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何度でも立ち上がる折れない心

編集長コラム

 アメリカ同時多発テロから20年が経ちました。2001年9月11日、米国ニューヨークのシンボルである世界貿易センタービルにハイジャックされた航空機が激突、2977人の犠牲者が出ました。


 ニュース番組で第一報を見た際には、「まさかこんな『事故』があるものだろうか」と驚きましたが、中継の映像が流れている最中に2機目が南棟に突入したのです。「事故」だと思っていたニュースが「事件」に変わった瞬間でした。


 当時はアルカイダというテロ組織を知っている人はほとんどいませんでした。しかし、一握りの政治家や国際ジャーナリストが直後にテロの可能性について発言しており、それまで平和だった世界から混乱の世界に一瞬で変わっていく恐怖を感じました。


 ブッシュ大統領はすぐさま非常事態を宣言し、アメリカの国境を封鎖、連邦航空局の命令により全ての民間機を近くの空港に強制的に着陸させました。それまで水面下に存在していたイスラム過激派とアメリカの対立が最悪の形で表面化したのでした。


 経済がグローバル化され、誰もが簡単に海外に行ける時代になり、平和な社会がいつまでも続くと信じていた多くの人々に、それは幻想だという厳しい事実を叩きつけました。2021年、アメリカ軍はアフガニスタンから撤退しましたが、問題が解決したとは言えません。新しい秩序維持の試みが始まったばかりです。

 

 世界は長く続いたアメリカによる平和の時代が終わり、万能と思われた民主主義や資本主義が構造的な機能不全に陥っているのではないでしょうか。


 コロナウイルスのパンデミックも以前から一部の博識者や専門家から指摘されていました。しかし、誰も耳を傾けることはありませんでした。


 実際に国内で感染者が増え始めると危機感が高まり当事者として事態を受け止めることになりました。感染者が急増すると医療崩壊を起こし、患者がすぐに入院できないという事態が各地で発生しました。肺炎の症状が出ているのに治療を受けられないとは想像しただけでもぞっとします。私たちが普段感じていた「平和」や「安心」とは絶対ではなく、ある日を境に崩れ去ってしまう儚いものなのかもしれません。


 逆境や危機は無い方がいいに決まっています。しかし、突然大きな口を開けて私たちを飲み込んでしまうことがあります。自然災害もあれば、リーマンショックのような不況も起こります。それらを未然に防ぐことは不可能です。では起こってしまったときにどうするかが問われます。出来ないことに悩むよりも、出来ることを考えた方が得策でしょう。


 現在はワクチン接種が進み、全国民の6割程度に普及することで新規の感染者数も抑えることに成功しています。10月からは緊急事態宣言も全国的に解除され、一筋の光明が差し込んできました。現在、世界貿易センタービルの跡地にはアメリカで最も高いワンワールドトレードセンターがそびえ立ち、テロに屈しない姿勢を表しています。


 逆境や危機に効く特効薬はありません。あるとすれば困難な壁にぶつかっても何度でも立ち上がる気概ではないでしょうか。企業家はタフでなければ務まりません。折れない心を鍛えましょう。

 

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