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2017年07月13日

モスル解放の裏で拡散するIS

企業家倶楽部デスク 相澤英祐


   イラクのハイダル・アバディ首相は10日、過激派組織「イスラム国(以下IS)」からのモスル奪還を宣言した。モスルはイラク第2の都市で経済の拠点。これによってISの力が大幅に削がれるのは明白で、彼らと戦闘を繰り広げてきたイラク政府軍・民兵組織・米国主導の有志連合にとっては大きな勝利と言える。

   ISは2014年6月にモスルを制圧し、国家樹立を宣言。武力を背景とした略奪によって勢力を拡大し、イラクとシリアをまたぐ領土を実質的な支配下に置いてきた。思想実現の手段として局地的なテロに訴える過激派集団が多い中、ISは領域国家の体を為したことから世界に衝撃を与えたが、その勢いにも陰りが見えてきた形だ。

   だが、ISは未だにイラクとシリアにまたがる地域で活動している。その領域面積は3万6000平方キロメートルと、九州並みの広さだ。確かに、大きな経済基盤を失ったことで、今後彼らは領域的には弱体化していくかもしれない。しかし、仮に支配領域が無くなったとしても、ISが「消滅」したと認識するのは早計だ。

   むしろ、拠り所の無くなった「元IS」の戦闘員たちが世界各地に分散し、それぞれの土地でテロリスト養成に携わる可能性も否めない。資金源が限定されることから、大規模な武器の調達などは制限されるかもしれないが、自爆すら厭わない彼らのテロは脅威だ。

   ISが関わったとされるテロは当初、トルコ、エジプト、チュニジア、レバノンといった周辺諸国や、フランス、ベルギーなどヨーロッパに散見されたが、インドネシア、バングラデシュのようなアジア諸国にも広がりを見せている。フィリピンでは先月、ISを支持する現地の武装勢力が南部ミンダナオ島の都市マラウィを占拠し、現在も20万人いた住民の大半が避難生活を余儀なくされている。

   こうした事態に際して、日本も対岸の火事と静観しているわけにはいかない。確かに、島国であり、イスラム教に対する馴染みも薄く、ほぼ単一民族国家であるため、日本ではイスラム過激派によるテロは比較的起きにくいとされている。

   しかし今後、海外からの訪日観光客4000万人を目標に掲げる中で、空港や港湾といった水際でテロリストを食い止めるセキュリティ対策が求められるだろう。人の顔だけでなく、歩き方や影の様相から人物を特定する技術など、実用化が進んでいるものも多い。

   一方、ISに同調する人間が国内から出て来ない保証は無い。「日本人に限ってそのような思想に染まることなどあり得ない」といった断定は危険だ。こちらへの対策としては、地域コミュニティの緊密化を図るなど、「お隣さんが分かる」街づくりの推進が挙げられる。

   テロの恐怖は至る所にある。今回のモスル解放は、局地的には有意義な勝利だが、テロとの戦いにおいては通過点に過ぎない。



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