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【スタートアップベンチャー】3Backs 代表取締役 三浦尚記

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

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過去を肯定し広い未来へ送り出す

過去を肯定し広い未来へ送り出す

(企業家倶楽部2021年3月号掲載)

「ヒトと向き合い、ヒトを起点に社会課題を解決する」というVISION のもと、若者のキャリア再生を目指す『REBIRTH LA B(リバースラボ)』プロジェクトを展開する3Backs。

 第一弾は人材再生プロジェクトであり、現状でサービス展開している事業は2つ。約2年間の実務研修を通して実績とキャリアを積み、次の転職までをフルサポートする「リバラボインターンシップ」と、中高卒・フリーターのための転職サイト「リバラボキャリア」であり、「リバラボインターンシップ」に主力を置く。

「雇用型」インターンシップ

「リバラボインターンシップ」とは、非大卒の中卒高卒やフリーターをはじめとする29歳以下の若者への「雇用型」インターンシップである。「通常のインターンシップとの違いは2年間の雇用という形をとっていることです」と社長の三浦尚記は話す。リバラボインターンシップに採用されると、3Backs の社員として2年間働き、雇用や年収・報酬など「実績」を身につけることができる。こうして実績をつけたインターン生は他社への転職やそのまま3Backs で働き続けるなど、その後のキャリア選択ができるようになる。「セカンドキャリアを歩みやすいよう、実績を作っていくことに特化して事業を行っています」。

 インターン生として入社すると、実際にフィールドセールスの仕事をして実績を積んでいく。3Backs では教育用に他社の案件を契約しており、電気やガスなどのインフラ系の訪問営業をしていく。訪問営業はきつく厳しいイメージがあるが、2年経たずに退職する者は10%から20%と低い。「立ち上げ当初は70から80%ほど離脱していました。今は教育体制も整ってきました。離脱が激しかった時代でも頑張っていた先輩たちの成功事例が残っており、『こうなれる』というイメージが付きやすくなってきたのかもしれません」。また、この環境下での卒業生も昨年末から増え、2年後の進路は他社への転職が多くなってきたという。

想いを貫いた起業

 3Backs は三浦にとって3度目の創業である。最初の創業は20代前半。大学を中退して始めた会社だった。「今振り返ると、自分でやるしかないと追い込まれての発想でした」。まだSNS も無い時代、人伝いに社長という肩書の人物を何人も紹介してもらった。「その中で生活雑貨メーカーの社長さんと知り合う機会があり、代理店の権利を下ろしてもらいました」。こうして個人事業主となり、浄水器などの販売からスタートした。ここでは三浦自身も訪問販売をやっていくことになる。「最初の2カ月はきつかったのですが、初めて努力して突破することができ、うまくいき出しました」。自分の手で作り上げた「組織」にも喜びを感じていた。そこから1年半後、ITの時代がやってくる。別のオーナーから「通信事業で会社を立ち上げてみないか」と声がかかり、当時のヤフーBB や、フレッツ光、ヤフーオークションのはしりを主軸とした通信会社を立ち上げた。

 しかし、しばらくすると父親が営む家業に戻るように言われる。立ち上げた通信会社がやっと軌道に乗るというときだった。実家は建設業であり、また学ばなければならないこともたくさんある。「修行からまた始まる。もともと嫌でしたが戻ることを決めました」。まずは3年と決めて戻ったが、3年経っても自分の道を歩きたいという気持ちが強かった。「父親に頭を下げて退職し、そこからもう一度自分でやる、と立ち上げたのが3Backs でした」。こうして2009 年11月、3Backs が誕生した。

売上ではなく教育

 本来のフィールドセールスとなると売上げや業績を重視する。しかし3Backs では教育を一番上位概念に置く。「商品があり、予算達成に向けて最短距離で進んでいくことが私も正解だと思います」。しかし最短距離を取ろうとすると、退職者が出ることもしばしば。そうすることで環境をリフレッシュしていくという考え方もある。「私もこれが嫌でした。成長を求めたら正解だとは思いますが、私はこうまでしてやりたくありませんでした。『甘い。成長が鈍化し効率も悪い』という声も確かにあります。ただ、この『リバースラボ(リバラボ)』という理念にたどり着き、『教育の企業なので』としっかり言うことができました。それによってブレずに人と向き合うことをテーマにできています」。売上ではなく教育に注力でき、とても手ごたえを感じている。

面接から育成を

 リバラボインターンシップに参加するのもそう簡単ではない。「一番大事なのは結局入り口だと思っています」。面接で良いことを言っても入社後のギャップを感じ辞める人も少なくない。「すぐ駄目というわけではなく、しっかりとした覚悟が芽生えるまで、面接の段階で教育をしています。ちょっとした灯はあるので、どう燃やすかです」。本気の覚悟になるまで何回も面接を重ね、くぐり抜けた者だけがリバラボインターンシップへの切符を手にすることができる。

 そんな厳しい面接をくぐり抜けた参加者でも、「10代、20代の私と同じで、楽をして生きようとしているところがある」と三浦。それでも、その気持ちの中にそれぞれの願望が潜んでいると三浦は考える。「目標を明確化して振り返り、努力の継続や苦手の克服方法など、PDCA を行い、全部をバランスよく教えなければなりません」。そこで三浦が出した答えは全寮制であった。「研修生は全員寮に入ってもらい、振り返りや自主鍛錬の時間を取っています」。共同生活なので協調性も求められる。家事や掃除の担当もあり、インターン生は部活に近い環境で過ごしている。

 また、インターン生として働く2年間だけの昇格昇給基準と役職を設けている。最高職では年商1億円ほどを売り上げるというから驚きだ。「15%程度ぐらいの人はそこまで上がります。ただ難しいのはその次です。継続することやその役職に相応しい能力を身に着け習慣化させることが難しいです」。売り上げを出して終わりではない、教育に力を入れる3Backs の課題はその先にある。

若い世代のキャリアインフラへ

 創業から10年以上が経ち、3Backsも成長期に入っている。「これから何百人という体制になっていくにあたり、バックオフィスの体制や設備、業務フローやルールの見直しに入っています。ここが今一番大切です。また、インターン生は毎月15人くらい入ってきている状態です。そこも200人、300人、500人と増えていく上で、必要なコースの増設を考えています」。現状ではフィールドセールスが最も多い。今後は既存のコースを拡張していくと共に、フィールドセールスでのB2B の法人営業コースや採用広報、カスタマーサクセス、インサイドセールスなどのコースも増設する予定である。コロナ禍にも負けず、今季中にはエンジニアのコースが開始され、他コースも春先から順次開設できるよう準備中である。

「今の時代、転職が当たり前となってきましたが、そのひずみで1年や3年と持たずに短期離職する若者が増えています」。さらに人口減少による人手不足という問題も重なっていると三浦は分析する。「だからこそ、中卒高卒やフリーターでも戦力になると企業側にも認識してもらい、そこのキャリアを作っていける、この層にとってのキャリアインフラになりたいと思っています」と目を輝かせる三浦。3Backsの今後の活躍に注目したい。

【企業概要】

会社名 :株式会社3Backs 代表者 :代表取締役 三浦 尚記 
所在地 :東京都渋谷区千駄ヶ谷2-9-6 バルビゾン3 番館B1 
設 立 :2009 年11 月26 日 資本金 :33,333,333 円

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