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トピックス -スタートアップベンチャー

2012年11月27日

ユーザー参加型の学校「スクー」 ハチロク世代が一丸となリ、サイト一新!

■生徒数2万5000人、ウェブに誕生した学校

「ユニークとは何か?」
 カヤックCEOの柳澤大輔が、受講生へそう投げかける。柳澤が授業を開始したのは平日20時30分。授業は僅か30分だが、受講生は2400名を超えた。年齢層も10代〜70代と幅広い。

 運営するユーザー参加型の学校「schoo WEB-campus(以下、スクー)」は、ネットを通じて毎週1回、原宿のUSTREAMスタジオから授業を生放送している。受講生はチャットへもリアルタイムで参加でき、用語などの疑問点はその場で解決できる。

 過去の講師陣はLiverty代表の家入一真、nanapi社長の古川健介、俳優の小橋賢児、ブロガーのイケダハヤト、ブックコーディネーターの内沼晋太郎、電動バイクテラモーターズ社長の徳重徹ら個性豊かだ。サービス開始は2012年1月だが、過去の授業数は40を超え、会員数は9月末時点で2万5000人を突破した。

 スクーのコンセプトは「1つのことを皆で考える」。授業後に「リアクションレポート」というサービスを利用することで、フェイスブックの実名性を活かし、「授業で感じたこと・学んだこと」をユーザー同志で共有できる。スクー社長の森健志郎(写真下)はこう話す。


■生徒数2万5000人、ウェブに誕生した学校


「授業が終わって先生が退室した後、休み時間に友達同士で色々と語り合うと思います。様々な話題の中で、刺激的な議論へ発展することもあるでしょう。リアクションレポートが提供するのは、正にその感覚です」

 実に、授業参加者の30%がリアクションレポートに参加する。前述の柳澤は授業中、ユニークなモノが生まれる風土について触れたため、リアクションレポートでの議論は「ユニークの構成要素」へと発展した。

「ユニークって、面白いことが重要なのかな?」
「いや、奇抜さの方が大事じゃない??」
「そもそも、面白くて奇抜であれば、ユニークと呼べるの???」

 この日のリアクションレポートへの参加者は約700名、議論は数日間続いた。どういう化学反応が起きるかは、誰も予想がつかない。

 現在、教育系動画サービスや電子書籍サービスが注目を集めているが、森は「多くのサービスがオンラインの良さを活かしきれていない。我々は授業動画閲覧サイトではありません。学ぶことを軸に、コミュニケーションを楽しむ場所を提供したいと思っている。知識をストックするだけではなく、双方向のコミュニケーションをしながら、リアルタイムに上書きしていく感覚が重要だ」と語る。

 スクーでは「授業」というメディアに、「授業後の休み時間」というCGM(インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディア)が掛け合わさっていく。インターネット学習においては、eラーニングがその中心的存在として期待されていたが、まだ普及率は低い。現在でも、2000億円ほどの市場規模とする発表もある。

 一方、「学び」という領域において大きな役割を担うのは、昔から変わらない学習スタイル「授業」や「読書」だ。スクーは、この従来の「学び」に「ソーシャル」を掛け算している。






■1986年生まれの4人チーム

スクーはサイトを一新するため、今夏はサービス提供を一時休止していた。そして10月10日、満を持してのリニューアルオープンとなる。

 改善点の1つ目は、録画授業への対応である。「擬似同期」を生み出すことで、通常の録画配信とは異なる「皆で学ぶ感覚の演出」にこだわった。放送中に書き込みが行われたチャットの再現や講師への事前質問機能を備えることで、リアクションレポートが継続的に盛り上がるようにも工夫した。

 2つ目は、マルチデバイスへの対応である。以前はPCのみでのサービス提供だったが、iPhoneやアンドロイドなどのスマホ・タブレット端末での視聴を可能とする。(一部機能は2013年1月までに対応)

 3つ目は、「ビジネス学部」への再編成である。マネジメント・マーケティング・最先端 ITの現状など、あらゆるビジネスシーンに役立つ授業を中心に学部授業を再構成した。

 この時期でのリニューアルオープンへ踏み切った理由については、スクーの仲間が増えたことが大きい。以前、フルタイムで活動しているメンバーは、森と中西孝之の2人だった。ただ両者とも、特性は自ら攻め込んでいく戦士タイプである。


■1986年生まれの4人チーム


ここへ2012年8月、ヤフー出身のエンジニアとウェブデザイナーが加わった。森は「黒魔導士と白魔導士が参加して(笑)、メンバーのバランスが取れました」と笑顔で話す。メンバー4人全員が1986年生まれのチームとなった。



■「ハーバード白熱教室」に、心の心電図が反応

森は大阪で生まれ育ち、大学時代には関西圏でのイベント企画を多くこなした。ソーシャルランチ副社長の上村康太ともその時に知り合い、現在でも交流が続いているという。

 2009年4月、森はリクルートへ入社すると広告営業を担い、同年10月からはリクルートメディアコミュニケーションズにて広告制作のディレクターを務めた。

 起業のきっかけは、2011年3月の東日本大震災である。それまで、連日連夜仕事に没頭していた森であるが、各社の広告出稿が一斉に止まり、突然時間が空いてしまった。夕方に帰宅する機会も増え、自宅でテレビを視聴する時間も増えていた。そんなある日、マイケル・サンデル教授による「ハーバード白熱教室」が目に止まった。森は、サンデルが提供する空間、人々の思考の連鎖を目の当たりにして、単純に「めっちゃ面白い!」と感じたという。

「学びというよりも、エンターテイメントに近かったです。大学の教室に数百人が集まるだけでこれだけ面白いのだから、ネット上で手掛けたらもっと面白いことになるのでは?と感じました」

 放送翌日の2011年3月29日、森は出社するやいなや上司へ退職届を提出した。数日前の上司との面談では、起業についての話は一切触れておらず、来期の目標を語り合っていた。そのため、上司は話を聞いて、衝撃を受けていたという。

「さすがに、ちょっと待ってくれ!」
 来期を目の前に、3月末締めでチーム編成が行われており、森のチームには2名の新人スタッフ配属も決まっていた。上司の要望もあり、最終的に森は同年9月末に退職、10月3日にスクーを設立した。


■「ハーバード白熱教室」に、心の心電図が反応


「僕には『準備』という考えがなく、『やりたい!』と思ったら、『どうにかして、すぐやりたい!』と行動してしまいます。『心の心電図理論』と呼んでいるんですが、止まっていた心電図が『ピクッ』と動く時のような感覚を大事にしています。例えば、『いいな!』と思ったカフェを通過した時も、その瞬間に入るのと、今度行こうかな?と見過ごすのでは大きな違いが出てきます」

 だが、現在のスクーの構想を描いたものの、森自身にはプログラミングスキルがなく、思い当たる講師の人脈もなかった。手元にあるのは、30万円の資本金だけである。そこで森は、「お金無いけど、面白いから!」と人づてに口説いて回った。正直な思いを伝え、共感を集めることに注力した。最終的に、サイト設計のエンジニア、ロゴのデザイナー、授業を放送するカメラマンら、約10名の有志が集った。




彼らへ十分な制作費を渡せないものの、ロゴのデザイン1つとっても、森はこだわりを貫いた。ロゴをよく見ると、「文」という文字が隠れている。「文」は、地図では小学校・中学校といった義務教育を表す記号であり、「スクーを義務教育のように、皆がアタリマエに使うサービスにしたい」という想いが込められている。



■毎日が文化祭前日

1人で創業した森だが、2012年3月には中西が加わる。スクーは渋谷のコワーキングオフィス「StartUp44田寮」へ入居して、受託仕事を行いながら、資金繰りに充ててサービスを運営した。


■毎日が文化祭前日





スクーの社是が「毎日が文化祭前日」と聞き、記者が幼少期から活発だったのかと問いかけると「高校時代は野球のショートとして頑張っていましたが、僕は基本的に根暗ですよ(笑)。小学校の時は、スーパーファミコンのシムシティ(都市経営シミュレーションゲーム)で連日連夜遊んでいましたからね。何かの集合体をゼロから創り出していくのが、子供の頃から好きでした」と、森は優しげな表情で話した。

 スクーは創業2年目へ突入し、直近の目標はユーザー数 30 万人、計200回の授業実施である。日本の社会人の最終学歴が塗り替わり、スクーが日本一の学生数を抱えるキャンパスとなる日も、そう遠くないだろう。(土橋克寿)



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