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【社長のおしゃれ vol.1】池田ゆう

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

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人は見かけによるのです

人は見かけによるのです

(企業家倶楽部2010年1・2月合併号掲載)

 人は出会った6秒間で相手を判断すると言われています。たった6秒のうちに相手に好印象を与えるのは名刺の肩書きでも気の利いた挨拶の言葉でもありません。もちろんそれらは判断材料のひとつになりますが、決定打になるのはやはりその人の見かけ、つまりファッションなのです。人との出会いは、ビジネスチャンスを広げるという意味でも非常に大切なものです。このチャンスを逃さないためにも、企業家の方にはファッションにもっと気を配って欲しいと思います。

 おしゃれは若者のものであって自分には関係ないという方もいますが、そうではありません。ファッションには「流行」と「スタイル」の二通りがあります。流行を追うことは少し軽薄な印象を与えますし、大人のおしゃれとしてはふさわしくありません。しかし、スタイルとは自分の生き方の表現です。こちらをぜひとも身に付けて欲しいものです。経営者は自分が思っているよりも周囲から注目されています。6秒間のコミュニケーションが気づかないうちに始まっているのです。それは言葉にはよらないものですから、ファッションで自分の価値観や世界観を表現できる人の方がより多くの人を惹きつけることが出来ます。だからおしゃれに関心を持たないということは非常にもったいないことなのです。

 おしゃれで注意して欲しいのはドレスマナーです。ドレスマナーとは「知性」、「健康感」、「感性」の三要素が揃ってなくてはいけません。ファッションとは「生き方を着ること」。自分に自信を持っていることや、自己流を持っているということが見た目にも表れてくるのですから、人を見かけで判断することは間違ったことではありません。

 おしゃれをしろと言われてもいったい何をすればいいのか分からないと言う方も多いでしょう。そこで、今回は印象をぐっとセンスアップするための簡単なポイントをご紹介します。一つ目は、清潔感を出すために襟と袖をスーツから1~1.5センチ出すことです。二つ目はネクタイのディンプル(えくぼ)を作り、結び目を少し浮かせることです。三つ目は、気負わずにポケットチーフを胸のポケットに入れることをお勧めします。以上の3つのポイントに気をつけるだけで、その人の印象がずっと洗練されたものになります。

 おしゃれは何者にも勝るコミュニケーション技術。初対面の人と会った時、部下と廊下ですれ違った時、講演会で壇上に立った時、言葉はいりませんから限りなく多くの人とコミュニケーションが取れます。それに仕事が出来る人はおしゃれなものです。自分に自信があり、自己流を持っているからこそおしゃれができるのです。大人のおしゃれはシンプルでスタンダードなものの中に自分流を取り入れることです。ちょっとしたポイントを抑えるだけで良いのですから、今までおしゃれに関心を持っていなかった方も、ぜひこれを機会におしゃれを楽しんでください。


 池田ゆう/ファッションデザイナー。(社)日本メンズファッション協会理事長、ベストドレッサー賞選考委員長、(社)日本プロゴルフ協会学術委員。各界著名人や企業経営者の服装コンサルタントも多数手掛けている。著書に「人は見かけによるのです。」(銀河出版)がある。http://yuhikeda.com
 

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