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【トピックス】東京ニュービジネス協議会第2回「起業から成功への道」

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

トピックス

「仕事は光の速さで」NVIDIAが企業文化を語る


東京ニュービジネス協議会(以下NBC)は、2025年2月12日、第2回「起業から成功への道」イベントを開催、300人が結集した。この日の基調講演では、NVIDIAエンタープライズマーケティング 本部長堀内朗氏が登壇。『「NVIDIA -Our Journey with Japan」〜NVIDIAの世界戦略、ベンチャースピリットを保ち続けている企業文化について』と題して講演した。 堀内氏はまずエヌビィディアの歴史について語った。そして今日ここまで成長した原点は独自の企業文化があると熱く語った。  (レポート三浦千佳子)

基調講演する、NVIDIA堀内朗氏

■常に勉強せよ。そして「光の速さ」で実行せよ
 創業者のジェンスン・フアン(Jensen Huang)CEOからは「常に勉強せよ」と言われていると語る堀内氏。「ジェンスン氏のテクノロジーへの造詣は深く、しっかり勉強しないと会話が成り立たない」という。
エヌビディアの企業文化としてCEOからの3つの指針があるとして紹介した。
1つ目は「Speed of Light」(光の速さで働け) 「光の速さで仕事をすれば、どこよりも早く市場に製品を投入することができる」ということだ。
2つ目は「No One Loses Alone」(一人で倒れるな) なんでも一人でやるのではなく、いろんな人を巻き込み連携しながら実行せよということだ。
3つ目は「Mission is The Boss」(お客様からのミッションがボス) 自分の上司がボスではない。お客様からいただいたミッションこそがボスという考え方で、お客様から頂いている仕事が第一ということである。


■独自の報告ルール「トップ5」
同社には、独自の社内報告ルール「TOP5 Things」(トップ5項目)がある。これは社員がその時抱えている最も重要な5項目をCEOや幹部にメールで報告するというものだ。全世界の幹部に情報を共有するというからすごい。これを隔週で提出することが義務付けられている。一見効率が悪そうで、堀内氏も最初は驚いたというが、実はこれが最も情報共有が早いという。今エヌビディアの事業の根幹となっている画像処理半導体(GPU)の重要さもこのメールから発見されたという。

 2021 年の最も影響力のある人に選定されたジェンスンCEO


昨今上下してはいるものの、エヌビディアは時価総額が一時3兆5000億ドルを超え、米アップルと世界首位を競うほどだ。世の中がAIなど技術革新で大きく変わるなか、このトップ5のルールで、世界中の情報を共有し、それに「光の速さ」で対応する企業文化がエヌビディアの強みということであろう。
今や世界屈指の企業に躍り出たエヌビディアだが、ジェンスンCEOの類まれなリーターシップと実行力、こうした企業文化があればこそといえる。
 これだけの規模の企業に成長しているが、日本法人のサイズは小さく、時価総額が拡大しているといって組織は大きくしない。マイクロソフトの1/10位の人数でやっていると堀内氏。これもジェンスンCEOの考えなのであろう。
最後に堀内氏は「デジタル変革が遅れる日本」について触れた。世界のデジタル競争力ランキングで28位に甘んじている日本。その理由として米国では自社にIT人材を置いているが、日本は外注が多いこと。これが競争力の差になっていること。トップがAIを理解しているかどうかが重要になると堀内氏。
そこでエヌビディアとしてはソフトバンクやGMOなどの企業はもとより、2023年から日本政府と連携、AIゼネラリストを育てるための教育サポートをしていると語った。大手企業だけでなく小さなチームでも「お困りごとがあればお手伝いしたい」と語った。
エヌビディアがどうやってAIや半導体業界を牽引するまでに成長してきたのか。そこにはジェンスンCEOの指針を元に、全世界で情報を共有、「光の速さ」で仕事をするプロの仕事師たちの存在があること。常に学び、ベンチャースピリットを持ち続ける企業文化が最大の強みとなっていることを理解、300人の聴衆は納得し熱心に聞き入った。

■「第2回起業から成功への道」イベントに300人が集結
 改めてこの日のイベントについてご紹介しよう。2月12日(水)17時。東京・京橋のイベント会場には300人のビジネスパーソンが詰めかけた。東京NBC主催のアーリーステージ~IPOを目指す経営者を支援するイベント「第2回起業から成功への道」が開催されるのだ。

挨拶するNBC井川幸広会長

本イベントは、起業間もない経営者やIPOを視野に入れる企業向けに、成功への道筋を学ぶ場として企画したものだ。NBCアントレプレナー創出委員会・起業塾委員会が主催し、経済産業省関東経済産業局の後援のもと、東京証券取引所や名古屋証券取引所が協力、さらには20社にのぼる証券会社などからの協賛を得て、開催している。
ここは実際にビジネスの最前線で活躍する経営者や投資家が一堂に会し、リアルな経験談をもとに実践的な学びの場とするものだ。
主催者のNBC会長の井川幸広会長の挨拶、そしてアントレプレナー創出委員会委員長でNBC副会長の青木正之氏の挨拶の後。基調講演を務めたのはNVIDIAエンタープライズマーケティング 本部長堀内朗氏である。その内容は冒頭に紹介した通り。
 続いて「上場オーナー経営者が伝える挑戦からの学び」と題してパネルディスカッションが行われた。登壇したのはNBC「スタートアップ・メンタリング・プログラム」でお馴染みのMS-Japan有本隆浩社長、エアトリの大石崇徳会長、M&Aキャピタルパートナーズの中村悟社長、プログリット岡田祥吾社長だ。ファシリテーターは青木正之氏が務めた。事業を拡大し、IPOを果たした経営者たちが、成功までの苦労や転機について語った。最後に上場を目指す経営者へ熱いエールを送った。 

 熱く語る先輩経営者たち

■現役投資家が直にアドバイス
次に「「ベンチャー育成に関する有識者及びVCによる、成長企業への投資について」と題してパネルディスカッションが行われた。登壇したのは、みずほフィナンシャルグループ大櫃直人氏、グローバル・ブレインの熊倉次郎氏、B Dash Venturesの渡辺洋行氏といった投資プロたちだ。モデレーターはZUUの冨田和成氏が務めた。

日本有数の投資家たちが登壇


投資家が企業の成長性をどのように見極めるのか、資金調達の成功事例について、起業家が投資家と向き合う際のポイントなどが語られた。
良い上場ができている企業は「経営者が成長し続けていること」「良いメンターが付いていること」 「2025年から投資のメインストリームが大きく変わっていく」など熱く語られた。
第2回「起業から成功への道」は、成功した先輩経営者や投資家の視点が語られ、参加者にとって大きな学びの場となった。今回も盛りだくさんの内容だったが、会場が盛り上がり、あっという間に時間が過ぎた。今後もNBCを中心に学びの場が創出されることを期待したい。

この日登壇した面々


■300人の大交流会
その後は300人が一堂に会しての大交流会が行われた。この最高のイベントの立役者、青木正之氏の乾杯で会はスタートした。
今や会員数1000名に迫る東京NBCが、本気でベンチャーを支援、日本経済の活性化に貢献していることには頭が下がる。「起業家と企業の成長を支える団体」として、井川幸広会長就任以降、一段と盛り上がりを見せているが、今後さらなる発展と活躍が期待される。

熱くイベントを率いる青木正之氏

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