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【私のターニングポイント】エニグモ最高経営責任者 須田将啓

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

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思い描いた自分になる

思い描いた自分になる

(企業家倶楽部2018年10月号掲載)

 最大のターニングポイントは、正に今です。私は今年44歳を迎えます。実は今、これから50歳になった時に、自分は何者にもなれないのではないかという危機意識が沸々と湧いています。「思い描いた自分になる」という考え方は昔から持っていました。20代は起業のための準備期間で、30代は上場をする、40代では世界進出し、50代では影響力を持つ企業家として、人類の進化に貢献する。20代、30代では何とか計画を達成することができました。40代に入ってからも、「英語版BUYMA(バイマ)」をリリースし、本格的に世界進出を果たそうと腰を据えました。そのために英語を勉強し、ハーバード大学に短期留学したりと、着々と準備を進めてきました。

 しかし、それでは努力が足りないと気付きました。世界にはフェイスブックのザッカーバーグ氏やアマゾンのジェフ・べゾス氏という偉大な企業家が沢山います。彼らのようになるには、ここで変革を起こさないと間に合わなくなってしまうのです。

 企業家が世の中に与える影響は大きいと思います。例えば、ジェフ・べゾス氏は自己資金を投じてロケットの開発事業を立ち上げています。フェイスブックは無料で気球を飛ばし、世界中を無線で繋ぐ技術を開発しました。これは私の持論ですが、利益を出している企業や企業家が面白い事業にどんどんチャレンジするべきです。そのためには、それなりの会社規模を維持し、企業家として影響力を持たなければいけません。

 振り返ると、私の人生は6~7年周期でひとつの区切りを迎えてきました。「ラグジュアリーブランドを世界中の市場から、個人でも取引できる便利なショッピングサイトを作りたい」とBUYMAのサービスを始めました。8年後には、東証マザーズに上場することができ、それから6年が経ちます。思えば50歳までちょうど6年です。この1つの区切りの期間を思いきり駆け抜けようと、改めて今年決心しました。

 そして私は、次に登る山を「旅行」に決めました。なぜいきなり、「ファッション」から「旅行」なのかと思われるかもしれませんが、実はこの両者は相性の良い存在です。BUYMAのユーザーのインスタグラムを見ると、服の写真と同じくらい旅行の写真も投稿されています。ファッション誌でも旅行特集の人気は非常に高いのが特徴です。また、これも最近の傾向かもしれませんが、「モノ」への投資よりも「コト(体験)」に価値が移ってきていると感じています。「モノ」はアマゾンなどで速く安く手に入りますし、シェアリングの文化も一般的になってきました。ラグジュアリーブランドの「モノ」を取引するサービスから旅行などの有益情報の交換も可能になります。

 これは私自身の実体験ですが、旅行では現地のことは現地人に案内をしてもらうのが一番だと思うのです。2006年にイタリアまでバイヤーの取材に行きました。その方が、ガイドブックに載っていないお肉屋さんの路地裏のイートインに連れて行ってくれ、そこで食べたサラミやハムが本当に美味しかったのです。 シリコンバレーに行った時にも、現地を熟知する人の紹介があったおかげで、ベンチャー企業やインキュベーションセンター、ベンチャーキャピタリストの方のご自宅に伺うことができました。誰に案内をしてもらうかによって体験の質は全く変わってきます。インスタ映えのツアーや現地の不動産や企業の視察ツアーなど、個人の趣向に合わせたパーソナルなツアーを提供していきたいと思います。

 私たちは「世界を変えるBUYMA」、そして「世界の体験を変えるBUYMA TRAVEL」として、人生の晴れの部分にスポットを当て続けていきます。今年が、後から考えるとターニングポイントだったと思える1年になるでしょう。

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