会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。
最優秀賞を獲得したGrandCentral の北口拓実CEO
東京ニュービジネス協議会(以下NBC)は、2024年9月18日、『第17回スタートアップ・メンタリング・プログラム』2024年度第2回予選大会を開催した。この日は多くのエントリーの中から選ばれた7社がピッチを実施。㈱GrandCentral 代表取締役CEO 北口拓実氏が最優秀賞に選ばれた。NBCでは2019年からこのプログラムを実施、優秀な企業を支援・表彰しており、今年で6年目となる。毎回素晴らしい企業を発掘、日本のスタートアップ企業支援を強化している。 (リポート副編集長 三浦千佳子)
■7社がピッチ大会に出場
真夏のような暑さが残る9月18日の夕刻、東京駅日本橋口すぐの高層ビル内にあるfabbitには多くのビジネスパーソンが詰めかけていた。今やNBCの恒例となったスタートアップ・メンタリング・プログラムのイベントが始まるのだ。
挨拶する青木正之委員長
NBC会長で㈱クリーク・アンド・リバー社井川幸広社長はじめ、NCB副会長で、この『スタートアップ・メンタリング・プログラム』委員長で㈱Ubicomホールディングス青木正之社長氏ら、多くの関係者が集まった。会場には50人ほどそしてオンラインでは100数十名が参加。ピッチ出場者を見守った。
このピッチ大会は17回目となるが、この日のピッチ大会に出場したのは7社である。その中から最優秀賞には㈱GrandCentral 代表取締役CEO 北口拓実氏、優秀賞には㈱4DIN 代表取締役高橋精彦氏が選ばれた。この2社は2025年3月に開催される決勝大会に挑むこととなる
期待される。
9月の予選大会に出場した面々(前列)と審査委員・メンター
●9月18日のピッチ大会への登壇者7名は以下の通り
㈱GrandCentral 代表取締役CEO 北口 拓実氏
㈱カロコ代表取締役 林 諒氏
㈱スポスル 代表取締役 尾濱 徹氏
㈱4DIN 代表取締役 高橋 精彦氏
㈱オトバンク 代表取締役 上田 渉氏
㈱じょさんしGLOBAL Inc. 代表取締役 杉浦 加菜子氏
ViewSend ICT㈱代表取締役 嗣江 建栄氏
この日のピッチ大会に出場した7名の面々
■最優秀賞を獲得したのはGrandCentral
今回最優秀賞を獲得したのは最初に登壇したGrandCentral CEOの北口拓実氏である。持ち時間7分に自社の事業や成長戦略を語りきるのはなかなか難しい。さてGrandCentralとはどんな会社なのか。
「私はキーエンス出身で、新卒入社1年目に営業成績1位を獲得し、歴代売上レコードを更新しました」と高らかに語る北口氏。キーエンスをスピンアウト、2021年に創業したのが「㈱GrandCentral」だ。同社はコンサルティングと営業代行をハイブリッドに融合した「セールスコンサルティング」を謳い、組織のスケーリングを全方位で支援。コンサルだけでなく人も送り込み、実践まで支援することを強みとしている。創業3年目で年商15億円を達成、経験豊富なセールスエキスパートを100名抱えていると、その実績と今後の成長性を力強く語った。北口氏は参加7社の中でも一番若く、活気に満ち、審査委員の心を掴んだようだ。5人の審査委員の内4名が「投資したい」の札を挙げた。
最優秀を獲得した北口氏、井川会長と共に
■2位は㈱4DIN
優秀賞に選ばれたのは医療情報分析プラットフォームの開発とコンサルティング事業を展開する㈱4DIN(フォーディン) 代表取締役高橋精彦氏である。高橋代表は2003年に創業以来、日本の医療分野が抱える課題、特に大学病院での医師の研究時間の不足や医業収益利益率の低さといった課題に向き合い、より良い医療の実現を目指してきたことを力強く語った。大学病院の医師たちにとって「研究」や「論文」は、多くの患者を救うために最も重要なもの。高橋代表は大学の先生方と真摯な向き合い、信頼関係を築いてきたからこその努力が実を結び、成果に繋がっている。その真摯な活動に審査員が感動、今回優勝賞を獲得した。
優秀賞に輝いた高橋代表左はNBC井川会長
それだけではない。この日は他にもフィットネスジムのDX化を推進する「㈱カロコ」、スポーツチームやスクールの月謝などの管理や決済のDX化を進める「㈱スポスル」、日本語オーディオブックの草分けとして成長する「㈱オトバンク」、助産師などの専門家が個人と企業のアンマッチソリューションを解決する「㈱じょさんしGLOBAL Inc.」、都市部と過疎地域の医療格差を解消する遠隔画像診断支援事業を行う「ViewSend ICT㈱」がピッチに臨んだ。どの企業も現代社会が抱える社会課題解決に真っ向からチャレンジしており、メンターからはさまざまな質問や意見が飛び交った。
■5人の審査委員・メンターが協力
NBCのこのピッチ大会は審査委員・メンターのメンバーが豪華なことで知られている。参加企業はこのメンターとネットワークを繋げられるだけでも嬉しいと語っていた。
そして毎回この大会を力強く情熱的に率いているのが進行役を務める委員長の青木正之氏である。このプロジェクトに参加するピッチ企業が100社にも及び、毎回レベルアップしているのはこの青木委員長の情熱の成せるワザといえる。
そして多忙なスケジュールの中、毎回審査員・メンターを務めてくれるメンバーの存在は大きい。
熱心に耳を傾ける審査・メンターの面々
この日駆けつけたのは青木委員長の他、NBC会長で㈱クリーク・アンド・リバー社井川幸広社長、㈱MS-Japan有本隆浩社長、 鎌倉新書清水祐孝会長、㈱識学安藤広大社長の5名である。
■NBCの会員と連携したら面白いことができる
緊張感あふれる7社のピッチ終了後、井川会長、青木委員長、ボードウォーク・キャピタル㈱代表那珂通雅氏3人による鼎談が行われた。毎回開催されるこの鼎談が参加者にとっては楽しみの一つとなっている。
「今回で17回目だが、参加企業の事業領域の幅も広がっているね」「今はいろんなところでピッチ大会を実施しているから発表の仕方もレベルアップしている」「どの企業も現代社会が抱える社会課題解決型で素晴らしいね」「今日参加の7社で話し合ったらもっと面白いことができるね」「NBCの全国会員は4400人いるから、互いに連携したら面白いことができるのでは」など、NBCだからこその可能性を示唆した本音が語られた。
鼎談する左から青木氏、井川氏、那珂氏
そして結果発表。
最優秀賞に輝いた北村CEOと優秀賞に選出された高橋代表には、NBC井川会長から2025年3月に開催される決勝大会への参加目録が贈られた。
最近は協賛企業も増え、今回も野村証券、SBI証券、東海東京証券、香川証券、岡三証券、三井住友信託銀行が参加。そして、いつもながらfabbitが会場を提供している。
2019年度よりスタートした本プログラムは今年で6年目となり、参加者は100名に及ぶという。それだけに日本経済を活性化するプロジェクトとして定着している。だからこそ、メンターからの投資、業務提携などの実績も増えている。
このNBCの取り組みの凄さはIPOスクールを開設、さまざまな角度からプロが支援していることである。参加者のヨコの繋がりはもとより、東証、証券会社、銀行、そして上場企業の経験者など、手厚く支援していることだ。
挨拶する井川幸広会長
NBCの次世代を担う企業発掘として、このプロジェクトへの期待はさらに高まっている。会員数900名に迫る東京NBCが、本気でベンチャーを支援、日本経済の活性化に貢献していることは素晴らしい。「起業家と企業の成長を支える団体」として、井川幸広会長就任以降、一段と活動が加速されている。NBCの今後ますますの発展と活躍が期待される。