を高めている通貨が中国元だ。円と同じく相対的に評価が上がり、買われているということだが、ここのところ経済の減速で価値が下落していた中国元にとって、これは朗報らしい。

   イギリス・ポンドの価値が急落した今、中国にとって同国は「買い」だ。イギリスの企業も不動産も、中国資本の傘下に収められる可能性は大いにある。イギリスの名門ゴルフ倶楽部「ウェントワース・ゴルフクラブ」を中国系企業が買収したのはつい2年前の話だが、今後はこうした事例がさらに増加するだろう。

   そもそも、イギリス自身が中国の経済力に着目し、近年同国からの投資を求めてきたという背景もある。イギリスは、中国が主導しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)にもG7(先進7カ国)としては初めて参加を表明。英中の「蜜月関係」と報道されたが、果たして互いの心の内はどうだろうか。

   イギリスと密接に結び付く一方、中国は他のヨーロッパ諸国にもすり寄っている。習近平国家主席は今月17~24日にかけてセルビア、ポーランド、ウズベキスタンを訪問。4月には地中海海運の要衝、ギリシャ最大を誇るピレウス港を中国企業が買収するなど、政治・経済面で西欧との摩擦が広がる中東欧諸国にもじわじわ触手を伸ばしている。

   中東欧と言えば、旧社会主義国が多い。イギリスは今回のEU離脱によって移民の受け入れを拒絶する流れとなるため、これら中東欧諸国が頼りがいの無くなったイギリスではなく、歩み寄ってきた中国と手を結ぶのは不自然な話ではない。

   中国は一党独裁の共産国であり、様々な面で未熟とする向きもあるが、今や世界において無視できない存在であることは間違いない。今月20日には、中国の国産スーパーコンピュータ「神威・太湖之光」が計算処理能力において世界最速を記録した。ちなみに、5年前に首位を勝ち取った日本の「京」は現在5位と、中国とアメリカの後塵を拝している。

   だが、考えれば、中国はイギリスとのアヘン戦争が行われた170年ほど前まで、世界のGDPの3分の1を占めていた超大国である。高校世界史で習った世界四大文明の一つ「黄河文明」に始まり、火薬、製紙法、羅針盤、印刷術など数々の発明は中国発祥と言われる。彼の国からしてみれば、20世紀こそ異常事態であり、屈辱の時代であったはずなのだ。

   太陽の沈まぬ大英帝国を作り上げ、19世紀には世界の覇権を握ったイギリス。だが、今回のEU離脱が古き良き「光栄ある孤立」となるかは疑問だ。かたや、豊富な人口とうなぎ上りの経済力を武器に、国際政治の中で発言力を高める中国。同国衰退の元凶とも言われるアヘン戦争の「借り」を返し、中華帝国「復活」への道を辿るのか。



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